究極の日本酒 マリアージュで楽しむ純米無濾過生原酒16本 杉田 衛保 (著)

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究極の日本酒 マリアージュで楽しむ純米無濾過生原酒16本

私は高田馬場の日本酒居酒屋「真菜板」の店主をしています。

駅から離れたところにある、カウンターだけ10席の店です。置いてある酒はエーデルピルスビールと一六蔵の日本酒のみ。

妻の征子が料理をつくり、それに合わせて私が酒をお出ししています。

私は一九八二年に池袋で「釈里」という当時としては地酒居酒屋の走りだったお店をはじめました。

それ以来、三五年近く日本酒の世界に身を置き、日本酒のことを勉強してきました。その中で、ある結論にたどり着きました。

純米無濾過生原酒、そしてマリアージュです。

純米無濾過生原酒とはごまかしのない本物の日本酒です。酒を造る蔵元、酒造りのリーダーである杜氏、酒造りにかかわる蔵人たちの技術と情熱の結晶です。

日本酒の造りを勉強していくうちに、それが日本酒の基本であることがわかってきました。そして、この酒は、熟成や憫に向く酒であることもわかってきました。

また、純米無濾過生原酒は、食べながら飲むことによってその価値が発揮される食中酒であることもわかってきました。食べ物と酒を合わせることをマリアージュと言います。

フランス語で「結婚」という意味です。

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ワインの場合はこのマリアージュをとても大切にしています。ソムリエがいて、ワインを料理に合わせる。

でも日本酒は同じ醸造酒にもかかわらず、このマリアージュについてはほとんど考えられてきませんでした。

一九九八年に真菜板を開店するにあたり、私は純米無濾過生原酒という本物の手造りの日本酒だけをあつかおう、純米無濾過生原酒のマリアージュを極めよう、そしてその素晴らしさをここから発信していこうと思いました。

10年20年かかるかもしれないけれども、それが本物であれば、少しずつ認められ、輪が広がり、やがてブレイクするだろう。

そう信じて、すべての情熱をかたむけてきました。

純米無濾過生原酒とは何か?

純米無濾過生原酒とは、究極の技術で造った日本酒であり、造りの原点です。旨みがあり、それでいて、完全発酵によるキレと強さがある酒です。

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多くの人たちにぜひ飲んでもらいたい究極の手造りの日本酒です。これこそ日本酒の完成品だと思います。

しかし、この酒がそのまま出荷されるかというと、残念ながらそうではありません。純米無濾過生原酒は出荷される日本酒の一%にも満たないのです。

たいていはここに人工的な操作が加えられてしまいます。濾過によってさまざまな成分が除去されます。

また、添加物が入ります。純米無濾過生原酒とは、このような操作が一切加えられていない日本酒のことを言います。

ごまかしのない酒

炭濾過、アル添、加水した酒は、不自然な酒です。添加物を入れたり、濾過したりすれば味のバランスが崩れます。

アル添、加水は味を薄めしまいますし、炭濾過は味を引いてしまいますから。また、炭濾過、アル添、加水は完全発酵と不完全発酵の裏表になっています。

アルコールを加えると、辛く、強い味になります。しかもそれを水で薄め、炭濾過をして旨みも取ってしまうわけです。

そうすると、辛くて味か薄いだけの不味い酒になってしまう。そこで、発酵を途中で止めて糖や雑味をわざと残すわけです。

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完全発酵していない酒でも、炭濾過、アル添、加水すればごまかせます。でも、よく味わえば、完全発酵していない酒は、甘み、旨み、香り、全部なじんでないんです。

ごまかしのない酒は、個性がいっぱいあるわけです。

添加や濾過は一種のテクニックというか、カモフラージュかもしれませんが、そういう酒はいい個性をなくしているわけです。

誤解を生むような酒を造るな、ごまかした酒を造るなと言いたい。こういった酒は中身を語れない酒です。

聞かれても正直に語れない。語るとマイナスなことばっかりになっちゃいます。

なぜ純米無濾過生原酒は造られないのか?

それでは、なぜ純米無濾過生原酒は造られないのでしょうか?

それは、技術的な難しさがあるからです。

時間もかかる、技術も要する、手間暇もかかって、原価もかかって、管理も難しい。でも、高く売れない。杜氏泣かせ、蔵元泣かせ、販売店泣かせです。

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完全発酵させるには温度調整の技術や、しぼるタイミングを見極める勘と経験が必要です。醪日数を引っぱるので時間もかかります。

酒造りの工程でどこかひとつでも問題があれば、それが味に出てきてしまいます。米の良し悪しも味に出てしまうので、高くて質のいい米を買わなければいけなくなる。

熟成による味の変化もありますから、その管理も重要になる。とにかくたいへんです。また手間暇かけて丁寧に造るので大量生産もできない。

ただし、純米無濾過生原酒を造るようになった蔵は、確実に技術が向上します。逆に言えば、純米無濾過生原酒に挑戦している蔵は、技術の向上に真剣に取り組んでいる蔵だと言えるでしょう。

究極の本物の酒を造りつづける蔵は、すごく進歩が早いなと思います。ごまかしの酒造りは進歩が必要ない。

けれども、本物の酒造りをつづけていると、はじめは失敗もするかもしれないけれども、理想の酒を目指して進歩してくるのです。

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by ヨメレバ

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