「半分」食べれば「2倍」生きる!【「空腹感」が長寿遺伝子をオンにする】

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船瀬俊介連載コラム

『「長生き」したければ、食べてはいけない』(徳間書店)という本を出しました。(コラム執筆当時)

※『「長生き」したければ食べてはいけない』の 超バージョンアップ新装版!として 「食べない」ひとはなぜ若い? 空腹でオン!「長寿遺伝子」の驚異 (ヒカルランド)で発売中です。

これは、人類にとって最上の智慧を提供する一冊といえます。なにしろ「不老長寿」は、あの秦の始皇帝以来、人びとの見果てぬ夢であります。

その謎の一端が解けたのです! すでに、そのヒントは1935年の衝撃的実験で明らかにされています。

アメリカ、コーネル大学のマッケイ教授らは、ネズミの実験で驚愕(きょうがく) 事実を確認しています。

それは「カロリーを60%に制限した群は、食べ放題のネズミたちより、寿命が約2倍に延びた」というもの。腹六分で2倍長生きした!

つまりカロリーを半分近くに減らしたら、寿命が2倍に延びたのです。これは、それまでの栄養学の常識を覆すものでした。

「近代栄養学」は「栄養のあるものを、多く取るほど人びとは健康になる」という発想です。

これは19世紀後半のドイツ、ミュンヘン大学生理学教授のフォイトが唱えたものです。彼は近代栄養学研究の中枢に君臨し「近代栄養学の父」と称えられています。

その持論は「栄養のあるものは、取りすぎることはない」というもの。今から考えれば無茶苦茶な理論です。

①肉食礼賛、②カロリー至上主義のペテン

その栄養学は二本の柱からなっていました。それは①肉食礼賛、②カロリー至上主義。

まず「肉・牛乳・卵など動物タンパクは優良タンパク質である。植物タンパク質は劣等である。炭水化物は栄養価が乏しいので控える」。

そして、ドイツ国民(成人)は1日48 グラムのタンパク質摂取で十分なのを知りながら「1日118グラムのタンパク質を取るように」と推奨したのです。

なんと、2.5倍も膨らませていた!なぜ、このような”操作“を行なったのか? フォイトが食肉業界などから多額の献金(ワイロ)をもらっていたことは、200%間違いない。

さらに、彼は基礎代謝カロリーとして1日約1500キロカロリーを定めた。

「これ以下だと、栄養失調で餓死する」と脅した。しかし、あの南米チリ労働者たちはほとんど何も口にしていなかったのに、餓死者は一人も出ていません。

フォイト栄養学は、今からみれば”狂気の栄養学“です。しかし、このペテン栄養学が、いまだ全世界の大学などで教えられているのです。

腹七分サルは若々しく生存率1.6倍

そのフォイト栄養学を根底から覆すのがコーネル大学のネズミ実験です。カロリー約半減で、餓死どころか寿命が2倍に延びたのですから……。

しかし、この衝撃実験内容を世界のマスメディアは完全に黙殺封印しました。

食料半減で2倍生きる!この事実を知ったら、かれらの大切なスポンサー食品業界の売り上げが半減するからです。

しかし、「抗齢学」(アンチェイジング) の学者たちは、地道な研究を続行。なんと、単細胞生物から線虫、ミジンコ、昆虫、哺乳類までカロリー制限で寿命が1.5~2倍のびることを次々に証明しているのです。

その決定的研究がウィスコンシン大学のサルの実験でしょう。

76頭を二群に別けて、一群Aには食べたいだけ食べさせ、B群はカロリー70%に制限したのです。

そして、20年が経過…。その結果は驚愕すべきものでした。

A群サルはシワだらけで老いています。

B群はシワもなく毛並みもつやつや若々しい。人間だと約80歳に相当。同じ歳なのにA、B群は親子ほど見た目が異なります。

さらにB群はA群より1.6倍も生存し、ガン、糖尿病、心臓病などによる死亡率もなんと三分の一以下!この驚異的な老化の差は、どうしてもたらされたのでしょう?

「空腹感」が長寿遺伝子をオンにする

研究者たちは、この謎が長寿遺伝子によるものと解明しました。人間には約50種類もの長寿遺伝子が確認されています。

その代表格が「サーチュイン」遺伝子。これらは活性酸素などから遺伝子が傷つくのを防ぐ作用があります。

「老化」とは遺伝子の「傷」により進行します。だから「傷」を防げば老化しない。その長寿遺伝子のスィッチを押すのは、なんと「空腹感」だったのです!

現代人は2倍食べ過ぎています。だから寿命を半分に縮めている。正しい量、腹六分くらいにすれば、寿命は2倍にのびる……というわけです。なんと簡単な長寿法でしょう!

ヨガの教えに「腹八分で医者いらず」「腹六分で老いを忘れる」……とあります。それは真実だったのです。

おまけに病気にかからない。食費もかからない。いいことづくめ。冒頭の拙著は、まさに長寿のバイブル。ぜひ、読んで家族、友人、知人に広めて下さい。

2011年03月 月刊社会民主 「船瀬俊介の躰にいいコラムVOL . 78」より転載

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/

船瀬俊介公式facebook=  https://www.facebook.com/funaseshun

船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」=  https://www.facebook.com/funase.juku

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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