船瀬俊介連載コラム
マスコミのタブー200連発〈135〉(月刊『ザ・フナイ』)
近未来文明が始まる!EVの次はスカイ・カー
中国44万円EVVS日本165万円EV
日本の凋落が止まらない。国際競争力は、まさに奈落の底に落ちるようだ。その典型がEV(電気自動車)開発。
2030~35年までに「全車種をEVにする!」と、世界の主要自動車メーカーは、すべてEVに舵を切っていた。つまり、ガソリン車やハイブリッド車は消えてなくなる。
100年に一度の大激変が産業界を襲っている。
欧米各国政府がCO2の排出車の全面禁止を打ち出したことによって、世界の自動車メーカーが、ことごとく化石燃料車の全廃を決定した。
欧米各国政府の英断が、各国EV開発のブースターとなったのだ。まさに、スタート・フラッグはすでに振られ、一斉のEV化ダッシュは凄まじい。
まさに壮観である。
その先陣を切っているのが、イーロン・マスクが指揮するテスラだ。すでに時価総額で、日本の自動車メーカー全社を合わせたより多い。まさに、世界トップの巨大EVメーカーに躍り出た。
猛烈なEV化へ怒濤の動きに、完全に取り残されたのが日本である。
世界中のメーカーがEV化にアクセルを踏み込んでいるのに、日本だけがブレーキを踏んでいる。
世界は、その正気を疑っている。こうして、日本は完全に、世界から取り残された。
典型がトヨタだ。
これまで開発したEVは、レクサス1モデルと〝C+pod〟というミニEVのみ(写真1)。
2人乗りで価格は165万円。最高速度なんと時速60㎞! まさにオモチャ並みだ。
これが、国際的EV化の潮流の中でのトヨタ〝自慢〟のEVなのだ。まったく出遅れている。
たとえば、中国製EVである〝宏光MINI〟と比較すれば一目瞭然だ(写真2)。
今、世界でもっとも売れているEVだ。4人乗りで、価格はナント44万円!
驚愕の安さだ。最高速度は時速100㎞以上。〝C+pod〟は足下にも及ばない。
この〝宏光MINI〟は2020年7月、発売20日間で1万5000台完売。5万台以上の予約が殺到。さらに、走行8万㎞、バッテリー10年保証という充実サービス。
トヨタの〝C+pod〟はオモチャレベルで、価格は4倍……! 勝負にならない。
この〝宏光MINI〟が日本に進出してきた光景を想像すると、背筋が寒くなる。日本の軽自動車市場は、完全に中国メーカーに席巻されるだろう。
落ちこぼれ日本だけが、ガラパゴス化
世界はEV化、トヨタは水素化――。
これこそ、日本経済迷走の象徴だ。世界の自動車メーカーは水素燃料電池車FCVを完全に見限っている。水素インフラ整備など、コスト面などから絶対不可能だからだ。
なのに、トヨタだけは突き進む。まさに太平洋戦争末期、戦艦大和の玉砕出撃に等しい。文字通り国民を道連れに、地獄への道を一直線だ……。
豊田章男社長は、完全に〝裸の王様〟と化している。思うに、トヨタ取締役のほとんどは、トヨタを潰すために送り込まれたイルミナティ工作員ではないのか? トヨタを潰す特命を帯びた連中としか、思えない。
日本の他メーカーも似たり寄ったり。こうして、世界のEV化の潮流の中で、日本だけがガラパゴス化している。
もはや、世界の電気自動車レベルは、はるか遠く先だ。日本メーカーは永遠に追いつけない。
さらに、日本の自動車業界に激震が走った。世界最大EVメーカー、テスラが平均で150万円という驚愕値下げを断行したのだ。
ベストセラー〝モデル3〟は429万円に爆下げ。
補助金約80万円を引くと約350万円で、ガソリン車とほぼ同等レベルになった。日本企業に欠けているのは、テスラのようなベンチャー・スピリットだ。
かつて、小学校卒業の学歴しかない本田宗一郎が自社を立ち上げたとき、ミカン箱に仁王立ちして「わが社は、世界一のホンダになる!」と宣言した。
そして、その通り「世界のホンダ」となった。
現代の日本企業の経営者と社員に決定的に欠けているのが、この大志だ。
大望を抱かずして、どうして世界で勝ち残っていけよう。
貧しくなる日本、未来は中国の植民地か?
