この薬、飲み続けてはいけません! (薬をやめると超元気になる)   内山 葉子 (著)

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この薬、飲み続けてはいけません! (薬をやめると超元気になる)

第一章 なぜ、医師の私がこの本を書いたのか?より

腎臓内科では薬をやめることが治療の第一歩

薬に関する一般向けの本は、現在、多数出ています。

しかし、薬のガイドブックか、または薬全般を否定的に語る本がほとんどで、「飲み続けてはいけない薬」に焦点を当て、やめるための具体的なアドバイスにまで踏み込んだ本はありません。

私は、前々から、薬を賢く使うためのそうした本が必要だと思ってきたので、今回、機会を得て本書を執筆することにしました。

なぜそう思ってきたかというと、大きく2つの理由があります。

薬について、理解を深める助けにもなると思いますので、本書の冒頭で、まずはその理由を述べましょう。

理由の1つは、私の専門が「腎臓内科」であることです。

薬は、さまざまな臓器に負担や悪影響を与えます。もちろん直接口から入れるため、胃や腸のダメージもありますが、なかでも影響が大きいのが腎臓と肝臓です。

ほとんどの薬は体内にとり込まれたあと、肝臓と腎臓で代謝、排泄されるからです。

肝臓では薬を活性化します。体内で使われたあと、薬を処理しやすいように分解したり、ほかの物質に変換したりするのも肝腺の役割です。

その後、薬の成分は胆汁から便へ排泄されるか、血中に入り、腎臓を通って尿から排泄されます。

薬は体にとっては異物のため、使い終わると手間をかけて排出しなければなりません。

そのため、肝臓と腎臓に大きな負担をかけるのです。

実は、「腎臓を治す薬」はありません。

逆に、薬を使うほど、右のような理由で、腎臓を酷使します。普通、現代医学で治療といえば、「薬を使うこと」ですが、腎臓の場合は逆です。

「不要な薬や、腎障害が起こりやすい薬をやめること」が、治療の第一歩なのです。

腎臓の治療では、有害物質(有害金属、化学物質、感染や炎症やストレスで発生する物質など)をへらすこと、食事療法、腎臓の血流を保つこと、糖尿病をはじめとする全身疾患の管理なども必要です。

しかし、まずは「服用している薬」を見直すのが出発点です。

もちろん、生命や重大な症状にかかわる薬はやめられないので、その見極めが重要にな
ります。

腎臓内科を専門とするからには、いやでも薬の知識をふやす必要がありました。

それに加えて、食事療法や栄養について勉強していくうちに、多くの情報が得られ、薬が及ぼす栄養への悪影響を知る機会がふえました。

「こんな生活改善や代替療法(通常医療の代わりに行われる医療)を行えば、この薬をやめても大丈夫」など、薬をやめるに当たってのフォローの方法も学びました。

こうした薬の見極めやフォローは、腎臓病の患者さんには必須ですが、それ以外の人にももちろん大切です。

腎臓内科医だからこそ、深く学ぶことができた薬の知識を、多くの人にきちんと知っていただきたいと考えたことが、本書の執筆の第1の理由です。

★「飲み続けてはいけない薬」に焦点を当て、やめ方まで記した本はない

★ 腎臓を治すには、不要な薬をやめる必要がある

不要な薬が多く使われていることを老健施設で体感

もう1つの理由は、私が以前、介護老人保健施設(以下「老健」)の施設長をしていたときの体験です。

老健の施設長は原則として医師が務め、施設の運営とともに、入所者の医学的管理を行います。

運営といっても、経営母体は別にあるのが一般的です。私は2003年から2年間、ある老健の施設長を務めました。

老健では、入所者さんが使う薬を介護保険で賄います。

制度上、健康保険は使えません。そのため、使う薬が大量になると費用がかさみ、施設の経営に影響します。

経営者としては、不要な薬はできるだけ避けたいという希望があるわけです。

老健に入ってくるお年寄りは、入所する時点で、一般的に10種類ほどの薬を服用しています。

1種類につき1~3錠を飲むので、1日に少なくとも20錠前後は飲んでいます。

当時、大きな病院でばかり勤務していた私は、老健の施設長になるまでそういった実態を知る機会がなく、「こんなに薬を飲んでいるのか」とびっくりしました。

そこで、必要な薬を厳密に見極め、飲む薬をへらすことが、最初の重要な仕事になったのです。

病歴や症状を調べながら、必要な薬、当面は続けるが様子を見て検討する薬、不要と思われる薬を判断し、薬をへらしていきます。「はじめに」でもお話しした「薬の整理」です。

