毒になる親 一生苦しむ子供 スーザン・フォワード (著)

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毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)

「毒になる親」とは

この世に完全な親などというものは存在しない。

どんな親にも欠陥はあり、だれでも時にはそれをさらけ出すことはあるものだ。この私自身、自分の子供に対してひどいことをしてしまったことはある。

どんな親でも一日二十四時間子供に気を配っていることなど不可能だし、時には大声を張り上げてしまうこともあるだろう。それに、時には子供をコントロールし過ぎることもあるだろうし、たまになら、怒ってお尻を叩くこともあるかもしれない。

そういう失敗をしたら親として失格なのかといえば、もちろんそんなことはない。親といえども人間だし、自分自身のことでもたくさん問題を抱えているのが普通なのだ。

親子の間に基本的な愛情と信頼感が十分にあれば、たまに親が怒りを爆発させることがあっても子どもは大丈夫なものなのである。

ところが世の中には、子供に対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子供の人生を支配するようになってしまう親がたくさんいる。

子供に害悪を及ぼす親とは、そういう親のことをいう。

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私はこのような親をどう呼んだらいいのかとさんざん考えてみた。そしてさまざまなパターンはあるにせよ、そういうたぐいの親を一言で表現するのにぴったりな言葉はないものかと考えるたびに、頭をよぎったのは、「有毒な」とか「毒になる」という言葉だった。

ちょうど公害を引き起こす有毒物質が人体に害を与えるのと子供の心に加えられる傷はしだいにその子供の全存在にわたって広がり、心を蝕んでいくからである。

そして子供が成長するに従い、負わされた苦しみもまた大きくなっていく。このような、成長した後もなお子供を苦しめ続ける、いわば「くり返し継続しづづけるトラウマ」とでも呼べる苦痛の原因となっている親を表現するのに、これ以上ぴったりな言葉があるだろうか?

ところで、いまここで「くり返し継続しつづける」と書いたが、そうでなくても当てはまる例外が二つだけある。それは肉体的な暴力と性的な行為である。

これらの場合は、ほんの一回の出来事であっても、子供の心には計り知れないネガティブな影響を与えてしまうことがある。

私たち人間にとって、子育てというのは決定的に重要な技術を必要とする仕事のひとつなのだが、残念なことに、ほとんどの家庭においては経験から学んだ勘を頼りに手探りで進んででいかなくてはならないのが実状だ。

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この分野の研究が進んだのはごく最近のことであり、私たちの親の世代までは、子育ての方法については、ほとんどの場合あまりそれが上手ではない人々、つまり彼ら自身の親から学ぶ以外になかったのである。

私たちは親が自分を育てたやり方を見て気づかないあいだに学び、自分に子供ができた時には無意識のうちにその多くを模倣してしまう。

こうして世代から世代へと受け継がれてきた子育てのための古いアドバイスには、いまでははっきりいって間違っていると言えるものがたくさんある。

「子供叩いて育てろ」などはそのいい例である。

「毒になる親」は子供の将来にどのような影響を与えるか

「毒になる親」に育てられた子供は、大人になってからどのような問題を抱えることになる
のだろうか?

子供の時に体罰を加えられていたにせよ、いつも気持ちを踏みにじられ、干渉され、コントロールされてばかりいたにせよ、粗末に扱われていつもひとりぼっちにされていたにせよ、性的な行為をされていたにせよ、

残酷な言葉で傷つけられていたにせよ、過保護にされていたにせよ、後ろめたい気持ちにさせられてばかりいたにせよ、いずれもほとんどの場合、その子供は成長してから驚くほど似たような症状を示す。

どういう症状かといえば、「一人の人間として存在していることへの自信が傷つけられており、自己破壊的な傾向を示す」ということである。

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そして、彼らはほとんど全員といっていいくらい、いずれも自分に価値を見いだすことが困難で、人から本当に愛される自信がなく、そして何をしても自分は不十分であるように感じているのである。

「毒になる親」の子供がこのように感じるのは、意識的であれ無意識的であれ、親から迫害
を受けた時に、「自分がいけなかったからなのだろう」と感じるためであることが多い。

外部の世界から自分を守るすべがなく、生活のすべてを親に依存している小さな子供は、親が怒っているのは自分がなにか悪いことをしたからだろうと感じるのが普通である。

自分を守ってくれるはずの親が実は信頼できない人間だったなどということは、小さな子供には考えもつかないからだ。

そのような子供は、「罪悪感(なんとなく後ろめたい感じ)」や「自分が不十分な感じ」を心の奥に抱えたまま育っているので、成長して大人になった時にポジティブで落ちついた自己像を持つことが非常に困難になる。

自分に対する基本的な自信がなく、生きていくことの価値がなかなか見いだせないようになるのはそのためなのだ。

この心のメカニズムは成長後も継続し、人生のさまざまな局面に影響を及ぼすようになる。


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