森下敬一 『食べもの健康法』●うに
うには、コノワタ、カラスミとともに、天下の三珍といわれ、酒の肴に最適な食物といわれる。
まさにそのとおりで、日本酒の味をこの上なく引き立ててくれる。
ちなみにコノワタは、なまこの腸を塩辛にしたもので、カラスミは、ぼらやさわらなどの卵巣を塩漬けにして、圧搾したあと乾燥したものである。
さて、うにであるが、酒とは栄養生理学的にも大変に合理的な組み合わせだ。
酵素成分が多く含まれるので、新鮮なものを生で食べると、解毒力は大いに高められ、酒害防止に役立つのである。
もちろん、酒と切りはなしても、その酵素による効用が得られることはいうまでもない。うには副食として用いても、最高に美味しいものだ。
食用とするのは、うにの生殖腺である。それだけにホルモン成分がたっぷりふくまれていて、著しい強精効果を表す。
しかも、即効性のあるスタミナ食品で、食べると程なくして、急に新鮮な血がふえて、体に力がみなぎってくるような感じを覚える。
これはウニの消化吸収が早いためで、その結果、血行がよくなり、体が温まってくる。
すぐれた強壮・強精食品だから、精力減退気味の人、疲れやすくなった場合は、新鮮なうにをみつけた時は、高価なものだがぜひ利用してみよう。
鮮度が落ちると、色はきたなくなり、水っぽく、崩れやすくなる。
また、体を温める食品だから、冷え性、夜尿症、しもやけの防止にも有効。
海女さんたちが、冷たい海のなかへも平気でもぐっている秘訣のひとつはうに食にあると考えられる。
最も新鮮なうにを常食できる特権をもっているのは、海女さんたちだけだからだ。
しかし、その海女さんにも長命グループと短命グループのあることが、近藤正二著『日本の長寿村・短命村』に記されている。
即ち大豆、ごま、各種野菜、海藻を常食している志摩の海女は長命、それに対して、白米をもう一度ついてさらに白くした、精製白米や肉を多食している能登の海女は短命、という。
うにに限った話ではないけれど、薬効食品を摂っていても食生活のパターンが不自然なものになっていれば、せっかくの薬効も相殺されてしまうわけだ。
日本人にとっての健全な食生活パターンとは穀菜中心食である。
それはさておいて、うににはビタミンAもたくさん含まれる。そのため、目の疲れをとり視力強化作用がある。
このほか、腸機能を健全にし、脱毛防止に役立つB12、強肝作用をもち、性ホルモン作用を活発にするB2なども多い。
このため、うにには、特に頭脳労働者の強壮・強精食品として最適といえよう。
また、ビタミンA、B12は皮膚生理を健全にし、内分泌のバランスをとるから、うには絶好の美容食である。
■生うにのにぎり寿司
材料(6人分)
・炊きたての玄米ご飯・・・900g
・米酢・・・大さじ4
・みりん・・・大さじ1
・自然塩・・・小さじ1と1/2
・生うに・・・適宜
・のり・・・適宜
<作り方>
①米酢、みりん、塩をよく混ぜて火にかけ、煮立つ寸前に火を止めます。
②熱い玄米ご飯を盤台に広げ、①をふりかけてご飯をきるようにして混ぜます。うちわであおいで冷まし、光沢が出て、湯気が出なくなるまで冷まします。
③のりは裏をさっとあぶり、3cm幅に切っておきます。
④生うには、強めの塩水にさっと漬けて、水を切ります。
⑤寿司飯を一握り手のひらにのせて、形を整えて握り、④を乗せて、まわりにのりを巻きます。
※生わさびが手に入りましたら、すりおろして、ほんの少々天盛りしてください。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。