世界中の長寿郷に学ぶ 健康寿命120歳説 船瀬 俊介 (著)

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世界中の長寿郷に学ぶ 健康寿命120歳説

年3万人以上が100歳に!

「100歳以上が、初の6万5000人超……」

2016年9月13日、厚労省の発表です。いわゆる百寿者が、日本全国で6万5692人、46年連続して増加しています。

男女の比率では、女性が87.6%と圧倒的に多い。つまり、100歳以上を大別すると、ほぼ女9人に男1人の割合となります。

2016年中に、100歳超になる予定の高齢者は、3万1747人にもなります。

一年間に、3万人もの人が100歳になる。あなたは、意外な思いがするのではないでしょうか?

「それなら、オレも100までいけるかなぁ?」

「じゃあ、私も100までいけるかも……!」

まずは、そう思うことが大切ですね。

「想いはかなう」「思考は現実化する」これは、心理学的にも正しい。だから、前向きにポジティブに人生に向かう人は、ネガティブな人より、はるかに寿命は延びます。

戦中、戦後の飢餓を生き抜く

ただし、100歳以上の高齢者が増えているのにはわけがあります。2017年、百寿を迎える人は、1917年生まれです。

彼らの青少年期は、まさに軍国主義による動乱、戦争の時代でした。

1937年、日華事変。39年、第二次大戦。41年、真珠湾攻撃から太平洋戦争へと戦火は拡大……国民生活は窮乏の極みにありました。

そして、敗戦。国破れて、残ったのは灰儘に帰した焦土のみ。

そのあとに続く絶糧期については、もはや語り尽くされています。とにかく食べるものが何もない。

現在、約80~100歳を迎えられる方々は、このような飢餓を生き抜いた人たちなのです。

少年期、飢餓を体験した世代

「いや、ほんとうに食べるものがなかった……」

私の畏敬する、国際自然医学会会長・森下敬一博士(88歳)は相好を崩して、当時を語ります。

「戦争中は小学生、学徒動員で工場で働いたがね。あまりの空腹で何度も気を失ったほどだったよ」

先生は、いちばんの成長期をほとんど栄養失調状態で過ごされたのです。

「その後、栄養学者たちは、ボクら世代をさして、こう言ったんだ。『育ち盛りに、ロクな栄養もとらなかったこの世代は、せいぜい50、60ぐらいまでしか生きないだろう』ってね」

そして、先生はいたずらっぼく笑う。

「ところが、あにはからんや、ボクはもうすぐ90だが、このとおりピンピンしてる。逆に戦後、いい栄養で育った60代、70代の連中がドンドン死んでる。ボクら世代は国をあげてファスティング(断食) したようなもの。一人じゃ、とてもできない。けれど、みんなでやったからできた。ボクは、あの食べられなかった時代に感謝しているんです(笑) 」

「空腹」で長寿遺伝子がオンに

食べない人ほど、長生きする……。

そんなことがあるのか!?初めて聞く人は、耳を疑うでしょう。

「マウスの摂取カロリーを60%に制限すると、100%食べたマウスの2倍生きた」

これは、1935年、米コーネル大学マッケイ教授の実験報告です。

その後、同じような実験が数多く行なわれ、カロリー制限すると寿命が1.5~2倍延びることが証明されています。

さらに、1999年、米マサチューセッツ工科大学(MIT) のガレンテ教授が長寿遺伝子(サーチュイン)を発見し、カロリー制限と長寿の謎を解明しました。

「空腹」刺激は、長寿遺伝子スイッチをオンにし、その働きで、体細胞の遺伝子の周囲にバリヤー(保護層)が形成されます。

こうして体細胞遺伝子が活性酸素や紫外線、放射線等から防御されるメカニズムが立証されたのです。

「老化」とは、はやくいえば、体細胞の遺伝子が傷つくことで起こります。傷ついたDNAは、傷ついた細胞を作ります。これが老化細胞です。

だから……カロリー制限→空腹感→長寿遺伝子オン→バリヤー(保護層)形成→体細胞DNA保護→老化防止……というメカニズムが働くのです。

常識の反対が長寿につながるとは、人体の神秘ですね。長寿のために何をすればいいのか?……それが最新科学によってだんだんとわかり始めています。

超長寿者を訪ねる旅

森下博士は長寿の謎を解明するため全世界の長寿郷探究を続けておられます。その実績は、フンザ、グルジア、ヒマラヤから中国奥地にまで、2016年11月現在で合計67回。

88歳を超えた博士は今も、その超長寿者を訪れる旅を続けている。

もはや、世界の長寿郷で、博士が足跡を残していない秘境は皆無といっても過言ではありません。

「超長寿の謎を解くには、現地に出向き、実際に超長寿者たちに会う。その生活を徹底調査する。それ以外に方法はない」

その現場主義に圧倒されます。私は、森下博士を世界屈指の抗齢学者だと断言します。博士以外に、これほど長寿者を探査した抗齢学者は皆無だからです。

博士が踏破し、証明した世界五大長寿郷は以下のとおりです。

(1)旧ソ連「コーカサス」

(2)パキスタン「フンザ」

(3)南米エクアドル「ピルカバンバ」

(4)中国北西部「新疆ヴイグル」

(5)中国広西「巴馬」

これらは100歳を超える長寿者の割合が日本の何十倍にものぼる地域です。しかも、そこには寝たきりや要介護状態のお年寄りなどいないのです。

100歳を超えて、田畑を耕し、いきいきと人生を謳歌しています。森下博士はそこで110歳、120歳という驚くべき長寿者たちと実際に会って、長生きの秘訣を聞き取っています。

百寿者に共通する秘訣とは?

そして、博士はこの長寿郷調査から、彼らのライフスタイルに共通項があることを発見します。

①少食・粗食(大食漢は皆無)

②菜食(肉食者はいない)

③長息(腹式呼吸でよく笑う)

④筋トレ(よく働き、筋肉を使う)

⑤セックス(愛情深く、子だくさん)

これこそが、日本の百寿者にも共通するいわばアンチ・エイジングのツボだったのです。

そして今、森下博士が何十年もかけた調査・研究の結果として導き出した長寿の秘訣について、最新科学が博士のあとを追いかけるようにその謎を解き明かしているのです。

本書では森下博士の長寿郷調査から導かれた「120歳まで元気に生きる」ルールと、それを裏付ける最新科学の知見をまとめてお伝えします。

世界の長寿郷が私たちに教えてくれる「長寿の秘訣」に耳を傾けてください。

それはあっけないほどシンプルですが、同時に実行している人は意外と少ないことに気づくでしょう。

真理は身近にあり。千里の道も一歩から。

肩の力を抜いて、即、笑顔で実行

そうすれば、あなたは必ず、幸せな百寿者になれるはずです。

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