入れ歯、誤飲で死亡事故!三分の二は開腹手術

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船瀬俊介連載コラム

マスコミのタブー200連発〈102〉(月刊『ザ・フナイ』)

インプラント? 部分入れ歯?さあどうする

「……部分入れ歯を、うっかり飲み込むこともあるんですよネ」

私の歯の主治医であるS先生は、さらりと言った。

「エエーッ! それって危ないじゃん」

わたしは診察椅子でビックリして身を起こす。

「部分入れ歯のツメが食道に引っかかって開腹手術した、なんて話もありますね」

先生の、マスク越しの目が笑っている。

「まさか……」

わたしは呆然として、二の句がつげない。彼は慌てて付け足した。

「まあ、そんなことは、めったにありませんけどネ(笑)」

この瞬間、わたしにとって、入れ歯の選択肢は消滅した。

S先生は、わたしの飲み友達でもあった。とある異業種交流の集まりで意気投合した。習志野市に開業しておられる歯医者さん。

彼の誠実かつ明朗な人柄に魅かれて、通うことにした。それが、もう5~6年くらい前からだ。

わたしの住む奥武蔵の名栗は、埼玉県の西の果てである。

そこから千葉県の津田沼まで通う。まさに、関東平野を斜めに横切っての遠距離通院となる。

「遠くから来ていただくので、友達価格です」

ふつう1本7万円はするセラミック義歯を4万円に負けてくれたりした。

「やあ……船瀬さん、どうしたんですか?」

来院すると、いつも明るい声で迎えてくれ、うれしかった。

その彼が、去年の初め頃、わが口の中をのぞいてこうため息まじりに、つぶやいた。

「……こうなると、インプラントしかないですね」

下顎の臼歯を2本ずつ喪失したのだから、無理もない。オレもそんな年か……と、急にわが年齢に思い至る。

筋骨隆々、髪は黒々……。まだまだ、若いつもりだったが。かんがえてみれば、67歳。それが、歯に来たのだろうか。

わたしが、考えあぐねていると、先生は、こうも言った。

「あとは、入れ歯ですね。両側をつないで作れます。こちらは、保険が利きますよ」

「部分入れ歯、あのカギで留めるヤツですね」(写真A)

「そうです」

「外して、枕元のコップの水に漬けて寝てるよネ。年寄り臭くてイヤだなあ」

総入れ歯を飲み込んだケースも

会話が、ここまで及んだとき、S先生の口から衝撃の一言が飛び出した、というわけだ。

「カギ入れ歯を飲み込んで開腹手術……!」

初めて聞く話である。先生は、めったにある話じゃない、と苦笑いしていた。

それは、あたりまえ。そんなことが、しょっちゅう起こっていたら、たまらない。

それでも、誤飲した本人にとっては大騒動、一大事である。

その後、訪れた六本木の西原研究所の西原克成先生に、入れ歯の誤飲事故について尋ねた。

すると、温顔の先生は、目を細めて、あっさりおっしゃった。

(写真B)

「総入れ歯を、飲み込んだケースもありますね」

「エエーッ!?本当ですか?」

わたしは、思わず大声を出していた。ところが、それは歯科学会の論文にも、はっきり掲載されていたのである。

「……54症例のうち、全床義歯の誤飲が3症例、部分義歯の誤飲が51症例であった。」

この論文は、1998年から2011年にかけて、『医学中央雑誌』に掲載された入れ歯の誤飲事故を検証したもの。

その経過が詳述されている症例だけでも54件もあった。

つまり、たまたま医学論文として報告されたケースのみ。つまりは、氷山の一角。闇に葬られた誤飲事例は、どれくらいに達するのか?

入れ歯の誤飲など、歯科業界にとっては、まさに「不都合な真実」である。

歯科医師会などの〝政治力〟で、もみ消してきたのであろう。だから、マスコミで報道されることは皆無だった。

だから、わたしですら、びっくり仰天したのだ。

健康関連本も数多く執筆してきたわたしですら、初耳の医療事故である。

一般の人びとにとっては、寝耳に水の話だろう。

誤飲の三分の二は開腹手術で摘出

しかし、高齢化が進む昨今、入れ歯に頼る人が、増えることはいうまでもない。

その入れ歯を誤飲する事故が、予想外に発生している……。

この実態を調べなければ……と、調査を開始した。そして、先述の論文に行き着いたのである。

それは『老年歯科医学』( 第27巻、第2 号、2012)に掲載されていた。

題名は『日常生活で起こる可撤性義歯の誤飲』。

「可撤性義歯」とは、かんたんにいえば「入れ歯」のことである。

「全床義歯」(総入れ歯)の誤飲が3件(6%)、残り51件( 94 %)は部分入れ歯である。

誤飲した被害者は、男性38名、女性16名。男性が約2・4倍と圧倒的に多い。年齢は、60代が最多である。

「誤飲時の状況」は、どんなときに、飲み込んだか?(表C)

