砂糖の毒性について多くの研究者や食養家が警告を発している

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小澤博樹 連載コラム

砂糖の毒性についても多くの研究者や食養家が警告を発している。

しかし現代栄養学は砂糖を単なる炭水化物としてしかみておらず、その固有の毒性についてはほとんど問題にはしていない。

糖類を分類すると、果物や蜂蜜に含まれるブドウ糖や果糖、これらは単糖類である。

砂糖や牛乳に含まれる蔗糖、乳糖、これは二糖類。殻物や野菜に含まれるのは多糖類だ。(表1)

人が単糖や二糖類を摂取すると体内で急激に代謝吸収され血糖値を高くし、血液を酸性化する。白砂糖は特にその作用が著明である。

反対に穀物とくに完全穀物(玄米・玄麦など)や野菜、海藻に含まれる多糖類はその代謝吸収がゆっくりで血液を弱アルカリに維持する。

従って単糖や二糖類より多糖類を摂取する方が人体にとって安全で病気予防にも繋がる。

単糖類や二糖類を含む蜂蜜や砂糖を摂取すると血糖値は急激に上昇し、それとともに精神や気分が高まる。

この高揚感は血糖値の低下とともに急速に消失し、反対に不機嫌、感傷性、散漫な思考、混乱、落胆をもたらす。

特に蜂蜜や白砂糖など過度に精製された糖をとると、明晰さが失われ、怠惰で夢幻的な行動をとるようになる。

砂糖を摂取する事により、虫歯、白内障、視力障害、腫瘍などを生じる。

さらに過剰に摂取された砂糖は、人体内で脂肪酸に変わり、狭心症や心筋梗塞、癌、糖尿病、統合失調症などを引き起こす要因となる。

単糖類や二糖類を摂取すると血糖値は急激に上昇するため、インスリンが一気にしかも大量に分泌されることになる。

このあいだ血液は酸性に傾き、これを繰り返す内に、膵臓のインスリン分泌機能が疲弊してしまい、血液中の糖を細胞内へ取り込むことができなくなり、血糖値は高値のままで、尿中へも糖が排泄されることになる。

つまりこの状態を糖尿病といい、このままの状態を続けることにより、失明、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全、下肢の壊死などの重篤な合併症を引き起こす事になる。

だからといって血糖値を低下させるための経口糖尿病薬やインスリンを投与しても糖尿病という病気本体を治すことはできない。

これらの薬剤を投与すれば確かに血糖値は低下するが、膵臓のインスリン分泌機能や免疫機能も低下させるため、病気はさらに悪化し、他の病気も発症させることになる。

大食(肉、魚、卵、乳製品、砂糖など)をしたり高濃度の糖分を摂取すると、高血糖となり、無気力、疲労感、不眠などを来たす。

すると糖分を細胞内に取り込み血糖値を正常に復すために膵臓からインスリンが分泌される。

過度のインスリン分泌により、今度は低血糖が起こる。

低血糖ともなれば、冷や汗、動悸、手指の震え、イライラ、空腹感、不機嫌などの症状が現れる。

低血糖を改善させるため、副腎からアドレナリンやノルアドレナリンが分泌される。

これらは血糖値を上昇させるとともにアドレナリンは、怒り、敵意、暴力、イライラなど、ノルアドレナリンは恐怖、自殺観念、強迫観念、不安などの情動的変化をおこす。

また、キレやすく、興奮しやすくなり、パニック状態にもなりやすい。

さらにアドレナリンやノルアドレナリンが酸化し体内に増加すると幻覚幻聴をおこす。

これが統合失調症である。つまり血糖値の乱高下が統合失調症の主たる原因である。

これがあるために統合失調症患者は反社会的な行動や考え方をし社会に適応していくのが難しい。(A・ホッファー:カナダ精神医学者) 

ではなぜアドレナリンやノルアドレナリンが酸化しやすいのか。

それは肉、魚、卵、乳製品、砂糖などを中心とした現代的な食生活に起因する。そしてそこに含まれる食品添加物や化学物質、医療機関や薬局で処方される化学薬品などが、統合失調症の症状をさらに悪化させている。

砂糖やその他の炭水化物が人間の体内で代謝、燃焼されるとき、ビタミンB群を含有する酵素を必要とする。

しかし砂糖自体にはビタミンB群を有しないため、砂糖が代謝、燃焼される場合は、人体からビタミンB群を奪取する事になり、精白米や砂糖のみの極端な食生活であれば、ビタミンB欠乏症をおこす可能性がある。

かつては脚気という病気があったが脚気だけではなく、統合失調症患者も砂糖によりビタミンB群が欠乏し、アドレナリン、ノルアドレナリンの酸化が亢進されるのである。

またビタミンB群のみならず、ビタミンC、葉酸、亜鉛、カルシウムなど他のビタミンやミネラル類も不足し、バランスを崩しているがために、酸化が促進される。

ではこの酸化を防ぐために不足しているビタミン類やミネラル類を補充すれば良いではないか、ビタミン剤やカルシウム製剤を服用すれば良いではないかとの意見もでるであろう。

