「鶏肉はヘルシー」は幻想だった!揚げ物大好き家族におそいかかる“呪い”
第1章 さらば!ケンタッキー、から揚げ家族もご用心 ーー「チキンはヘルシー」は、幻想だった
一〇万七〇〇〇人を一八年かけて追跡調査
●毎日食べると一〇年早死に
「……フライドチキンを一日一個以上食べると死亡リスクが一三%上昇する」
これは、一〇万七〇〇〇人の女性を対象にした調査リポートです。
二〇一九年一月、英国医師会雑誌『BMJ』に掲載され、衝撃が広がっています。
この研究は、全米四〇か所の病院で一九九三年から九八年にかけて女性(五〇~七九歳)一〇万七〇〇〇人の食生活を調査し、その後、平均一八年にわたって追跡調査をおこなった結果をまとめたものです。
調査をおこなったのは米アイオワ大学ウェイ・バオ博士らのチーム。
アメリカ人はファストフード好き。「その日食べたもの」を間いたら三六%がファストフードという報告があるほど。
そしてーー。
『BMJ』誌の記事はショックです。 鶏の揚げ物好きは、「食べない」女性にくらべて、死亡率が一三%も高かった。
これら女性は、高齢になってフライドチキンを食べ始めたとは考えられません。
おそらく、若い頃からの食習慣で食べ統けてきたのでしょう。
その結果、死亡率一三%アップ。これは、平均年齢を八〇歳とすると、およそ七〇歳で死亡していることになります。
つまり、フライドチキンを毎日食べていると、約一〇年早死にするのです。
●揚げ物と死亡率、米国初の研究
このニュースを最初に知ったのは、『日刊ゲンダイ』(2019/l/27)の記事から。
タイトルは「揚げ物で寿命が縮む?」。
「……揚げ物は、フライドチキンやフライドフィッシュ、フライドポテトなどです。その結果、(魚や貝など) 揚げ物を毎日食べている人は、ほとんど食べない人と比較して、死亡のリスクが七%上昇していました。特にリスクが高かったのはフライドチキンで、一日一回食べているだけで、死亡のリスクは一三%も増加していたのです」(同紙)
一目見てビックリしました。内容もですが、マスメディアに、こんな大胆な記事が載ったことじたい驚きでした。
「……揚げ物(フライ食品)は、世界で広く食べられている。しかし、長期間にわたる影響は、これまで、ほとんど不明だった。揚げ物と死亡率の関係を調べたのは、アメリカでは本研究が初めてである」(論文執筆者)
一〇万人以上を対象にしたこの大がかりな研究は、世界初の試みといってよいでしょう。
研究に協力した女性たちは、一二二種類もの食品について、アンケート調査に各々摂取量、頻度などを詳細に回答しています。
さらに、同研究では「教育水準、収入、エネルギー消費、食事の質など、死亡率に関係する要素も考慮した」という。
また、「揚げた魚や貝を毎日食べる女性のばあい、死亡率が七%高まる」という。
●日本メディアは沈黙したまま
衝撃ニュースは、CNNでも流されました。
「……揚げた鶏肉や魚を定期的に食べる人は、ガンを除いた死亡リスクが高まる、との調査結果が明らかになった。閉経後の女性を対象とした調査がアメリカで行われた」(CNN)
しかし、日本のメディアは沈黙したままです。他メディアが、この衝撃ニュースを報道した形跡はありません。テレビでは、皆無でしょう。
フライドチキンといえば、真っ先に思い浮かぶのが、ケンタッキーフライドチキン(KFC)です。あのカーネル・サンダースの像でおなじみ。
「……フライドチキンを主力商品としたファストフードチェーン店を運営するアメリカ合衆国の企業である」
「世界規模で展開し、世界で初めてフランチャイズ・ビジネスを創始した」(Wikipedia)
マクドナルドと並ぶ、アメリカニ大ファストフード企業です。
今回、公表された研究の論文執筆者は、次のようなただし書きを付けています。
「……世界各地で、揚げ方や油など異なるので、今回の研究結果が世界的に適応されるわけではない」
これこそ、食品業界への慎重な配慮というしかない。
一〇万七〇〇〇人もの対象者たちが食べた揚げ物も、さまざまな揚げ方、調理法で作られたものであることはまちがいなく、そう考えると、この理屈には無理がある。
フライドチキンやハンバーガーは、別名〝ジャンクフード〟(クズ食品)と呼ばれる。
これは、「食べれば体によくない」という意味。そもそもジャンクな食べ物なので、食べれば寿命が縮むのもとうぜんです。
それが『BMJ』論文で、医学的・疫学的に明らかにされた、ということです。
日本人のから揚げ好きは、もはや中毒
●子どもも大人も大人気の国民食
この「フライドチキンで一〇年早死に」のニュースに、青ざめた母親も多いでしょう。
子どもがケンタッキーを食べていないからといって、安心はできません。さらに身近なフライドチキン……そう、から揚げです。
これも、れっきとしたフライドチキンです。日本の子どもたちは、みんなから揚げ大好きです。
消費量からいえば、ケンタッキーフライドチキンよりこちらのほうがはるかに多い。
それは、子どもに限らない。大人もから揚げに目がない。酒の肴に、ビールのつまみに、ハマっているひとも多い。
ごはんのおかずにも最適。から揚げ弁当も、安くてうまくて人気です。から掲げは、いまや日本人の国民食といってよい。それほど人気がある。
●から揚げ消費量は年二二〇億個超
日本人のから揚げ好きは、想像以上です。
「……実は日本のから揚げ消費量は年間で220億個以上にも上るそうなのです!」(『MAG2NEWS』サイト)
一人あたりでは年間二四〇個もから揚げを食べている……!(日本唐揚協会)
わたしみたいに一個も食べない人もいる。だから、毎日、から揚げをモリモリ食べているひとがゴロゴロいるはずです。
このようなから揚げ大好き人間を、〝カラアゲニスト〟と呼ぶそうです。
さらに「日本唐揚協会」なる団体が存在することにもビックリ。さらに業界では「から揚げ強化月間」なるキャンペーンも展開されている。
二〇一八年、冷凍食品大手のニチレイフーズと日本唐揚協会は一〇月を「強化月間」と指定した。
それに合わせて、全国の一般消費者一万三九九二人とカラアゲニスト三三〇名を対象に、「鶏の唐揚げ」に関する意識・実態調査『全国から揚げ調査2018』を大々的に実施。
その結果、都道府県別の「唐揚げ消費量」そして「好きな部位」が判別したという。
●年に一〇〇〇個!カラアゲニスト
ここで登場する〝カラアゲニスト〟なる方々。いったい、どんなひとたちでしょう?