やはり、「食事時」がもっとも多く31名(57%)、ついで「服薬時」。薬といっしょに飲み込んだケースが2名(4%)。

「飲酒時」2名(4%)。さらに「就寝時」1名(2%)とつづく。寝ているときに、部分入れ歯を飲み込むこともあるのだから、油断ならない。

さて――。飲み込んでしまった入れ歯は、取り出すしかない。

ここから、論文は、がぜんハラハラ、ドキドキ……手に汗にぎる展開となる。

「義歯の摘出方法」(表D)

自然に排出された人、または「鉗子」「内視鏡」で取り出せた人は、幸運である。その数は54人中18人(33%)。

残り3分の2の36人(67%)は、なんと「外科手術」によって摘出しているのだ。わかりやすくいえば、「開腹手術」……。

腹をメスで開き、さらに、食道や胃、腸などを切り開いて、飲み込んだ部分入れ歯を取り出す。

想像しただけで、目がくらむ。開腹した際、それら、誤飲した義歯はどこに引っかかっていたか?

「食道」11件(20%)、「胃」2件(4%)、「小腸」13 件(24%)、「結腸」10件(19%)……。

部分入れ歯は、広く消化器系に分散して見つかったことがわかる。

それが、排泄される保証はない。なぜなら、部分入れ歯は、金属の鋭いツメが付いているからだ。

放置すると、そのツメが、さらなる悲劇を引き起こす。

入れ歯誤飲で死亡事故も多発!

部分入れ歯を、飲み込むと死亡することもある……。

あなたは、耳をうたがうだろう。

しかし、医学論文には、死亡ケースが生々しく記載されている。

たとえば、入れ歯が喉に詰まったため「肺炎を発症して死亡」した症例もある。(同論文)

また、うっかり飲み込んだ入れ歯が食道入り口に詰まっていると「義歯の圧迫による喉頭の腫脹(腫れ)や義歯自体による上気道狭窄により、(窒息で)死亡に至る可能性がある」(同論文より・カッコ内は加筆)

つまり、義歯が喉に詰まることによる窒息死である。

入れ歯誤飲による死亡原因は、それだけではない。

小さい部分入れ歯は、両端に鋭いツメがついている。うっかり、飲み込むと、そのツメが食道や胃など消化器の内壁に突き刺さる。

そのツメが動脈を傷つけて、大量出血を引き起こし、死亡することもあるのだ。

さらに、義歯自体のとがった部分が、やはり腸壁など消化器の内側を傷つけて、穴を開けてしまう。

「……クラスプ(カギツメ)を有する大型義歯などの食道異物は、鋭利な部分や固い部分による粘膜損傷や粘膜刺入、穿孔を来しやすい。長時間停滞例では、圧迫壊死穿孔の危険もある」(同論文)

ツメや義歯の角などは、食道や胃、腸に入ると、まさに〝凶器〟と化す。

また、幸い、ツメなどで内壁に穴が開かなくても、そこに義歯が滞留していると、その圧迫により消化器内壁が壊死して穿孔(穴)が開いてしまうのだ。

だから、誤飲したら手術による摘出は急務である。

〝殺人〟入れ歯は使用禁止とせよ!

「穿孔の有無」(表E)は、入れ歯誤飲により、カギツメなどが、どれだけ消化器に穴を開けていたか、を調べたものである。

54件中21件(39%)が、内臓に穴を開けてしまっている……。

つまり、部分入れ歯などを、飲み込むと4割は、消化器に穴を開ける。

すると、その先が恐ろしい。

「……食道異物による穿孔は、診断治療が遅れると、重篤な経過をとる」(同論文)

これは、医学論文でよく見られる。

もって回った言い方だが、はやくいえば、〝死亡する〟という意味だ。

論文は、その死亡原因についても、明記している。

「……義歯による食道穿孔の死亡例の死因は、大動脈穿孔……などであった」

「大動脈穿孔」とは、大動脈に穴を開けてしまうこと。友人の医師に聞くと「大動脈を傷付けると、天井まで届くほど激しく出血する」という。すると、もはや止血不能……。

部分入れ歯のツメによる大動脈損傷による内出血も、すさまじいものだろう。

診療室のパニックの様子まで目に浮かぶ。

ここまで、読んだあなたは、青ざめて声もないはずだ。

入れ歯を使用している人なら、なおさらだろう。

口の中の部分入れ歯が、ときとして、あなたの命を奪ってしまう……。

開腹手術、さらに死亡事故多発……。

それは、もはや他人事ではないはずだ。

ここまで冷静に入れ歯誤飲の実態を詳述してきた同論文は、次のような「対策」を、まとめとしている。

⑴食事のときのみ義歯を入れる。

⑵夜間は入れ歯を外し就寝する。

⑶早食いをしないよう心がける。

――たった、これだけである。拍子抜けする。

そもそも、患者がうっかり飲み込んでしまうような、入れ歯自体が、問題ではないのか?

取り出すのに開腹手術を要するなど論外だ。さらに、死亡事故も多発している。

なら、それはもう欠陥というより、殺人商品だ。製造・販売禁止にすべきではないのか。

痛い、落ちる、話せない……入れ歯難民・・・

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ザ・フナイ 2018年9月号  マスコミのタブー200連発〈102〉 より

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/

船瀬俊介公式facebook=  https://www.facebook.com/funaseshun

船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」=  https://www.facebook.com/funase.juku

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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