歯医者の99%は手抜きをする 長尾 周格 (著)

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歯医者の99%は手抜きをする ダメな歯医者の見抜き方 いい歯医者の見分け方

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ぼったくりが横行する混合診療の黙認

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異常に安い診療報酬と患者数の減少にもかかわらず、多くの歯科医院がつぶれることなく営業し続けられるのには、他にもカラクリがあるのです。

そのカラクリとは、混合診療の黙認です。

混合診療の黙認とは、どのようなカラクリなのか、それを説明するために、まずは混合診療とは何かについて説明しましょう。

一言で言うと、混合診療とは、保険診療と保険外診療とをミックスして受ける診療のことです。

保険外診療というのは、保険の適応が認められていない治療法のことで、一部の先進医療や審美的な処置などが一般的です。

保険診療と先進医療が一緒に受けられるのだから、良いことだと思われるかもしれませんが、日本では混合診療は認められていないのです

(ただし2016年4月から、「患者申出療養」という形で一部混合診療が認められるようになりました。しかしこれは先進医療など、一部の治療のみで適応となる例外です)。

そして、混合診療の禁止とは、単に保険外診療に保険が適応されないというだけではありません。

例えばガン患者が保険診療で治療を受けていたとします。

しかし、保険診療だけでは、経過が思わしくないため、保険外の先進医療(例えば重粒子線治療など)や、保険適応外の抗ガン剤の使用などを行ったとします。

こうした場合、このガン患者は保険外治療の費用全額を負担するのみならず、それまでに保険診療で行われてきた過去の治療まで遡ってすべてが保険外扱いとなり、

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すべての治療について保険負担分を含む全額を支払わなくてはなりません。結果として患者には大きな経済的負担が生じることになるわけです。

もし、混合診療が解禁されれば、従来の保険診療を受け続けることができ、保険外診療の部分についてだけ自已負担すれば良いということになります。

これだけ聞けば、混合診療を解禁すべきと思われるかもしれません。

しかし混合診療を解禁するには大きな問題が潜んでいます。混合診療によって起こり得る問題について、日本医師会のホームページに説明されているので、抜粋して紹介します。

①政府は、財政難を理由に、保険の給付範囲を見直そうとしています。混合診療を認めることによって、現在健康保険でみている療養までも、保険外とする可能性があります。

②混合診療が導入された場合、保険外の診療の費用は患者さんの負担となり、お金のある人とない人の間で、不公平が生じます。

③医療は、患者さんの健康や命という、もっとも大切な財産を扱うものです。お金の有無で区別すべきものではありません。

保険外として取り扱われる診療の内容によっては、お金のあるなしで必要な医療が受けられなくなることになりかねません。

これは日本医師会の主張ですから、すべて鵜呑みにするわけにはいきません。

しかし、本質的なところは良く突いていると思います。

そして日本医師会が憂慮している混合診療解禁によって起こるであろう問題が、日本の保険歯科診療においては、すでに現実のものとなっているのです。

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ただし表向きは、歯科においても保険医療制度の元では混合診療は禁止されています。

とはいえこれは建前であり、実際には混合診療が行われています。

厚生労働省は、表向き歯科でも混合診療は禁止であると言っておきながら、事実上は混合診療を黙認しているのです。

例えば保険歯科診療でむし歯の治療を行った後、詰め物や被せ物で保険外のセラミックの詰め物・被せ物を勧められたことはありませんか?

あるいは実際に保険外の詰め物・被せ物を入れたことがある人は多いでしょう。これはまさに混合診療に当たります。

歯科においては、セラミックの詰め物・被せ物や、インプラントが保険外診療として行われている主な治療です。

しかし、これら代表的なものを含めて、保険外診療で使用される診療材料や薬剤、あるいは処置方法などの多くは、厚生労働省によって医療用材料、医療手技、医薬品として認可を受けています。

ですから日本国内でこれらの治療を行うことは違法ではありませんが、保険適応にはなっていないため、患者に大きな負担のかかる保険外診療になってしまうのです。

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そもそも歯科でセラミックの医療材料の認可が下りていて、セラミックが従来の歯科用金属やプラスチックよりも強度や耐久性、安全性に優れているのであれば、セラミックを保険適応にすべきだと思います。

それはさておき、皆さんは、なぜ歯科では混合診療が黙認されているのか、不思議に思いませんか?

実は、歯科での混合診療黙認の裏側には、厚生労働省と日本歯科医師会との闇取引が存在しているのです。

厚生労働省には歯科の保険給付を減らしたいという狙いがあります。

その一方で歯科医院には収入を増やしたいという切実な願いがあります。この双方の思惑と利益が一致することから混合診療黙認のルールが作られていったのです。

歯医者からすれば、極端に安い保険の診療報酬を受け入れる代わりに、保険外診療を混合診療で行うことを認めさせ、厚生労働省としては保険外診療の混合診療を黙認する代わりに、保険の診療報酬を抑制することを認めさせた、というわけです。

これが日本の歯科医療を腐敗させることになったのです。

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