未来テクノロジーの設計図 ニコラ・テスラの[完全技術]解説書 ニコラ・テスラ (著), 井口 和基 (翻訳)

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未来テクノロジーの設計図 ニコラ・テスラの[完全技術]解説書 高電圧高周波交流電源と無線電力輸送のすべて

ニコラ・テスラの1940年論文のアイデア

1904年、今現在のその後の過去の歴史を知っている私たちからすれば、アルベルト・アインシュタインの特殊相対性論が世に提出された1905年よりちょうど1年前のことである。

満48歳になったニコラ・テスラは、アメリカ合衆国コロラド州スプリングスに自分の研究所を構えていた。

原書の付録にある短めの論文解説は、その頃にニコラ・テスラが何を行ったかについての紹介解説である。

まずどうしてコロラドのスプリングスを選んだのかが説明される。

簡単に言えばコロラドの空気が良かったからだということになる。高地で天気がよく空気が乾き、風景もよく、人々もよく、ニコラ・テスラの科学研究にぴったりの場所だったからだという。

そこで二コラ・テスラが行った最初の研究テーマは、地球の電圧測定であった。

この目的のために、ニコラ・テスラは受信型の変圧器を発明し、それ使ってただひたすら地球の電圧測定を行った。

コロラドの乾燥した大気では、突然巨大な積乱雲が立ち上り、猛烈な雷雲がでそれも一度に何千何万回もの雷鳴が飛び交う。

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雷きて、雷鳴が轟くことがある。放電のオンパレードである。

あの日もそうだった。1899年の独立記念日の前日7月3日のことだった。この日がニコラ・テスラが一生忘れることのできない大発見の日となった。

この日も猛烈な雷に見舞われた。そこで、いつものように、ニコラ・テスラと助手のフリッツ・ローウェンスタインの二人で地球の電圧測定を行っていた。

測定器には、雷がピカっと光りが生じた途端にその信号スパイクとして、受信機の記録装置に針の変動として記録されるのである。

彼らはずっとこうやって記録していたのである。

雷雲は風に乗って徐々に遠ざかる。だから、雷雲が遠のくに従って、信号スパイクも徐々に緩和して弱くなっていく。

ところが、その日の観測では、どういうわけか、雷雲が去り、雷鳴も見えなくなるほど離れた場所へ過ぎ去ったにもかかわらず、信号スパイクがずっと一定の周期で規則的に記録され続けた。

ここに二コラ・テスラは、自分たちが「地球の呼吸」を観測したのだと確信した。そして、考察した結果、この地球は導体のように振る舞うということを発見したのである。

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つまり、地球は金属球だったのだ。

言い換えれば、地球は上空の電離層と地表面を2つの金属球殻とみなすことができ、その間に大気が絶縁層となった、一種の球型コンデンサであると考えることができるという発見である。

これはとてつもない意味を持っている。

なぜなら、この球型コンデンサの電気的性質を用いれば、電力を無線で地球上のあっちこっちへと伝達できる可能性があるからである。

ニコラ・テスラは即座にこの可能性に気づいたのである。

このアイデアには2つの応用があり得る。第一は、信号伝達である。すなわち、微弱なエネルギーの伝達である。

第二は、電力輸送、すなわち、前者の微弱なエネルギー伝達の場合、エネルギーの無線伝達である。

前者の微弱なエネルギー伝達の場合、その信号にメッセージを乗せることにより、世界中で通信が自由自在にできるようになる可能性をニコラ・テスラは想像した。

これを「世界電信システム」と名づけた。

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一方、後者の莫大なエネルギーの伝達の場合、ニコラ・テスラは1億Vの超高電圧で1万馬力の送電を計画した。

この超高電圧の交流伝送によれば、地球のどの場所でもせいぜい1馬力前後の電力を得ることができる。

それに高周波で作動する真空管をさらせば、地球のどこでも照明器具を光らせることができるはずだとニコラ・テスラは考えたのである。

これを「世界システム」と名づけた。

驚くべきことは、「世界電信システム」のセクションで語られたことである。ニコラ・テスラはこう書いている。

“世界電信“ はたくさんの設備の利用を必要とします。

それらの施設すべてで、地球上の最も遠く離れた地域に個別化した信号を伝達することができます。

それらの1つ1つが文明の重要な中心地付近に設置されることが望まれます。そして、任意のチャンネルを通じて受け取ったニュースは地球上のあらゆる地点に配信できるようになるでしょう。

それから、ポケットに入れて運べる安価で簡単な道具は、海や陸のどこでも使えるようになるでしょう。

そして、“世界電信“ は世界のニュース、あるいはそれのために企画された特別のメッセージを記録するでしょう。

こうして、地球全体がその部位の1つ1つが反応できる、いわば1つの巨大な脳に変わるに違いありません。

そして、最後の「世界システム」ニコラ・テスラは次のセクションにおいて、のような未来を思い描いていた。

高周波で作動する真空管が備わった住宅を照明するためにはごくわずかな電力しか必要ありません。

どの場合も屋根の上にわずかに突き出した1端子を使うことで十分でしょう。

(中略)

偶然に発見され実験的に証明されたこの偉大なる真実が十分に認識されるようになった暁には、ぞっとするほどの広大さを持つこの惑星が、電流に関する限り実質上1個の小さな金属球に過ぎなくなります。

また、この事実から多くの可能性が(個々の可能性は想像力を困惑させたり、結果を計算出
来ないものですが)達成されるのは絶対にまちがいないでしょう。

最初の設備が運用開始されて、人間の思考と同じくらいに極秘にかつ干渉されない電信メッセージが地球上のあらゆる地点に伝達されることが示されるようになった暁には、

イントネーションや抑揚を伴うあらゆる人間の肉声の音も、地球上のあらゆる地点で忠実かつ瞬時にそのまま再生されるようになるでしょう。

また、滝のエネルギーが海、陸、天空のどこでも光、熱、動力を供給するために利用可能になれば、人類は棒で蜂の巣をつついたようになることでしょう。

さあ、興奮の到来をこの目で見ようではありませんか!

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これから理解できることは、このニコラ・テスラの思い描いたアイデアは、20世紀後半になって実現したスマホ(スマートフォン)を用いた世界通信システムとまったく同じ思想のシステムであったと言えるのである。

しかしながら、もう1つの「世界システム」である無線電力輸送の方が未だに実現していないのだ!

確かにニコラ・テスラは「100年後の未来」を正確に予見していたのである。決して単なる「謎の研究者」ではなかったのだ。

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