食用油の選択は、寿命を10%以上も変える 

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船瀬俊介連載コラム

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【前回の記事】

「植物油は健康に良い」の落とし穴

台所のサラダ油が学習能力の低下、ぜんそく発作の引き金にもなる

脳梗塞発作「ベニハナ」「コーン」サラダ油も元凶

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Fは、脳梗塞による障害発生を、魚油投与群と対照群で比較したもの。あきらかに魚油投与群のほうが、障害発生を激減させている。

魚油の主成分DHAは、α—リノレン酸が体内で代謝される過程で精製される。だからシソ油を与えても同じ結果が出るはずである。

一方、リノール酸の生成物を見てみよう。

リノール酸を食べるとアラキドン酸になる。これから、様々なホルモン物質が生成され、生命活動が営まれる。

アラキドンはふだんは細胞内のリン脂質と結合して存在する。

この結合が外れると、強い生理作用を発揮する。ちなみに、この微量の遊離型アラキドンをウサギに注射すると、数分以内に死んでしまう。

肺に血栓、出血が起きるのである。だから、この猛毒な遊離アラキドンを生成させるリノール酸を多量に取り続けることは、まさに自殺行為といえる(過ぎたるは、およばざるがごとし)。

高血圧、ガン発生・転移を促進するリノール酸過多

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ベニハナ油(リノール酸系)は、高血圧のひきがねとなる。

これに対してシソ油(αーリノレン酸系)は、血圧を正常に保ってくれる。

(G)シソ油は「高血圧は下げるが、正常血圧は下げない」という索晴らしい血圧調整機能があることが、証明されたのである。

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Hは、ガン転移率を、比較したもの。

ベニハナ油群にくらベて、シソ油群は、ガン転移はグンと半分近くに抑制されているのが、すばらしい。

これは、ガン転移に関わる血小板の凝集を抑制することによる効果という。

Iは、ベニハナ油、ダイズ油、シソ油と大腸ガンなどの発生比較。やはり、市販「サラダ油」からシソ油などに代えたほうがいいことが、一目瞭然だ。

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リノール酸(ベニハナ油)で15%も早死に…!

さて、決定的なのはリノール酸とりすぎで、早死にの恐怖。

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Jは、その決定的な証拠といえよう。シソ油食のネズミの寿命を100とすると、シソ油群は85.5%。

ふつうのラット比較でも12%も早死にしていた。「長生きしたけりや、サラダ油やめよう」ということになろうか。

αーリノレン酸はガン、高血圧、脳梗塞、アトピーなどを予防するのだから、長生きをするのも当然だろう。

奥山教授は「食用油の選択は、寿命を10%以上も変える」と強調する。

「αーリノレン酸重視の方向に転換すると、7~8年もの寿命の差ができる」と力説。

たかが食用油、されど食用油……。その選択は、ガン対策の三倍も重要だったのだ。

このアブラの世界の奥山ショックは、厚生省も動かしたようだ。

日本人の一日あたり脂質摂取量は、1960年の25gにたいして85年には60gと二倍強に増えている。

政府も「もっと脂肪を!」から「とりかたに注意を!」と変わった。

厚生省は2000年4月、動物脂肪(一価不飽和脂肪酸)の比率を低く抑さえるように指導をしている。

世界中の学者が次々と有害食用油を警告

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奥山理論を裏付ける研究報告はあいついでいる。

1995年7月14日、日本ビタミン学会で発表された鹿児島大学医学部チームの報告は、興味深
い。

重症アトピー患者200例を観察。これら患者は正常な人にくらべて、脂肪や砂糖の摂取が過剰であることに気付いた。

そこで、これら患者に植物性脂肪と砂糖、卵、牛乳などの摂取を控え、魚や野菜を多く食べるように食事指導。

さらに活性酸索を除去するはたらきのあるビタミンCなどの服用を3~5か月続けさせると「200人とも症状がいちじるしく改善した」という。

これは代表的な治療法のステロイド療法を、はるかに上回る治癒効果であったという。

これこそ、まさに高リノール酸系食事から高αーリノレン酸系食事へのシフトがめざましい効果を上げたのである。

海外でも、まちがった食用油摂取への警鐘が鳴らされている。

たとえば J ・フィネガン博士(自然療法)は、「悪い油が、アレルギー、心臓病、ガン、関節炎、慢性疲労などを引き起こす」と警告。

さらに七回もノーベル賞にノミネートされたドイツブドウィック博士も「現代風食用油がガン、心臓病、糖尿病などの病気を起こす。現代人は危険な脂肪に囲まれている」と注意を喚起している。

(『危険な油が病気を起こしている』今村光一訳中央アート出版)


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さて、あなたはどうしたらいいか?

少なくともスーパーでしょっちゅうサラダ油を買い込むアブラ漬け食生活はやめたがいい。市販「サラダ油」は万病短命のもと。

使用はできるだけ控え目に。

αーリノレン酸比率が高いアブラは、シソ油、エゴマ油、アマニ油がベストでおすすめ。

オリーブ油、ナタネ油、胡麻油は、比較的にリノール酸比率が低い。

あんがい盲点は野菜、海草類、貝類、魚類……。これらもaーリノレン酸系のおすすめ食品だ。意識して食べるようにしたい。

月刊マクロビオティック 2000年11月号より

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/

船瀬俊介公式facebook=  https://www.facebook.com/funaseshun

船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」=  https://www.facebook.com/funase.juku

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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