マクロビオティック one テーマ (文)ムスビの会主宰 岡部賢二
マクロoneテーマ⑨今月のテーマ黒炒り玄米スープの活用法
起死回生の妙薬、黒炒り玄米スープ
マクロビオティックの手当て法の中で起死回生の妙薬と言われているのが黒炒り玄米スープです。
これは玄米を丹念に炒ったものに15~20倍の水と少しの塩を入れ、30分くらい煮出したものです。では、その効用とは一体なんなのでしょうか。
人体には60兆個と言われる細胞に酸素や栄養素を運ぶための毛細血管が張り巡らされています。
その総延長は9万㎞。これを家に例えるならば血管はライフラインと呼ばれる上水道に相当します。
上水道が災害で止まってしまうと大変なことになるのは被災された方々を見ればよくわかるはずです。
また、災害時に何よりも困るのがトイレの問題です。
水洗トイレの問題点は水がなければ流れないことで、マンション住まいの方なら、断水の時に苦労された体験があるのではないでしょうか。
同じように人体でも細胞から吐き出された老廃物や二酸化炭素といった不要なものを排泄する下水道にあたるリンパ管の役割はとても重要です。
血管とリンパ管は人体の中を並行して走っており、上水道である血管内の老廃物が徐々に下水道のリンパ管に移行し、静脈から心臓に血液が戻るまでに血液内の汚れが除去されるようなシステムになっています。
リンパ管を浄化し、陰性成分を吸着
ところが、リンパ管に汚れが目詰まりし、流れが滞ると血管内に老廃物があふれ出し、血液の汚れから血行不良が引き起こされます。
流れの悪くなった血液は酸素を思うように運べず、酸欠状態に陥った細胞は痛みを起こすことで脳に緊急事態を告げます。
これを放置すればいずれ血液の滞りにより雑菌が繁殖して炎症状態が現れたり、汚れた血液を一時保管する倉庫として肉腫や筋腫、ガンといった血液の浄化装置が発生したりすることになります。
この時にリンパ管の大掃除をしてくれるのが黒炒り玄米スープです。
汚れた河川に活性炭を投入すると、炭の中の微細な穴に住みついたバクテリアによって川の水が浄化されるように、体内にも炭のような黒炒り玄米のスープを摂取することで、リンパ管の浄化が行われます。
これは長時間の焙煎により極陽化した玄米のデンプン質が活性炭のような働きをし、化学物質や油脂類、タンパク質類といった陰性な成分を吸着するからです。
リウマチや神経痛、生理痛、腰痛、歯痛、頭痛といった炎症を伴う痛みの場合、血液の循環が滞って痛みや炎症が起きている場合が多く、リンパ管を浄化することで血液をきれいにすれば不快な症状を緩和することができます。
以前、偏頭痛に40年悩まされて来たという方に玄米スープをお勧めしたら、頭痛が数日で収まったと喜んでいただきました。
抗ガン剤投与による極陰性のリスクを緩和
また、ガンは血行不良から体内環境が酸素欠乏状態になった時に、細胞が自ら嫌気性細胞という酸素を要求しない細胞に変化することで生じます。
したがってリンパ管の浄化によって血液の循環をよくし、酸素を細胞の隅々まで供給できれば正常細胞に戻すことも可能となります。
その際に、この黒炒り玄米スープがとても役に立つのです
抗ガン剤を投与すると、その副作用で頭の毛が抜けたり、白血球数が激減したり、腸の絨毛がただれてケロイド化して造血力が損なわれたり、便意はあっても便が出ないしぶりといった症状が現れたり、血管がもろくなったりといった様々な副作用が起きることが知られています。
抗ガン剤はガン細胞を溶かす薬ですから、溶かす、緩める、冷やすという極陰性な作用があると判断できます。
ですから、その対極の性質を持つ極陽性の黒炒り玄米スープで陰性な成分を吸着し、中和できればそうしたリスクが回避されるでしょう。
実際、抗ガン剤投与によるガン治療中の方にこの黒炒り玄米スープを飲んでもらったところ、髪の毛が抜けなかった、白血球数が減らなかったという報告を受けています。
風邪で熱が続く時や、血圧の降下にも
我が家では、子供が風邪をひくと必ず玄米スープを飲ませるのですが、その効果を何度も体感し、助けられています。
熱や微熱が続く時は肺と腸に炎症があることが多く、それらの臓器に数多く存在するリンパ管を黒炒り玄米スープで浄化してあげれば症状が治まりやすくなるのです。
また、リンパ管がきれいになれば、血液が浄化され、血行がよくなることで血圧が下がります。
高血圧の方には、この黒炒り玄米スープに干し椎茸(500㏄に2枚くらい)を入れたものがお勧めです。1日に400㏄くらいの量を飲むとよいです。
作り方は、玄米1合を洗わずに弱火で炒っていきます。
煙が出てくれば火を小さくし、炒り続けます。玄米が爪でポンと2つに割れ、割れ口が焦げ茶色だったら炒りあがり。
大さじ2杯の炒り玄米に500㏄くらいの水と塩少々を入れ、3分の2程に煮詰まったら火を止め、濾して飲用します。
自然食品店では10数時間焙煎した黒炒り玄米スープの素が売られているので、そうしたものを活用されてもよいでしょう。ぜひお試しください。
【参考文献】
「身近かな食物による手当て法」正食出版
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月刊「むすび」 2016年09月号より
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Profile おかべ・けんじ
大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。
日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。
2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。
著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、
「家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。
ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com