精神科は今日も、やりたい放題 内海 聡 (著)

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精神科は今日も、やりたい放題

まともな精神科医に出会うためには、第一印象で医師を判断しないことと、何より人間性で精神科医を判断しないことが重要である。

精神科医自身に癒しを求めてはいけない。もしこの本を読んでもあなたが精神科医にかかるのであれば、副作用の少ない処方にこだわる精神科医をこそ選んでほしい。

非科学としての精神医学

精神医学はその精神症状を「脳の異常」としてとらえようとするため、今ふうにいえば理系的に考えようとする分野であるらしい。

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それに対して心理学は脳というより「心理的動向」を基調として物事を考えていくため、ある意味文系的といえるらしい。

脳や遺伝子という問題よりも、個性としてアプローチする心理学のほうが、一般人には受け入れられやすいのは事実だが、本来そのどちらかが優れているとかいう問題ではなく、双方の視点から人間の探求に向かうことがなければならない。

しかし残念ながらその協調は、現代においてもほとんどみられないのが実情だ。

そもそも「脳の異常」というが、精神医学においていまだに疾患の原因は科学的にわかっていない。薬物の効果についても同様である。

今ある疾患理論、薬物理論というのはすべて二〇一二年現在でも仮説である。証明されたり因果関係を導けるものが何一つないのだ。

それはつまり精神医学、精神疾患のすべてが主観であり、医師の人格にゆだねられているという危うさの裏返しでもある。

それにもかかわらずこの分野が、科学であるはずの「医学」として普及してきたことは、一種の驚きであるといえる。

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非常に非科学的なはずの精神医学が、あたかも科学的であるかのように扱われることによって、さまざまな被害の温床となってきたのである。

安全な精神薬はあり得ない

薬についても一〇〇~数十年前までは現代のような複数の精神薬は存在しなかった。

そのため何が使われていたかといえば、酒(アルコール)、アヘン、モルヒネ、ヘロイン、コカインのような物質である。

そしてその後に現代で使われるような薬物が順次登場してきたわけだが、それはその薬物が安全であることを示すものでは決してない。

挙げたような覚醒剤や麻薬よりは「若干」副作用や依存性がましである、もしくは副作用がわかりにくいというだけにすぎない。

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そのために医療用薬物として取り上げられたわけであり、現代の最新精神薬に至るまで、決して安全な精神薬など一つもないということを、われわれは理解せねばならない。

ヘロインはバイエル社が一八九八年に開発し、LSDはノバルティス社の研究員が合成し、MDMAはメルク社が合成し、コカインは三共製薬によって一九二〇年代に精製され闇市場に売りさばかれていたのである。

覚醒剤は日本人とドイツ人が精製したそうだが、武田薬品が戦前に商品化している。

世界でもっとも有名な医学雑誌の一つ「The Lancet」に掲載された二〇〇三年の論文で、二〇の薬物について0~3の範囲で身体依存・精神依存・多幸感の平均スコア尺度を示したものがある。

これを見るとタバコやアルコールの依存度もさることながら、違法ドラッグと比べても向精神薬の依存性は非常に強いことが読み取れる。

薬理学的機序(メカニズム)においても、覚醒剤や麻薬と向精神薬の共通性は次のとおり、一目瞭然である。

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【向精神薬】

・抗うつ薬はセロトニンの取り込みを阻害する=セロトニンを増やす。

・抗精神病薬はドーパミンの活動を抑える。セロトニンにも作用する。

・抗パーキンソン病薬はドーパミンを増やしたり刺激する。

・抗不安薬はベンゾ結合部に作用し、ノルアドレナリンやドーパミンを抑制。

【麻薬・覚醒剤】

・MDMAはセロトニンの再取り込みを阻害する。細胞内セロトニンを高める。

・LSDは脳内のセロトニンシステムに働きかける。

・覚醒剤はドーパミンを放出し取り込みを阻害する。

・コカインはセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリントランスポーターを阻害。

 この薬物治療における弊害については、各項で具体的症例も含めて述べていきたい。

精神科は今日も、やりたい放題
内海 聡 三五館 2012-03-23
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