「日本唐揚協会が実施しているから揚げ検定の試験に合格し、から揚げを愛し、普段から、から揚げの魅力を広く発信していただいている会員です。会員数は約一〇万人(二〇一八年四月現在)」(同協会)
なんともほほえましく、愛すべきひとたちなのです。
「国民一人あたり年に二四〇個を食べているが、カラアゲニストは、その約四倍(約一〇〇〇個)を食べていた!」(同協会)
「……この調査は、成人男女(二〇~七九歳)を対象にしており、唐揚げ食べ盛りの一〇代の回答が含まれていないため、じっさいの消費個数は、さらに上回ると思われます」(前出『MAG2NEWS』)
●専門店も七年で三・四倍増
日本人のから揚げブームを裏付けるのが、専門店の急増です。
店舗数は、二〇一一年の四二〇店舗から、わずか七年で一四〇八店と三・四倍に拡大。
「……お弁当だけでなく、夕食シーンにも利用できる冷凍食品の唐揚げがヒットしたことや、スーパーやコンビニエンスストアで気軽に購入できるようになったことなど、消費者が唐揚げを夕食や昼食のみならず、おやつやおつまみと、幅広いシーンで利用していることが今回の結果の背景にあるといえます」(同)
「全国から揚げ調査」の各種結果を見てみましょう。まずは、一か月の消費董の都道府県別ランキング。
トップ3は、一位:青森県(三二・〇個)、二位:大阪府(三〇・九個)、三位:福岡県(二九・九個)。もっとも少なかったのは愛知県で、一位の半分以下でした。
「好きな部位」は、「もも」(八五・八%)、「むね」(四四•四%)、「手羽先」(三七・五%)……という順位。
さらに、「唐揚げのイメージ」は……一位:「家族で楽しめる」(四四・八%)、二位:「家族が好き」(四四・七%)、三位:「メインのおかずに」(四二・九%)(重複回答)。
これは、家族全員でから揚げを食べていることを示す。から揚げに舌つづみを打っている家族が日本中にあふれている、ということです。
興味深いのは、から揚げの衝動買い……。思わず、気づいたら買っていた。なんと、全体では六二・五%が「衝動買い」の経験アリ。
とくに、五〇代女性(七四・五%)、四人に三人が「思わず手を出して」いる。つづいて四〇代女性(六八・五%)、三〇代(六七・八%)……。
これぞ、から揚げの魔力!もはや日本人は、から揚げ中毒におちいっている。
◆目次◆
プロローグフライドチキン、揚げ物、意外な盲点──家族大好きなら、せめて週一の楽しみに!
第1章さらば!ケンタッキー、から揚げ家族もご用心──「チキンはヘルシー」は、幻想だった
第2章 フライドポテトも危ない!──週二回以上で死亡率二倍に
第3章 揚げ物大好き家族はヤバイ!──全員早死に。強力な発ガン物質が生成、過酸化アブラも有毒だ
第4章 料理油の選びまちがいは、生きまちがい──寿命がちぢむ、病気になる、ボケる
第5章 いきなりステーキ、いきなりポックリ!──肉好きは8倍心臓マヒで死ぬ……
第6章 ハンバーガーが、人類と地球をほろぼす?──不妊症男子の七七%が「バーガー大好き!」
第7章 「スーパーサイズ、ミー!」マックで死にかけた──「一か月マックのみ」実験に挑戦した映画監督
第8章 牛乳、チーズ大好き家族の落としワナ──発ガン、骨折、糖尿病……三五もの病因に
第9章 食べてはいけない!パン、カレー、シチュー──週刊誌まで実名告発を連発。時代は変わった……
第10章 サハラ砂漠は、人類の放牧で生まれた──〝牛の惑星〟は、いつしか〝砂の惑星〟に……
第11章 知ってはいけない?不都合な真実――コーヒー発ガン性から、モンスターGM食品まで……!
エピローグ 〝かれら〟は、カネの力で黙らせる