創業三四〇年 自然酒蔵元寺田本家 麹・甘酒・酒粕の発酵ごはん
本書では、340年続く酒蔵「寺田本家」の、麹・甘酒・酒粕を使った、発酵パワー抜群のレシピを紹介します。
「寺田本家」では、無農薬米と天然の稲麹菌を使い、微生物の自然な発酵を生かした「自然酒」を手造りしています。
そんな、体にいいこだわりの自然酒を造り続ける酒蔵ならではの、おいしくて体が喜ぶレシピばかりです。
甘酒は、米麹を使った甘酒ですので、アルコールは含まれません。
また、酒粕も、火入れすれば、アルコールはほとんどなくなりますので、お子さんやお酒に弱い人にも安心です。
生きた発酵食品である麹・甘酒・酒粕をちょっと料理に使うだけで、ぐんと栄養価が高まり、体の中から元気できれいになれる「発酵ごはん」、ぜひお試しください。
発酵のこと
「元気になる」「酸味がおいしい」「悪酔いしない酒は初めて」うちの酒を飲まれた方から、そんなお声をいただくようになりました。
発芽玄米酒「むすひ」には、「体の調子が良くなった」「血糖値が下がった」「冷え性が改善した」という声が届くようになりました。
中でも「お通じが良くなった」という声が多かったことには私たちも驚きましたが、目指していた本物の酒造りがお役に立っていると思うと、これほどうれしいことはありません。
人も微生物の集まり
手前味噌で恐縮ですが、うちの酒は本当に心地よく飲めます。酒造りを出熙としていながら、私はあまり酒に強くありません。
でも不思議と、うちの酒は一口ごとに楽しめる。
だるくならず、体に心地よい満足感がたまっていきます。「今日は飲みすぎたな」と思っても、頭が痛くならないのです。
近年、日本酒のさまざまな健康効果が報告されています。
WHO(世界保健機関)の調査では、昔ながらの日本酒にはガンや動脈硬化、血栓の予防など病気を防ぐ効果や、ストレスで誘発される病気や老化のもとになる活性酸素の生成を予防する効果があることが報告されています。
ガン細胞に純米酒を入れると、ガン細胞が死ぬ。
しかし、ほかの蒸留酒ではその効果が薄かったー—ー。
秋田大学の滝澤行雄名誉教授の論文ではそう発表されていました。
ほかにも、高血圧、血栓、動脈硬化、骨粗しょう症などの生活習慣病、うつ病改善効果、認知症の予防、アトピー性皮膚炎の改善、シミの減少といった美肌効果など、昔ながらの日本酒によるさまざまな効果が確認されています。
酒が百薬の長たりえるのは、日本酒が「発酵食品」だからだと思います。
発酵は、日本酒や味噌、醤油などの日本の伝統食品や調味料に欠かせないもの。そして食べ物は、発酵していると腐りません。
ほうっておけば腐るきゅうりも、発酵しているぬか床に入れておくと漬け物になるように、微生物の力で自らを変化させながら、体にいい栄養素を作り出してくれます。
お腹の中にいる微生物は100兆個とも言われています。
人間の細胞60兆個よりはるかに多い微生物が体内にいる。自分であると思っているのは、実は微生物の塊。
お腹の中を微生物が元気に発酵している「発酵場」にしてあげると、健康のみならず、生き方にも大きく影響するような気がします。
「おいしい」を教えてくれた発酵ごはん
寺田家のごはんは玄米菜食中心で、発酵ごはんがずらりと並びます。肉料理は時々しか出ませんが、ものたりなさはありません。
カミさんの発酵ごはんを毎日しみじみおいしく感じられるのは、自然のバランスでできているものをそのままいただいているからだと思います。
人間も本来は自然の一部ですが、私は社会生活の中で便利なものに慣れていくうちに、「自然であること」を忘れ、何がおいしくて何がおいしくないのかが分かりにくくなってしまっていたように思います。
舌先の「おいしい」と、体が喜ぶ「おいしい」はまったく違う私が今まで「おいしい」と思っていたものは、化学調味料のおいしさだったのかもしれません。
気づけば、大好物だったスナック菓子や炭酸飲料もとらなくなっていました。
体が喜ぶ「おいしい」を教えてくれたカミさんに大感謝です。
結婚して食生活が変わると、体にも変化がありました。体重が10キロ落ち、いつも何となく重たかった胃もすっきりとしてきました。
無駄に汗をかくことがなくなり、疲れすぎることもなくなりました。風邪もひかなくなりました。
うちの子どもたちもほとんど風邪をひきません。たまに熱が出ても、病気になっても体が病に勝てる。
1日寝るとけろっとしています。
自分の心と体を元気な発酵場にしておけば、何が起こっても跳ね返す力がつく。
微生物と仲良しになって、普段から発酵食品を食べる習慣をつけることで、腸内細菌が活性化して、病原菌が入ってきても悪さをしないで調和してしまうのではないか。
それこそが、本当の免疫力だと思います。
創業三四〇年 自然酒蔵元寺田本家 麹・甘酒・酒粕の発酵ごはん | ||||
|