例えば、ひざ痛、腰痛、頭痛、その他の痛みを訴えて痛み止めが出ている場合、すでに痛みがなくなっているのに、飲み続けているケースが多く見られました。

そこで、痛みの様子を問診しながらやめていきました。また、多くの人が人エビタミン剤を多種類飲んでいました。

人工ビタミン剤とは、天然成分ではなく、人工的に作ったビタミンを薬にしたものです。

血流促進や不調の緩和などの目的で、継続的に処方されていたのです。

これも、必要性が低いと判断してやめました。胃薬を処方されている人も多数いらっしゃいました。

これには、胃もたれや胸やけなどを訴えたので処方されたものと、痛み止めなど胃を荒らす恐れのある薬を飲むとき、付随的に出ているものがありました。

多くのケースで、胃の症状はほとんど治まっていましたし、痛み止めをやめてもらったので、付随的な胃薬もやめることができました。

高脂血症(脂質異常症のうち、血中の脂質が多くなりすぎる病気)の薬を出されていた人も多かったのですが、この薬は、もともと必要性に疑問符がつくので(詳しくは145ページ)、やめていただきました。

血圧の薬は、急にやめると危険なので、様子を見ながらへす方向で検討しました。

その結果、大幅に薬をへらせた人、多くても2~3種類だけでよくなった人が多数いました。

糖尿病の薬は、やめられない場合もあるので、近くの医療機関で血液検査をしながら適切な量を継続しました。

このようにして、薬を大幅にへらしたのですが、しっかり必要性を判断したつもりであっても、私は少し不安でした。

ここまでへらすと、不調や問題を起こす人がいるかもしれないと思ったからです。

そのため、しばらくはこまめに聞き取りや診断をして、問題が起こったらすぐ対処できるようにしていました。

ところが、結果的には、そんな心配は不要でした。減薬や断薬の影響による問題は起こらず、それどころか入所者さんたちは、薬をやめる前よりはるかに元気になりました。

私はこの経験からも、現在、出されている薬の多くは、種類や状況を見極めてやめられるし、やめたほうがいいということを確信しました。

それを知識だけでなく、現場で体感できたのです。これが、本書を執筆する第2の理由です。

私は、今のクリニックでも、老健の施設長時代と同じような「薬の整理」を行っています。

患者さんは、不調があるから来院されるわけで、すでに他院で、ある程度の薬を処方されているのは当然といえます。

しかし、痛み止め、胃薬、人工ビタミン剤、降圧薬、高脂血症薬、抗うつ薬など、あまりにも多くの薬が処方され、それぞれが複数種類、多施設から出ていることもあります。

1日に30錠から40錠飲んでいる人も珍しくありません。

そういう場合は、「効いていないようなら、やめてみましょう。薬によってかえって悪化していることもありますよ」と説明し、前述のような原則に従って薬をへらします。

もともと不調を抱えているので、必ずしもそれだけですっきり改善できる人ばかりではありませんが、少なくとも、悪化した経験はありません。

薬をやめて、症状が改善する人も少なからずいらっしゃいます。

つまり、漫然と出されている多くの薬が、効いていないか、あるいはかえって体に悪影響を与えているわけです。

現在も、こうした経験をするたびに、今の日本では必要以上の薬が処方されていることを痛感します。

★老健施設で実際に薬をやめさせる経験を積み重ねた

★薬をやめても症状が悪化する例はほとんどなく、逆に減薬や断薬ができた人もいた


すべての薬は、内臓、特に腎臓と肝臓に負担をかけます。

そのため、短期間でわかるハッキリした副作用以外にも、体に害を与えます。ですから、不要な薬はできるだけ飲まないことが、健康を保つ秘訣です。

しかし、極端に薬を拒絶するのも危険です。本当に必要な薬もあるからです。

また、できればやめたほうがいいが、急激にやめると危険なため、医師の慎重な判断のもとで、やめる必要のある薬もあります。

本書では、そのなかから、特に、

「長期的にくり返し使うことで多くの問題が生じる。しかもそれがあまり知られていない」

「頻繁に使われている」

「安易に投与されている」

「漫然と長期的に使われやすい」

などに当てはまる薬について解説します。

誤解しないでほしいのは、これらの薬は「使ってはいけない」わけではありません。必要なときは使うべきです。

しかし、いずれも、長く使い続けるメリットはありません。それどころか、漫然と飲み続けることで、かえって体調を悪くしているケースが多く見られます。

ですから、これらの薬については、「必要な一時期だけ飲むのはいいけれど、漫然と飲み続けるのはやめましょう」と呼びかけたいのです。

この本のタイトルが、「この薬、飲んではいけません」ではなく、「この薬、飲み続けてはいけません」なのは、そのためです

★抗生物質、胃薬、痛み止め、コレステロール薬に要注意!

★降圧薬、抗うつ薬のやめ方も伝授

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