私が出会った「世界権力者&超VIP」50人 真実の素顔 中丸薫 (著)

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私が出会った「世界権力者&超VIP」50人 真実の素顔

マスコミの「洗脳」にだまされないで!20世紀を代表する重要人物たちの驚くべき「意外な一面」とは?世界186カ国を歴訪!国際ジャーナリスト、中丸薫の集大成的「人物図鑑」。

「砂漠の狂犬」でも「テロリスト」でもなかった!

ムアマル・カダフィ(政治家)

私は、リビアのカダフィ大佐にお会いしたとき、自分なりの世界平和についての考えをお話ししました。

「力の道」ではなく「命の道」で、人間の心の変革にもとづく世界平和を実現させようという考えです。

彼は、私の話を聞いてこう言いました。

「私はあなたと一緒に世界平和を推進したい。私は、一九四八年以降にパレスチナにやってきたユダヤ人は、もとの国へ帰るべきだと訴えているだけなのですから。ユダヤ人は、それぞれの国で自分たちの権利を確立すべきだと思うのです」

カダフィさんは、少年が母親に訴えるような目で、じっと私を見つめて語りました。

カダフィさんは、かつてアメリカから「砂漠の狂犬」「テロリスト」などと、罵詈雑言の限りを浴びせられ、きわめて危険な人物と見なされていました。

しかし一方で、中東やアフリカでは「英雄」と称えられ、人々の尊敬と信頼を集めていました。

彼ら中東・アフリカ諸国の人から見れば、彼は欧米の侵略に対抗する頼りになる存在だったのです。

たとえば、あなたが先祖代々住んでいるところに、ある日突然武装した兵士が現れ、「ここはわれわれが三干年前に神から与えられた地だ」と言って、あなたやあなたの家族、地域の人々を追い出す、ということを想像してみてください。

そして、そこに新しい国が建国されたとしたら— — 当然、納得いかず、抗議するでしょう。

これがまさにパレスチナで起きていることです。つまり、パレスチナ人は、ある日突然、住み慣れた土地を追われ、それに抵抗してイスラエルと戦っているのです。

イスラエルを無理やり建国した人々は、自分たちの行為を正当化するためにユダヤ人を名乗っているに過ぎません。

そういう人たちは、善良なユダヤ人と区別して、極右シオニストと呼ぶべきでしょう。

彼らはイスラエルというバーチャル国家を実際の国家にするために、ヨーロッパや旧ソ連、アメリカ、アジアなどからユダヤ人を大勢移住させてきました。

それを支えたのがアメリカです。アメリカでは極右シオニストが政界や財界に入り込み、大統領や議会の意思決定に重要な影響を与え、イスラエルに有利な政策をとらせてきました。

パレスチナの他を占拠することは、アメリカ政府にとっても中東での覇権拡大に役立ちますから、両者は持ちつ持たれつの関係です。

そのアメリカ=イスラエルの前に立ちはだかったのが、カダフィさんでした。彼はパレスチナ解放機構(PLO)を支援し、アラブの主権と団結を訴え、徹底的に抵抗しました。

そのため、アメリカに敵視され、「狂犬」扱いされたのです。

敵国にも寛容だったカダフィさん

しかし、実際に会ったカダフィさんは、とてももの静かで思慮深く、「狂犬」とはほど遠い印象の人でした。

それどころか、彼はユダヤ人にも深い理解を示していました。彼が批判の矛先を向けていたのは、ユダヤ人ではなく、あくまで極右シオニストだったのです。

「私がユダヤ人に『地球上から消滅してしまえ』と言っている?とんでもありません。むしろ私はユダヤ人を尊敬しているし、世界中のあらゆる人々と同様、平等な権利を持っていると思っています。

しかし、彼らはもともとヨーロッパやソ連、アメリカ、アジア各国に属する市民です。自分の国で、それぞれの市民としての極利を持つべきです。

どうしてパレスチナに来るのですか。パレスチナはパレスチナ人のものです」

イスラエルは核を保有しています。相手が核を持ったままでは和平はない、と言うアラブ側の主張は納得できます。

それにしても、この複雑に入り組んだパレスチナ問題を解決するには、いったい、どうしたらいいのでしょう。

「私は誰であれ、どの国であれ、ユダヤ人を迫害する勢力には大反対です。なぜパレスチナヘ、彼らがやってこなければならなかったか?それは、彼らに対する迫害が存在したからです。

われわれは、彼らをユダヤ人だからとい埋由だけで迫害している国々に対しては、反対の声をあげなければなりません。

ユダヤ人とパレスチナ人の共存は、パレスチナの民主国家においては可能です。

でも、核を保有するイスラエルにおいては不可能です。

彼らは私たちを非常に激しく、何度も何度も痛めつけてきました。私はパレスチナ人とともに歩もうとするユダヤ人は認めますが、イスラエルを認めることはできません」

そのイスラエルを支援し、カダフィさんを「狂犬」と罵倒するアメリカ。彼にとって、さぞや許せない存在かと思いきや、意外な答えが返ってきました。

「私はアメリカを憎んではいません。私はアメリカ国民が好きですし、友達もたくさんいます。私が反対するのは、アメリカの外交政策です。

アメリカの政策は、国際平和に逆行し、人々の、とくに弱者の自由を奪い、世界の安定を乱すものです。

考えてみてください。CIAはいつも、世界中で弱者の独立や自由に反対し、謀略を行なっているではありませんか。世界中を自分たちの支配下に置くために……。私は断固としてこれを距み、抵抗します」

リビアは、人民王権、直接民王主義にもとづいた、独自の「ジャマーヒリーヤ」という体制をとっています。

つまり、何を決めるにも人民が決める、政府や国家元首など不要、という立場をとっているのです。

カダフィさんがこのような構想をつくりあげたのは、彼がもともとベドウィンという遊牧民の子として生まれたことと関係があります。

幼い頃から西欧の植民地政策に翻弄され、つらい思いをしてきた彼にとって、人民を抑圧し、搾取する支配層は悪であり、排除されるべき存在なのです。

(中略)

カダフィさんと数日間、ご一緒させていただいて、私は彼が「狂犬」でないことを確信しました。それを象徴するできごとがありました。

カダフィさんが私に「あなたは神を信じますか?」「死後、神の前で魂が裁かれることを信じますか?」と矢継ぎ早に問いかけてきたのです。

私は心をこめて答えました。

「もちろんです。だから私はここに来たのです。あなたがもし、テロによって多くの人を間接的に殺しているとしたら、その結果はすべてあなたに戻ってきます。どんな理想を描いていても、手段が間違っていてはだめなのです。

暴力や殺りくという手段を使うべきではないのです」

するとカダフィさんは、こう訴えるように言いました。

「私はそのようなことをしていません」

その目は、ウソを言っている人の目ではありませんでした。後年、カダフィさんに関するテロの報道の多くが「でっちあげ」だったとアメリカ政府内部から告発がありました。

インタビューのとき、彼は「アメリ力は、われわれがテロを行なったという証拠を、絶対にあげることはできない」と話していましたが、それが裏づけられたのです。


デイヴィッド・ロックフェラー、サダム・フセイン、カダフィ、ムバラク、アル・ゴア……
20世紀を代表する超重要人物たちの、驚くべき「意外な素顔」とは?

彼らと実際に会って、言葉を交わし、友好を深めてきた著者だからこそ知りえた、マスコミが絶対に報じない「本物の情報」がここにある! 

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