しかし他の植物から抽出されたもの、人工的に化学合成されたものを投与すれば、人体内にあるビタミン類やミネラル類のバランスはさらに崩されてしまう。

これらを補充しようとするには植物に含まれるビタミン類やミネラル類をその植物全体で摂取すべきである。

こうすれば副作用もなく病気治療につながる。

表2に示されたデータは一般的な農法により栽培された穀物や野菜類であるが、無農薬有機農法産の農作物の方がビタミンやミネラル類の含有量は多い。

従ってこれらを食す場合は後者を入手すべきである。

また人が砂糖を摂取した場合、体内での代謝過程でカルシウムなどのミネラル分をも消費してしまうため、虫歯や骨粗鬆症の原因ともなる。

砂糖や砂糖を含む菓子類を食すと、歯の表面の酸性化はpH5.5以下に下がり、食べ終わってからもこの状態が数分間つづく。

この間、歯のカルシウム分は溶け出し、歯に損傷をおこす。

この損傷は、唾液中のカルシウムにより数分間かけて修復されるが、修復される前にまた砂糖を摂取すれば、歯の損傷回数は増えて修復不可能となり虫歯が発生する。

一方の皿に砂糖菓子を置き、他の皿には梅干しを置いて何日かすると、砂糖菓子の方には当然カビが生え腐敗を起こす。現代人は毎日大量の砂糖を摂取するために、その体は砂糖漬けになっている。

皿の上の砂糖菓子と同様に現代人に水虫や真菌性皮膚炎、真菌性膣炎、真菌性肺炎などカビが原因で起こる病気も多発している。

砂糖を多く含む食物を摂取すると人体は酸化し、病原体の活動しやすい状態を作り出す。

日本では、安価で豊富な砂糖の供給地を台湾に見出した明治43年頃より肺結核の罹病率が急増した。

人間の体を酸化させてしまう砂糖は人体の免疫機能を低下させ、人体を病原菌の培地へ変えてしまうだけでなく、癌やその他慢性病の原因ともなっている。

白砂糖だけではなく、黒砂糖、三温糖、人工甘味料、天然甘味料なども人体にとって有害となる。

人工甘味料アスパルテーム(商品名・ニュートラスイート、日本では味の素製のパルスイートに含まれている)の成分はフェニルアラニン、アスパラギン酸というアミノ酸で自然界にも存在するが、これらのみを摂取すると脳細胞に作用し、その興奮毒性により死亡する場合もある。 

アスパルテームの甘さは砂糖の200倍。その上ノンカロリー、ノンシュガーを謳い文句に糖尿病患者や肥満傾向にある人たちに推薦されているばかりか、一般の食品や菓子類にも添加されている。

この甘味料のこわい所は人が物事を認識し判断する能力を抑制する事にある。自分では何も考えられず、抑鬱的となり機械人間と化していく。

権力者や支配者側は一般国民や庶民をコントロールしやすくするための道具としてこれを普及させたいのである。

アスパルテームは脳腫瘍、記憶障害、頭痛、眩暈、知能低下、抑鬱、不眠、情緒障害、イライラ、視覚障害、聴覚障害、不安感、疲労感、味覚障害などを来すおそれがある。

アスパルテームの他にもサッカリン、チクロ、スクラロース、アセスルファムカリウムなども有害である。

また、天然の甘味料であるステビアなども摂取するべきではない。ステビアは熱帯産の植物から抽出したものである。

天然の植物といえども、そこから抽出された物には副作用がつきものである。

温帯域に住まう日本人が熱帯産の植物を摂取すべきではない。ステビアは、特に陰性が強く、現地ではかつてこれを堕胎に使用していた。

人間はとにかく甘く口当たりの良い物であれば、たとえそれがどんな毒性をもっていても、このくらいは大丈夫だろうと、その誘惑に負けて食べてしまう。

反対にどんな有益な薬草であっても、それが苦く口当たりが悪い物であれば、好んで口にしようとはしない。

日常の食生活で食材を選ぶ時、この事をよく考えなければならない。

【参考文献】

「食養生・エコロジカルメディスン」 小澤博樹・著  綜合ユニコム

「統合失調症を治す」 A・ホッファー・著 大沢博・訳  第三文明社

「THE マクロビオティック」 久司道夫・著  マガジンハウス

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小澤 博樹

1949年愛知県碧南市生まれ。1974年東邦大学医学部を卒業後、同付属病院にて消化器外科学、一般外科学を専攻。

1984年、碧南市にて小澤医院を開業し、「食養生」を基本とした代替医療を展開し、現在に至る。

現代医学そのものが金儲け主義であると批判。自らは最少の費用で最大の成果を提供しようと模索する。頑固と良心の共存した、清貧な医者である。

マクロビオテック(玄米菜食)による体質改善、免疫力・自然治癒力の向上を図り、病気を治療に導く有床診療所「小澤医院」のHPはこちら→小澤医院

主な著書に「治す医者か、ごまかす医者か―絶対あきらめない患者学」「医者ができること、してはいけないこと―食い改める最善医療」などがある。