子どもはあなたに大切なことを伝えるために生まれてきた。 池川 明 (著)

シェアする


子どもはあなたに大切なことを伝えるために生まれてきた。

3500人の胎内記憶調査でわかったこと

さりげないひとつの言葉が、人生を変えることがあります。私はこれまでの人生で、そんな貴重な出会いや書物に恵まれてきましたが、中でも忘れられない言葉のひとつに、

「産科医が変わらなければ、日本の教育は変わらない」
という、ある教育者の言葉があります。

正直なところ、最初にそう聞いたときは、ピンときませんでした。お産と教育?産科医の務めは、赤ちゃんを安全に外に出してあげることではないか、と。

それでも、赤ちゃんの誕生といういのちの現場に関わっていると、人生の意味について深く感じたり考えたりすることも多いものです。

私の赤ちゃん観を一変させてくれたのは、「生まれる前のことを覚えている子がいる」という事実です。

baby-499976_640

胎内記憶の存在を知ることは、よいお産、ひいてはよい子育てを模索するヒントになるかもしれない。

そう考えた私は、2000年8月から12月にかけて、私のクリニックや協力してくれる機関で、胎内記憶に関するアンケートをおこないました。

すると、79人のかたから「覚えている」という答えが返ってきたのです。

2001年、私はその内容を、全国保険医協会団体連合会の医療研修会で発表しました。

このときの発表は全国紙の記事になり、大きな反響を呼びました。

諏訪市での調査結果

そして、そのご縁で、2002年は長野県諏訪市すべての保育園に通う園児、2003年には長野県塩尻市すべての保育園に通う園児を対象に、アンケート調査を実施することができたのです。

諏訪市での調査結果については、2003年、チリのサンチアゴで開催された、第17回FIGO Worlc Congress of Gyneoology and Obstetricsで発表しました。

また、塩尻市の調査結果については、2004年、国立京都国際会館で開催された「日本赤ちゃん学会」(新生児の能力と周産期医療のあり方を探る研究会)で、報告しています。

852490048e193304534ef452b17b1e5b_s

いずれの調査も、一般の保育園、幼稚園というごく平均的な親子3601組を対象にしているため、統計としての信頼性は高いものです。

具体的な調査結果の概要はというと、胎内記憶は33パーセント、誕生記憶は21パーセン
トものお子さんが、「ある」と答えています。

しかも、「どちらともいえない(記憶があるかどうかわからない)」という回答が、胎内
記憶は27パーセント、誕生記憶は33パーセントもあり、

その理由として「子どもがまだ話せないい「親が子どもに質問したことがない」「答えたがらない」というケースが含まれていますから、実際の保有率はもっと高い可能性もあります。

おそらく、生まれる前の記憶は一般に考えられているよりもありふれたものなのでしょう。

「赤ちゃんにはわかるはずがない」という思い込みが、目の前の事実を気づかせずにいたのかもしれません。

さらに、この調査では興味深いことが明らかになりました。

記憶の保有率に最も大きな影響を及ぼしていたのは、「お母さんがおなかの赤ちゃんに話しかけていたかどうか」だったのです。

pregnant-775036_640

お母さんによく話しかけてもらっていたお子さんは、胎内記憶、誕生記憶とも、その保有率が高いことがわかりました。

一般に、記憶にかかわるファクターとしては、ホルモンの影響がよく論じられます。

お産では、お母さんや赤ちゃんにかかる膨大なストレスを緩和するため、オキシトシン、コルチゾール、副腎皮質刺激ホルモンなどが分泌されます。

それらはいずれも、記憶に影響するホルモンです。

生まれる前の記憶を持つ子どもたち

生まれる前の記憶で、もっともよくあるのは胎内記憶(子宮の中の記憶)です。

子どもたちは、こんなことを語っています。

「あったかくて、気持ちいいところだった。ゆらゆらしていた」

「ぼちゃんって海に沈んでいたの。お水はあったかくて、ちょっとしょっぱい。ごくごく飲んだこともあるんだよ」

「おなかにひもがついていて、振って遊んでいた。ひもの端はひらべったくなっていて、お母さんの体にくっついていた」

「『早くおいで』という声が聞こえた。周りはぷにぷにしていた」

「いつもおどっていたんだよ。ああ、ママのおなかにもどりたいな」

「おなかの中では、手も足もべこんって壁にぶつかったの。お顔までも、ペタッてくっついたんだよ」

baby-784608_640

こういった言葉からは、おなかの赤ちゃんにはっきりした意思や感情があることがわかります。

おなかの赤ちゃんは、お母さんが大好きで、お母さんに心と声をかけてもらうのを楽しみにしています。

子育ては、受精したそのときから始まります。

そのことが充分認知されていず、赤ちゃんは未熟なものという誤解がまかり通っているために、避けられるはずの親子のトラブルが頻発しているのではないでしょうか。

この本では、胎内記憶を知ることで明らかになる、母子の絆を深めるヒントをご紹介し
ていきます。

子どもはあなたに大切なことを伝えるために生まれてきた。
池川 明 青春出版社 2010-10-23
売り上げランキング : 1073

by ヨメレバ