船瀬俊介連載コラム
一か月ホットドッグ12個以上で白血病9倍!
私は『買ってはいけない』で「ウィンナー好きの子どもはご用心!」と以下、警告した。
カリフォルニア大学医学部のジョン・ピーターズ教授らの「1か月に12個以上のホットドッグを食べる子どもは、ほかの子どもたちに比べて白血病にかかるリスクが9倍」というショッキングな疫学研究が世界を駆け巡ったからだ。
博士らは「保存に使われる亜硝酸塩が関係しているのでは」と指摘している。
その他「肉の加工や保存に使われる化学物質(食品添加物)」と警告する研究者も。
さらに、かつてカリフォルニア大学で開催された「ガンと食事の会議」で「ガン促進食物」として「ソーセージ」「ベーコン」などがズラリあげられており
「肉食自体もガンリスクを高めることは、いまや常識。無添加ハム、ソーセージを堪能するのも、たまの楽しみくらいにしておきたい」と書いた。
これにも『「買ってはいけない」は買ってはいけない』は、「戦後、欧米の肉食文化が、国民の食生活に広がるとともに、体格の向上と長寿化がもたらされた」と反論している。
著者の横山某氏は「一方的に肉食が悪いというのは、どうにも納得しかねる」と首をひねっている。
まさに勉強不足、情報不足……。この本は、あまりに嘘、デタラメ、勘違いが多すぎる。
ベジタリアンの死亡率は肉食者の50~55%
肉食自体が、健康に大きなダメージを与える。このことは、ベジタリアン(菜食主義者)なら、よく知っている。
ところが肉好きは、きわめて無頓着である。
肉食の弊害について、国際的データは数多い。イギリスのベジタリアン約四千人を七年間にわたり、死亡原因を追跡調査した結果がある。
ベジタリアン男性の死亡率は、普通のひとの約50%。女性は約55%であった。
中国で六千五百人を対象にした大がかりな健康調査でも、次のことがわかった。
平均的な西洋食では、タンパク質の70%が牛やブタなどの動物性。これに対して中国食では、たった7%。つまり中国人は、西洋人の10分の1しか肉を食べていない。
だから中国人の大部分は、西洋でのガン、心臓病など致死的病気にほとんどかからない。
しかし、西洋人と同じように動物タンパクをとっている”裕福な”中国人は、心臓病、ガン、糖尿病に極めて高い率でかかっているのである。
この中国での研究は、こう結論づけている。「われわれ人間は、基本的にもともとベジタリアン種である」と。
”豊かな?“西洋人のほうが、貧しい食事をして命を縮めているーーーなんという皮肉であろううか。
肉と油はガンのもと
現代人の死亡原因の第一位はガンである。
[グラフA]は、肉食と大腸ガン(結腸ガン)のリスクを示す。
日本に住んでいる日本人(左端)に比べ、アメリカに住む白人(右端)は、結腸ガンで死ぬ率は4倍にも達する。
その日本人も、アメリカに移住すると、リスクは三倍にはねあがる。あきらかに肉食がガン死を激増させているのだ。
[グラフB]は、肉を多く食べるほど腸ガン死亡率が高まっていることを示す。
腸ガンだけではない。
[グラフC]は、豚肉を食べる量と、乳ガンのリスクをあらわす。(カナダ、アルバート州調査)
[グラフD]は、ハワイでの研究。乳ガンを引き起こす危険因子は、食肉タンパク質、不飽和
脂肪酸、飽和脂肪酸、食肉脂肪、総脂肪…。
逆に複合炭水化物(デンプン質など)は、乳ガンを防ぐ効果があることも判明。
子宮ガンについても、同じ結果が出た。
つまり「肉とアブラは、ガンのもと」なのである。
(*グラフAーH『新版・ぼくが肉を食べないわけ』(邦訳、築地書館)参照)
月刊マクロビオティック 2000年7月号より
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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家
著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。
『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。
独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。
著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。