森下敬一 『食べもの健康法』●ピーマン
ピーマンが日本の食卓に完全に定着したのは昭和35年頃で、以来、どこの八百屋の店頭でも見られる。
それは大変に結構だが、最近では一年中並べられている。これは完全な行き過ぎだ。
季節はずれのピーマンでは、薬効よりも害作用のほうが大きいと考えて、まず間違いない。
ベル形をし、果皮が厚く、辛味がなく特有の香りのあるこの食品を、ピーマンというのはフランス語の呼び方。
英語ならスィート・ペッパー(または単にペッパー)だ。
ともあれ、夏の健康に欠かせないビタミンAとかCが、他の野菜に比べるととびぬけて多いのだからありがたい。
A、Cとも体の抵抗力を強化して、夏ばての防止・回復に卓効をあらわす。
両者とも、細胞と細胞をしっかりとつなぎとめるニカワ質の生成に不可欠な成分なのだ。
ニカワ質が十分につくられれば、組織がたるんだり毒素に対する防衛力が弱くなる弊害などは避けられる。
熱い季節には食欲がなくなりがちで口当たりのいいさっぱりとした食物や冷たい飲み物を多くとるから、組織もたるみがちで、暑さ負けしやすい。
またそんな人は涼しい季節になって食が進むようになると、組織は膨張して肥満になりやすい。
だから、夏場は涼しく過ごすための工夫のほか、組織の抵抗力を維持・強化することも併せ行うことが重要である。
その際、ピーマンが大いに役立つのだ。
ピーマンは脂肪代謝をスムーズにする作用を持ち血液中に中性脂肪が過剰になったり、コレステロールが血管に沈着するのを防止するから、動脈硬化や高血圧に有効である。
それと同時に、物質代謝全般を活性化するので、糖尿病、肥満体の人も大いに活用するとよい。
また、神経細胞の抵抗性を高めるのでノイローゼの防止にも役立つ。
視力強化作用を持つのも、ピーマンの特性の一つ。物質代謝が促されて、老廃物の排泄が進むと血液はきれいになる。
それにビタミンA効果がプラスされ、目の疲れが取れ、機能も回復されるのだ。同じ作用によって髪や爪の色艶もよくなる。
ピーマンには、カルシウム、鉄も含まれ、毛細血管を強くするビタミンPもある。
そのため、皮下出血や血行不順を防いで、紫班症などの皮膚障害を治す。
また、メラニン代謝を良くする作用もあり皮膚の抵抗性を強めるビタミンDも含まれるから、色黒、シミ、ソバカス、かぶれ、吹き出ものなどの美容障害に効く。
ピーマンは生のままサラダに加えても、独特のほろ苦さが味わえて楽しいが、油炒めにすれば薬効的にはより望ましい。
油(植物油)を用いると、ビタミンAの利用率が高まるのである。
なお、加熱すると軟らかくなり、カサも少なくなるから、摂取絶対量も多くなる。
これは他のビタミンにおいても同様で、結局は効率よく摂取できるのである。
■玄米ピーマン詰め
材料(3人分)
・玄米ご飯・・・300g
・たまねぎ・・・100g
・にんじん・・・70g
・小女子・・・適宜
・植物性粉チーズ・・・大さじ1
・ピーマン・・・6個
・自然塩、こしょう・・・少々
・ごま油・・・大さじ1
<作り方>
①たまねぎ、にんじん、小女子をみじん切りにしておきます。
②ピーマンは半分に切り、中身をきれいに取っておきます。
③鍋を熱し、大さじ1杯のごま油で、みじん切りにした材料を炒め、ご飯を加えてさらに炒め、塩、こしょうで調味します。
④ピーマンの内側に、塩を少々ふり、③をつめて上をなめらかにし、植物性粉チーズを少々ふりかけます。
⑤180度のオーブンで、8分ぐらい焼きます。トマトソースなどをかけて召し上がってください。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。