森下敬一 『食べもの健康法』●高麗人参
薬用植物多しといえども、あまねく人々にその名が知れ渡っている点では、高麗人参の右に出るものはないであろう。
人類と高麗人参とのかかわりあいは、どうやら5000年来のものらしい。
それほど長きにわたって高貴薬として存在し続けたということは、薬効の高さは勿論のこと、その多彩さによるのであろう。
人の体質は時代とともに揺れ動いており、病気に性質も違っている。
そういう流れの中でも、常にすぐれた薬効食品として機能し続けるのは、いかなる変化球も受けとめ得る能力があった、ということだ。
ここでは、代表的な薬効のいくつかをあげておこう。
第一に、スタミナ増強、疲労回復、老化予防の効果である。
ホルモン分泌を盛んにして、バイタリティおよび性的能力を高める。活力あふれる体になり、疲れ知らずで、肉体的若さが長持ちするようになる。
第二は、消ガン効果。
12種も含まれる特有のサポニン(パナックスサポニン、パナセチンなど)が総合的に働いて、自然治癒力を高めるものと考えられる。
健康な体細胞の働きを強めることによってガンの自然消滅を促すわけだ。
特に、自律神経機能、内分泌機能といった調節系を健全にすることと、内臓に力をつけて基礎体力を増強することが、大きな要因になっている。
制ガン作用をもったゲルマニウムが、薬用植物の中でも飛びぬけて多量に含まれていることが、大きな因子になっている、という説もある。
第三に、抗ストレス効果。
大脳皮質が適度に刺激されることで、副腎皮質機能が高められるらしい。
実際、イライラしやすい人、心因性の胃腸病や頭痛、めまいなど更年期障害の症状に悩んでいる人、神経質体質の人が常用するとめざましい効果が得られる。
第四に、肝機能を強化し、肝臓病を解消する効果。
核酸や体蛋白の生合性を促すので、肝臓の再生力はグンと高められる。酒を飲む機会が多い人、肝臓に自信のない人は、大いに活用するとよい。
第五に、冷え性を根治する効果。
保温作用が著しくホルモン分泌を高めるので、体熱の発生がスムーズになる。
このほかに糖尿病、肌荒れ、低血糖症、喘息などにも有効である。
なお、薬効成分はサポニン、ゲルマニウムのほかに、精油、各種ミネラル、ビタミンB1、パントテン酸があって、総合的に働いている。
今でこそ栽培方法が進んでいるが、昔はいちどにんじんをつくると、同じ土地には40年間何も栽培できなかった、といわれる。
それほど土中の有効成分を徹底的にとりこんでしまうわけだ。
それが体内で放出されて、驚異的な薬効が生まれる。大自然のからくりの妙といえよう。煎じて、空腹時に飲めばよい。
■高麗人参入りベジタブル・シチュー
材料(4人分)
・高麗人参根・・・1本
・小玉ねぎ・・・8個
・にんじん・・・100g
・じゃがいも・・・小4個
・セロリ・・・1本
・ごま油・・・大さじ1と1/2
・ローリエ・・・2本
・だし汁・・・4カップ
・自然酒・・・少々
・自然塩・・・少々
・豆乳・・・2カップ
・小麦粉・・・1/2カップ
・パセリ・・・少々
<作り方>
①玉ねぎは丸ごと、にんじんは大きめのクシ形切り、じゃがいもは皮ごと半分に切り、セロリは厚めの斜め切りにし、厚手鍋を熱して、ごま油で炒めます。
② ①に高麗にんじん、ローリエ、だし汁を加えて2時間ぐらい静かに煮込みます。途中で塩、酒を加えます。
③別鍋でごま油を熱し、小麦粉を炒め、豆乳を少しずつ加えながら木べらで練り、ホワイトクリームを作ります。
④十分煮込んだ、②と③を静かに合わせ混ぜ、器に盛り、パセリのみじん切りを散らします。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。