テスラCEOのイーロン・マスク(写真3)の構想力と行動力には、ただ舌をまく。
彼は地球を1時間以内に結ぶ……と宣言した。
そして、彼の会社であるスペースXは、大型ロケット〝ファルコンヘビー〟の打ち上げに成功している。これら宇宙旅客機を使えば、東京とニューヨーク間は37分で結ばれる。
日本の雇われ社長には、逆立ちしてもできない超弩級ウルトラ構想だ。
テスラの野望は宇宙だけではない。
彼が構想するチューブ・トレイン〝ハイパーループ〟は、真空チューブの中をマッハのスピードで未来列車が走る。
その速度は、ジェット旅客機より速い時速1200㎞(写真4)。
これは、夢物語でなく、アラブ首長国連邦ドバイは真空マッハ・トレインの導入を決定している。
首都アブダビとサウジのリヤドを結ぶ計画だ。これに比べればリニアなど狂気の妄想企画だ。
4万倍も発ガン電磁波を乗客に浴びせて、時速500㎞しか出ないリニア中央新幹線など、まさに無用の長物でしかない。
これは、まさに航空機戦の時代に戦艦大和を盲信したかつての軍部の愚策と同じ。トヨタの迷走は、ジェット機の時代に古いプロペラ機に執着するようなものだ。
世界の産業と技術は、常に、未来に向けて先へ先へと進んでいる。
それから目を逸らすことは、企業として、経済として、死を意味する。それは、国家の死につながる。
こうして、日本経済は確実に死に向かっている。それは、日本の底無しの貧困化を意味する。
このままでは日本は確実に中国の植民地としての屈辱を味わうだろう。もはや生きる道は、中国への出稼ぎしかなくなる……そんな屈辱的な、お先真っ暗な未来が近付いている。
空飛ぶ車の世界市場170兆円(2040年)
私の講演会に20代の若者が来ていた。スズキ自動車のエンジニアという。
「スズキも、これから空飛ぶ自動車くらい作らないと、生き残れないぞ!」とハッパをかけると
「エエッ! そんなのあるんですか?」
このリアクションには、あぜん。情報力でも、日本がいかに落ちこぼれかがわかる。好奇心旺盛であるはずの若者ですら、井の中の蛙と化しているのだ。
「空飛ぶクルマなんて、とっくに100種類くらい開発されているゾ!」
と言うと、彼はただ絶句するのみ。
発想力こそが、企業力を生み出す。それはイーロン・マスクの挑戦で明らかだ。
現在の日本企業に決定的に欠けているのが、この挑戦する勇気だ。
かつての本田宗一郎のように好奇心に火を付け、大志を燃やしていただきたい。
その思いをこめて、世界の〝空飛ぶクルマ〟の現状をリポートする。
2040年には、世界の空飛ぶクルマ市場予測は、なんと約170兆円(米モルガン・スタンレー社予測)。
つまり、EVに続く超巨大市場は〝エアロ・モービル〟なのだ。
ここで出遅れたら、生き残れない。そこに、とっくの昔から目を付けていたのが中国だ。
(写真5)は、すでに実用化されている空飛ぶタクシー“EHang216”。中国のドローンメーカーが開発。2人乗り。16個プロペラがついている。パイロットはいない。すべてAIが操縦する。
つまり、無人の空飛ぶタクシーだ。
これまで、世界23都市で、5000回以上のテスト飛行をクリア。最高時速130㎞。1回充電で21分間飛行が可能だ。機体価格30万ドル(約3200万円)。
すでに世界中から引き合いが殺到して、売れ行きも加速している。
(写真6)は、同社1人乗りモデル“EHang 184”。
ドバイ交通当局は、これを1人乗り「ドローン・タクシー」として導入する計画を発表している。最大積載重量は100㎞弱。1回充電で50㎞も飛行可能。
最高速度160㎞と、初回モデルよりはるかに性能が向上している。搭乗希望者は、スマホで呼び出し、備え付けタッチパネルで目的地を入力。後は座っているだけで目的地に到着する。
ドバイは、2030年までに、交通機関の25%を無人運転化するという。
見よ! 世界の先進的スカイ・カーたち・・・
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ザ・フナイ 2021年6月号 マスコミのタブー200連発〈135〉 より
月刊『ザ・フナイ』は、船井幸雄が「世の中を変える意識と行動力を持つ人に向けて発信する」と決意し、(株)船井メディアより2007年10月号から創刊した雑誌です。
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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家
著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。
『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。
独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。
船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/
船瀬俊介公式facebook= https://www.facebook.com/funaseshun
船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」= https://www.facebook.com/funase.juku
著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。