精神科は今日も、やりたい放題 医者が教える、過激ながらも大切な話 (PHP文庫) 内海 聡 (著)

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精神科は今日も、やりたい放題 医者が教える、過激ながらも大切な話 (PHP文庫)

「精神科にいけば、この鬱々とした気分をなんとかしてくれる」なんてことはない。

根本的な解決がなされないまま、一瞬の気分だけ変えても仕方がないのだ。それどころか、依存性が高い薬を長く処方されることになる。

では、どうしたら、まともな精神科医に出会うことができるか。いま服用している薬は本当に安全なものなのか。

精神科にかかるすべての人に読んでほしい、大反響を呼んだ告発本。

第1章 精神医学はやりたい放題! より

非科学としての精神医学

精神医学はその精神症状を「脳の異常」としてとらえようとするため、今ふうにいえば理系的に考えようとする分野であるらしい。

それに対して心理学は脳というより「心理的動向」を基調として物事を考えていくため、ある意味文系的といえるらしい。

脳や遺伝子という問題よりも、個性としてアプローチする心理学のほうが、一般人には受け入れられやすいのは事実だが、本来そのどちらかが優れているとかいう問題ではなく、双方の視点から人間の探求に向かうことがなければならない。

しかし残念ながらその協調は、現代においてもほとんどみられないのが実情だ。

そもそも「脳の異常」というが、精神医学においていまだに疾患の原因は科学的にわかっていない。薬物の効果についても同様である。

今ある疾患理論、薬物理論というのはすべて二〇一二年現在でも仮説である。証明されたり因果関係を導けるものが何一つないのだ。

それはつまり精神医学、精神疾患のすべてが主観であり、医師の人格にゆだねられているという危うさの裏返しでもある。

それにもかかわらずこの分野が、科学であるはずの「医学」として普及してきたことは、一種の驚きであるといえる。

非常に非科学的なはずの精神医学が、あたかも科学的であるかのように扱われることによって、さまざまな被害の温床となってきたのである。

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その日の気分で決まった「診断基準」

科学といえないからこそ、精神科の診断基準はとてもいい加減である。

たとえば「DSM」(精神疾患の診断と統計マニュアル)というアメリカの精神科診断基準に関しては、製薬会社と癒着の深い精神科医が、多数決やその日の気分で診断基準を決めた、というエピソードが残っているくらいである。

「DSM」は現在まで第四版が発行されており、二〇一三年に発表する第五版の編纂作業がアメリカ精神医学会によって進められている。

「DSM(第四版)」で編集委員長を務めたアレン・フランセス医学博士は、「DSM(第五版)」について反省を込めて以下のように述べている。

「『DSM(第五版) 』は(中略)とんでもない処方にもつながりかねない未検証の新たな診断の導入である。こうしたレッテルを貼られた(しかも多くの場合、誤ったレッテルが貼られているのだが)子どもたちに、抗精神病薬が何らかの利益をもたらすという証拠は、どこにも存在しない。

だからといって、抗精神病薬が不必要かつ不用意に使われることはないのかといえば、決してそうではない。それが大いに懸念される。

(中略)それは、いったん『DSM』の新しいカテゴリーとして公式なものにされてしまえば、あとは診断が独自の道を歩み始めるということである。

そこに乱用される可能性がある限り(可能性があるのは明らかである)それは乱用されるものである。

つけ込む隙が少しでもあれば、そこに抗精神病薬の過剰使用が知らぬ間にこっそりと割り込んでくる。それは経験から明らかである」

こんな癒着の深い精神科業界であるから、当然、製薬会社と精神医療が儲かるように診断基準を設定してきたのである。

これが教科書であるのだから、まっとうな医療など成立するはずがない。

そしてそれ以上に恐ろしいエピソードとして、薬が先に開発されて、その薬を売るために都合のいい精神疾患が作りだされているという現実があるのだ。

たとえば、社会不安障害、気分変調症、軽度・中度発達障害、大人の発達障害、現代のうつ病などはその典型であろう。

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安全な精神薬はあり得ない

薬についても一〇〇~数十年前までは現代のような複数の精神薬は存在しなかった。

そのため何が使われていたかといえば、酒(アルコール)、アヘン、モルヒネ、ヘロイン、コカインのような物質である。

そしてその後に現代で使われるような薬物が順次登場してきたわけだが、それはその薬物が安全であることを示すものでは決してない。

挙げたような覚醒剤や麻薬よりは「若干」副作用や依存性がましである、もしくは副作用がわかりにくいというだけにすぎない。

そのために医療用薬物として取り上げられたわけであり、現代の最新精神薬に至るまで、決して安全な精神薬など一つもないということを、われわれは理解せねばならない。

ヘロインはバイエル社が一八九八年に開発し、LSDはノバルティス社の研究員が合成し、MDMAはメルク社が合成し、コカインは三共製薬によって一九二〇年代に精製され闇市場に売りさばかれていたのである。

覚醒剤は日本人とドイツ人が精製したそうだが、武田薬品が戦前に商品化している。

世界でもっとも有名な医学雑誌の一つ「The Lancet」に掲載された二〇〇三年の論文で、二〇の薬物について0~3の範囲で身体依存・精神依存・多幸感の平均スコア尺度を示したものがある。

これを見るとタバコやアルコールの依存度もさることながら、違法ドラッグと比べても向精神薬の依存性は非常に強いことが読み取れる。

薬理学的機序(メカニズム)においても、覚醒剤や麻薬と向精神薬の共通性は次のとおり、一目瞭然である。

【向精神薬】

・抗うつ薬はセロトニンの取り込みを阻害する=セロトニンを増やす。

・抗精神病薬はドーパミンの活動を抑える。セロトニンにも作用する。

・抗パーキンソン病薬はドーパミンを増やしたり刺激する。

・抗不安薬はベンゾ結合部に作用し、ノルアドレナリンやドーパミンを抑制。

【麻薬・覚醒剤】

・MDMAはセロトニンの再取り込みを阻害する。細胞内セロトニンを高める。

・LSDは脳内のセロトニンシステムに働きかける。

・覚醒剤はドーパミンを放出し取り込みを阻害する。

・コカインはセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリントランスポーターを阻害。

 この薬物治療における弊害については、各項で具体的症例も含めて述べていきたい。


精神科は99%が誤診!ついに出た! 精神科・心療内科の実態について、医学界内部からの重要な告発。

精神医療の問題その①:精神科・心療内科では、無根拠・無責任な診断が行なわれている。

精神医療の問題その②:すべての精神科医が薬に頼り、薬漬け医療が横行している。

精神医療の問題その③:治さない(治せない)精神科医療により、治らず通い続ける患者が急増している。

精神科・心療内科にかかっている人、その家族の方はもちろん、心の問題を抱えたすべての人に読んでほしい本。

〈本書構成〉

第1章 精神医学はやりたい放題! /第2章 私が精神医学を「詐欺」と呼ぶワケ/第3章 これは病気ではない/第4章 精神科にダマされないために/第5章 私の実践する「精神症状」対応策

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