小麦は食べるな! ウイリアム・デイビス (著), 白澤卓二 (翻訳)

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小麦は食べるな!

「私たちは遺伝子操作で”破壊された小麦”を食べています」

アメリカでは2億人が毎日、何らかの小麦食品を食べ、結果として1億人以上の人が肥満、高血圧、糖尿病、心臓・内臓疾患、脳疾患、皮膚疾患などで苦しんでいます。

著者は自分の患者2000人に博士独自の「小麦抜き生活」を実践させたところ、病気、疾患の全快など、著しい改善をみました。

本書は博士の患者の実体験を随所にちりばめ、今日から使える小麦抜き生活の方法をつけた新しい食生活のバイブルとなるでしょう。

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われわれに今大きなツケを残す遺伝子操作の実体!

農作物としての小麦は、作付面積で辛うじてトウモロコシに主位を奪われたものの、未曾有のスケールで大成功を収めました。

そして、地球上でいちばん消費されている穀物として他を圧倒し、全消費カロリーの20%を占めています。

さらに、まぎれもなく経済面での成功も収めました。消費者受けの良いアメリカ心臓協会のお墨付きの、輝くばかりの3ドル99セントの商品を原材料5セントで製造できるものは、そうざらにはありません。

多くの場合、小麦食品のマーケティングコストは原材料のコストを上回っています。

部分的または全面的に小麦を原材料とした朝食、昼食、夕食、軽食の小麦食品は常識になりました。

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こうした食事法は、アメリカ農務省(USDA)、全粒穀物協議会、全粒小麦協議会、アメリカ栄養士会、アメリカ糖尿病協会(ADA)、アメリカ心臓協会を喜ばせます。

もっと健康な全粒粉を食べましょう、という自分たちのメッセージが全面的かつ強力な支持を取り付けたのですから。

ではなぜ、何世代も人類の食を支えてきた善良そうなこの植物が、にわかに人類に歯向かうことになったのでしょうか?

現代の小麦はわたしたちの先祖が日々のパンのために粉にしていた穀物とは違います。

自然環境では何世紀もの間にわずかしか進化しなかった小麦は、ここ50年間に農業科学によって劇的な変化を遂げました。

小麦の品種は、菌類などの病原菌のある環境や日照りに抵抗力をつけるために、交配、異種交配、遺伝子移入が重ねられました。

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なかでも遺伝子変更によって収穫量が増大し、現在、北米の平均的農家の収穫量は1世紀前に比べると10倍を超えます。

このような飛躍的な収穫量の増大には、遺伝子情報の大幅な変更が必要でした。

これによって過ぎし日の誇り高き「琉泊色にうねる小麦の穂」は、現代の高生産性”綾性”小麦になりました。

こうした根本的な遺伝子変更は、これから説明しますが、結果的に高くつくことになったのです。

「パンはわたしのコカインなの!」

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小麦は、いわば食品のヘイトアシュベリー(60年代のヒッピー文化発祥の地。薬物のLSDの使用も行われた)であり、脳や神経系に特異な影響を及ぼすことにかけてはほかに並ぶものはありません。

疑う余地はないのです。

人によって小麦は依存性を引き起こします。とりつかれていると言えるほど依存している人もいます。

小麦依存の人たちの中には、自分が小麦依存であることをちゃんとわかっている人もいます。

あるいは、パスタやピザといった小麦を含む食べ物に病みつきだと思っている人もいます。

わたしが教えるまでもなく、彼らは小麦入り食品に病みつきで、ちょっとしたハイな気分になることを自覚しています。

郊外に住む、身なりのいい教育熱心な母親に熱っぽくこう告白されると、わたしはいまもぞっとします。

「パンはわたしのコカインなの。絶対にやめられないわ!」

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小麦は食べた人に対し、何を食べるか、どのくらいのカロリーを消費するか、いつ食事や間食をとるかまで命令している可能性があります。

人の行動や気分に影響を与えることもあるのです。思考を左右することさえあるかもしれません。

わたしが小麦除去食を提案すると、患者の多くは何週間る小麦食品のことを考え続けたり、話題にしたりして、食べたくてよだれが出るほどに小麦にとりつかれると言います。

「パンのことばかり考えています。夢にまで見るんです!」と言う彼らの中には、食べたくなる衝動に屈して、開始から数日で降参してしまう人もいます。

もちろん、これらは小麦依存の一つの側面です。

小麦食品と縁を切った人の30%が、いわゆる禁断症状としか言いようのないものを経験します。

これまでに何百人もが小麦を抜いてから数日から数週間、極度の疲労感、思考力の減退、イライラ感を覚え、学校や職場でいつもどおりに活動できなくなったり、憂うつになったりしたと言うのを目にしました。

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そして、ベーグルかカップケーキを1個食べれば、完全に落ち着きました(いいえ、残念ながら、ベーグル4個、カップケーキ2個。

プレッツェル1袋、マフィン2個、あとブラウニーをちょっと、という方が多く、翌朝には自責の念という厄介な症状が現れます。

これでは悪循環です。ある物を断とうとすると、その後には必ず不快な症状に出あい、その物を再びとると不快さは消える—-

わたしには、まさに中毒と禁断症状のように思えます。

こうした作用を経験したことのない人は、そんなばかなことはない、と鼻であしらいます。

小麦みたいなありふれた食べ物が、ニコチンやクラック・コカインのように中枢神経系に影響を与える可能性、があるなどとは信じられないのです。

小麦は食べるな!
ウイリアム・デイビス 日本文芸社 2013-07-13
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