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タネはどうなる?!~種子法廃止と種苗法適用で 山田 正彦 (著)

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タネはどうなる?!~種子法廃止と種苗法適用で

種子法廃止で、コメ、麦、大豆といった主要農産物の

「値段が上がる」?

「味がまずくなる」?

「食料不足を招く」?

「おなじみの品種が消える」?

「遺伝子組み換え作物が席巻する」?

種苗法によって、農家は「自家採種ができなくなる」?

そして、安倍政権はなぜこのような政策を推進するのか?

大手メディアが報じない、数々の疑問と疑惑に元農林水産大臣の山田正彦が迫る! 

●まえがき

聖書の創世記第1章には「夕となり、また朝になった。第三日である」。

「神はまた言われた。『地は青草と、種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を地に芽生えさせよ』。そのようになった」(第11節)と書かれてある。

タネは、人類にとって最も大切なものであることを聖書も示唆しているのではないだろうか。

私の尊敬する元農水省の農学博士大川雅央さんから聞いた「義農作兵衛」の話は江戸時代の享保の大飢饉(1732年)のときのことである。

伊予国の作兵衛がガリガリに痩せて麦俵を枕に、これを食べてしまったら来年の収穫は望めないと「農は国の基、タネは農の本です。一粒のタネが来年には百粒にも千粒にもなります」と餓死したことに感動する。

私はタネは農の基本であり私たち日本人の命を繋いできたもので、さらに言えば人類に受け継がれてきた遺産であると考える。

それは日本も2013年に批准した「食料・農業植物の遺伝資源に関する条約」の19条に「小農民の権利として自家採種の種苗の保存、利用、交換、販売する権利を有する」と「小農民は種子についての意思決定に参加する権利を有する」とあることと一致する。

ところが、今の日本ではそのことが大きく変わろうとしている。

少しわかりづらいが、種苗法21条では「登録された育種権者の権利は特性により明確に区別されない品種についても収穫物から、さらに種苗として持ちうること、その収穫物を販売、加工に回すことに育種権利者の効力は及ばない」として、育種登録された種子も自家採種して増殖することを認めている。

しかし同条の3項には農林水産省が省令で定める品種については適用されないと書かれて自家採種を禁じている。おかしい。

これまではバラ、キクなどの観賞用の花類、きのこ類など82種類を農水省の省令で適用しない種子として定めていたが、突然2017年になってキャベツ、ブロッコリー、ナス、トマトなどメジャーな野菜を含め207品目も自家採種して増殖することを禁止する品目に加えてしまった。

さらに68品目を追加する予定だとして、なんと一気に合計357品目を定めてしまうことになる。

これに違反した場合は10年以下の懲役、1000万円以下の罰金を併科することもできるとして共謀罪の対象にもなっている。

伝統的な固定種については、育種登録はされていないと思われるので従来のように自家採種はできるが、条文にもあるように「特性により明確に区別されない品種」も出てくるはずで心配になる。

実際に2018年5月15日の日本農業新聞の一面に「農水省は種苗の自家増殖原則禁止へ転換。法改正も視野」とある。

それだけではない。

国民がほとんど知らない間に、しかも国会でも審議らしい審議もされないままに、主要な農産物の種子法が廃止され、農業競争力強化支援法が成立した。

種子法があることで、私たちはコシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれなどの洗練されたおいしいコメを安定して、しかも安い価格で食べることができている。

種子法ではコメ、麦類、大豆は国民にとって大切な食糧として、その種子は国が管理して、農家が安定してコメなどを作れるように、各都道府県に種子の増殖、そのための原種、原原種の育種技術の維持を義務づけして、公共の物として守ってきたのだ。

米国、カナダ、オーストラリアなどでも、主要な農産物では各州の農業試験場などで栽培された公共の種子で支えられている。

このような公共による支えがなくなったらどうなるのか、野菜の実態を考えればわかりやすい。

かつて、40年ほど前までは、野菜の種子も、コメ、麦、大豆と同様に、国産100%、伝統的な固定種だったものが、今ではF1の品種になって、90%がアメリカ、南米、インド、アフリカなど海外で生産されている。

イチゴ、メロンなどの種子の価格も1粒1円か2円だったものが、今では1粒40円から50円になってしまった。

いつの間にか私たちが購入する野菜の種子のほとんどは、海外で巨大な多国籍企業、モンサント、バイエル、ダウ・デュポン、シンジェンタなどによって生産されるようになってしまった。

政府は、今回種子法の廃止の理由として、「三井化学アグロのみつひかりのような立派な民間の品種があるのに、各都道府県の優良な品種の奨励制度が民間の種子の参入を妨げてきた」ことをあげている。

しかし、みつひかりは県によっては奨励品種として認められているので理由としては納得できない。

価格にしても、コシヒカリの種子の価格が1キロ当たり400円から600円だが、みつひかりはF1の品種で、価格も1キロ3500円から4000円とコシヒカリの10倍になる。

すでに日本のコメ農家の一部では日本モンサントのとねのめぐみ、住友化学のつくばSD、豊田通商のしきゆたかなどが、農薬と化学肥料とのセットで購入、栽培されている。

政府は同時に成立させた農業競争力支援法8条3項によって「銘柄が多すぎるから集約する」としている。

これまでは各都道府県のコメの奨励品種だけで300種、多様な品種が栽培されてきたが種子法の廃止によって原種がなくなればいずれ国内の大企業、多国籍企業の民間の種子に頼らざるを得なくなるのは目に見えている。

また、これらの企業、及び農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)においては、すでに遺伝子組換えのコシヒカリなどのコメの品種も用意している。

いつの間にか、日本は遺伝子組み換え農作物の栽培認可件数だけで309種類、米国の197種類よりも多くEUをはじめ、中国もロシアも遺伝子組み換え食品は作らせない、輸入させないと動き始めているときに、日本だけが突出して遺伝子組換え大国になろうとしている。

なぜ、政府は世界の流れと逆行するようなことを急ぐのか。

その理由を私は政府がTPPを批准したことにあるのではないかと考える。

同協定での日米並行協議による交換文書に「日本政府は投資家(多国籍企業)の要望を聴取して、各省庁に検討させ、政府が必要なものは規制改革推進会議に付託、その提言に従う」とある。

これでは独立国ではない。

TPP違憲訴訟で、東京高裁の杉原則彦裁判長による判決の理由の中にも「種子法廃止の背景にはTPP協定があることは否定できない」としている。

タネは生きている。命を次の世代へとつなぐもので人類の遺産である。しっかりと守らなければならないと考える。


「種子法」…今年4月、聞き慣れないこの法律が密かに廃止したことで日本の「食」と「農業」が大きな危機に晒される! 

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