免疫力を高める生活―健康の鍵はミトコンドリアが握っている 西原 克成 (著)

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免疫力を高める生活―健康の鍵はミトコンドリアが握っている

健康の鍵はミトコンドリアが握っている

ところで、あなたは新陳代謝がいいほうですか?それとも、悪いほうですか?

そのように問われたら、「汗をかきやすいから新陳代謝はいいほうです」とか、「冷え性だから、新陳代謝は悪いほう」とか、体質や自覚している体の状態で答えるでしょう。

このように、日常会話にもたびたび出てくる「新陳代謝」ですが、じつはこれ、人体を形成する約60兆個の細胞に関わる重要なキーワードにして、免疫力を高める生活にとっても、ポイントとなる言葉です。

でも、それを的確に説明できる人は、決して多くはないはず。

新陳代謝の本来の意味は、古いものが新しいものと置き換わることです。ビジネスの世界においても「社内の新陳代謝をはかる」などと言ったりする、身近な言葉でしょう。

これが、人の肌の健康状態のよし悪しや爪の再生などといった、目に見える現象を指すのはご存知のとおり。

けれどもそれだけではなく、まさにヒトの生命活動そのものと言えるから重要なのです。

この本では、新陳代謝を「リモデリング」と呼び、みずから新しくつくり換わっていく、生き物の最大の特徴と意味づけます。

冒頭の、「汗をかきやすい」とか「冷え性」は、それぞれ、「細胞がつくり換わりやすい」「細胞がつくり換わりにくい」とも言い換えることができるのです。

リモデリングでは、新陳代謝は、どのように行われているのでしょうか?これは、細胞のなかでミトコンドリアが酸素を使って行う呼吸、つまり、ミトコンドリアの呼吸なのです。

逆にいうと、ミトコンドリアの呼吸が細胞内で正常に行われていると、若々しい細胞を保つことができ、元気で長生きできるということ。

いつまでもが活発であることを意味します。

つまり、新陳代謝そして、ミトコンドリアを元気にするような状態で日々を過ごすことが「免疫力を高める生活」なのです。

私がこの本でお伝えするのは、このミトコンドリアこそが、健康長寿の鍵を握る極めて重要な細胞小器官(オルガネラ)であること。

さらに、細胞内の生命体であり、一二世紀の生命科学と医学の主役になる、いのち「生命のなかの生命体」であろうということです。

では、健康の鍵を握っているミトコンドリアについて簡単に説明しておきましょう。

ひとことで言えば、あなたの体は細胞でできています。生き物のなかのいちばん小さな単位は細胞ですが、前述のように、その細胞は呼吸をしています。

その細胞のなかで呼吸をしている主体が、ミトコンドリアと呼ばれる小さな器官です。

たとえば、日本という国があなただとしたら、国民ひとりひとりがミトコンドリアだと想定するとわかりやすいでしょう。

そしてそれぞれがミトコンドリアを含むおよそ60兆個の細胞が集合してこそ、あなたが存在するのです。

ミトコンドリアは、酸素呼吸をする生物には必要不可欠なもので、ほとんどの細胞のなかに含まれていて、生体の活動に必要なエネルギーをつくり出しています。

生物の教科書に出てくる細胞の構造図で、丸いカプセルのような形で描かれていたのを思い出した人もいるでしょう。

長さが0.5マイクロメートル(1マイクロメートルum=1000分の1ミリメートル)ほどの楕円形をしていて、外はなめらかな膜でおおわれ、内側は「クリステ」と呼ばれるひだ状の構造になっています。

内側の膜の上には酵素が含まれていて、ここで酸素を利用して栄養素を分解しながら、「アデノシン三リン酸」(ATP)という化学エネルギーをつくり出しています。

このミトコンドリアが産出しているATPという化学物質のもつエネルギーが、熱や電流に変換されて体温を維持したり、筋肉の収縮、神経活動、物質の合成や分解などに使われたりしているのです。

いわば、細胞のなかの発電機のようなもの。

ヒトの体の細胞は、ミトコンドリアによって行われる新陳代謝により新たにつくり換えられ、生命を維持しているわけです。

このように、ミトコンドリアはヒトの体内で極めて重要な働きをしているにもかかわらず、一般的にはあまり注目されていないどころか、昨今の理科離れによって、若い人たちからはその存在までもが忘れ去られようとしているのが実情です。

免疫力を高めるための三つの原則

健康になるための生活習慣を述べる前に、免疫力を決定づける、ミトコンドリアの働きを活性化するための三つの重要な方法を示しましょう。

一つは、細胞の新陳代謝を促すための鼻呼吸によって、新鮮で清潔な酸素を取り込むこと。

二つめは、細胞レベルの消化をもっとも効率よく行うために、肌や肺を冷やさないことと、冷たいもので腸を冷やさないこと。

三つめが、栄養バランスのよい食物をよく噛んで食べることです。

この「正しい鼻呼吸法」と「体を冷やさないこと」と「阻噂による腸からの栄養吸収」がミトコンドリアの働きを促すーーー。

結果として、病気は治るし、健康な人は、さらに健康になるのです。


いまの日本の医療界は、本気で病気を治そうとしていない。

そんなショッキングな発言を繰り返し、「異端児」扱いをされている著者。

本書は、著者の豊富な治療経験と、ゆるぎない研究成果をもとに確立された自然の法則にのっとった健康増進法を、誰にでもわかることばと方法でまとめ上げたものです。

病気ではないのだけれど、なんとなく不調なあなた。

もしかしたら、あなたのミトコンドリアは、まちがった生活習慣のために、かなりダメージを受けているのかもしれませんよ!

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