安倍政権を支える極右組織 ――日本会議 彼らは何者で、何をやってきて、何を目指すのか――
日本会議研究の第一人者による詳細な報告
安倍政権を支える右翼議員連盟と右翼組織
安倍政権には、安倍首相をはじめ、日本の侵略戦争やアジアの人びとに与えた重大な被害、植民地支配などを正当化する歴史認識の大臣、副大臣、政務官、首相補佐官、官房副長官がたくさんいる。
欧米では、ナチスが行ったホロコーストを否定する政治家は歴史修正主義=極右とよばれ、そのような歴史をゆがめる政治家が大臣、ましてや首相や大統領になることはない。
ところが日本では、首相をはじめ多くの大臣たちが、南京大虐殺や日本軍「慰安婦」など重大な人権侵害・戦争犯罪の事実を否定する政治家たちである。
こうした安倍政権を支えるのは、民間では日本会議をはじめとして、神道政治連盟、英霊にこたえる会などの右翼組織、日本教育再生機構、新しい歴史教科書をつくる会など教科書関係の右翼組織、
在特会(在日特権を許さない市民の会)などの反人権右翼組織、櫻井よしこ、すぎやまこういち、屋山太郎、金美齢などの右翼文化人や右翼ジャーナリズムなどである。
政治・国会の場では、日本会議と連携する日本会議国会議員懇談会(「日本会議議連」)、「日本の前途史教育を考える議員の会」(「教科書議連」)、神道政治連盟国会議員懇談会(「神道議連」)、
「みんなで靖国神札に参拝する国会議員の会」(「靖国議連」) 、創生「日本」などの右翼議員連盟、日本会議地方議員連盟などである。
第3次安倍改造政権の20人の大臣のうち、改憲、歴史わい曲、天皇中心の国をめざす「日本会議議連」に所属する者が13人(65%)いる。
「つくる会」や「再生機構」と連携して、育鵬社・自由社以外の教科書を「自虐史観だ」「偏向している」と攻撃し、2015年の採択でも、「つくる会」系教科書の採択をバックアップした「教科書議連」所属の大臣は9人(45%)である。
この他にも、日本の戦争を聖戦だとする靖国神社への集団参拝を繰り返している「靖国議連」は17人(85%)、日本は天皇を中心とする「神の国」だと主張する「神道議連」は会長の安倍首相をはじめ18人(90%)、
憲法改悪を推進する憲法調査推進議員連盟(「改憲議連」)は10人(50%)、新憲法制定議員同盟(「改憲同盟」)は5人(25%)、安倍首相が会長で、「日本の伝統文化を守る」「戦後レジームからの脱却」などを掲げ改憲をめざす創生「日本」という議員連盟は10人(50%)いる。
以上のように、安倍首相と「志」を同じくする「仲間」を大臣などにたくさん配置しているのが、安倍政権の特徴である。
まさに、「日本会議内閣」「神の国」内閣とよぶにふさわしい。
安倍政権を支える外部組織
安倍は、内閣の外、議会の外でも、「在日特権を許さない市民の会」(「在特会」)やネット右翼など民間の右翼勢力に支えられていることが特徴である。
「再生機構」や「つくる会」は、結成されたときからずっと深いかかわりがある。
そのため「再生機構」の機関誌『教育再生』でも、総裁選挙までは安倍待望論をいろいろなかたちで載せ、2012年10月号以降、「安倍政権で強い日本に!」「安倍、石原、橋下で教育再生を」、そして12月号で「安倍教育再生ヘの要望」というかたちで安倍に期待するエールを送った。
安倍政権発足後は、「憲法改正」「教育再生」など安倍政権の政策に関係する記事を毎号のように掲載している。
「つくる会」の『史』も、2O13年1月号で、「安倍新内閣に期待」「日本再建の好機、今こそ……」といった特別座談会が組まれ、その後も、『教育再生』同様に安倍政権を応援する記事を載せている。
実際、安倍は2012年12月総選挙の最後の打ち上げ演説を秋葉原で行ったが、そこには「在特会」など右翼団体が大挙して「日の丸」の旗をうちふって安倍コールを送り、最後は「君が代」を大合唱するという異様な光景だったという。
これらが安倍政権を支えるものであり、安倍政権の性格を表しているものであるといえよう。
●主な目次
第1章 日本会議設立までの歴史
第2章 日本会議と日本会議国会議員懇談会の結成
第3章 教育の国家統制を推進する「教育改革」
第4章 草の根保守運動
第5章 日本会議が取り組む改憲以外の「重点課題」
第6章 安倍政権を支える右翼議員連盟と右翼組織
日本会議の全貌 知られざる巨大組織の実態 | ||||
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