テレビは見るな! 新聞は取るな! (日本の真相!) 船瀬 俊介 (著)

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テレビは見るな! 新聞は取るな! (日本の真相!)

脅迫・威嚇に屈しない船瀬俊介氏、『日本の真相! 』告発シリーズ最新刊!

日本人は「知らぬがホトケ」、 「知らないうちにホトケにされる」そして「命もカネもむしり取られる」

コロナ報道でバレた日本のマスコミの惨状、本書が追及する真相「言っては、いけない」「書いては、いけない」ことだらけ。

阿呆をつくるテレビ、馬鹿をつくる新聞……嗚呼。著者のライフワーク、マスコミ批判の書、ついに刊行!


【第二章】 電磁波、リニア、5G、書けないことだらけーー「言えない」「流せない」絶望の日本メディア

「他社が書いてないから書けません」

スクープを忘れた新聞

第一章で紹介した私の友人、知人のジャーナリストたちは、圧迫、制約のなかでも、なんとか真実を伝えようとしてきた。

だからこそ、彼らは苦しみ、悩んだのだ。

しかし、すべてが、このように真摯な記者ばかりとは限らない。

「出る杭は打たれる」「長い物にまかれろ」……。多くの記者のあいだにも、そのような無気力な気分が蔓延している。

ひとつの例をあげよう。

もう三〇年ほども前の話だ。

私が会った一人の記者Nさん。まだ二〇代の大手新聞記者と顔なじみになった。「何かネタないですかねぇ」...... と私に聞く。そこで一考、一っ思い出した。

私は食品間題を調べていたのだが、しょうゆの製法を記した専門書の一部に目がクギ付けになった。そこで、しょうゆには「家庭用」と「業務用」があることを知った。

目を引かれたのは「業務用」の製造工程図だ。そこには、原材料が明記されていた。そこに「人毛」とあってギョッとした。

つまり、人の髪の毛が原料のしょうゆ…!?

都市伝説どころではない。ちゃんと専門家向けの食品工業テキストに明記されている。解説を読むと、この「毛髪」を薬品で処理してアミノ酸にして、しょうゆの原料とするという。俗にこれは〝アミノ酸しょうゆ〟と呼ばれている。しょうゆは発酵食品のはずだ。

しかし、食品工業の裏側では、こんなおぞましい作業が行われていた。

「無理っす。どこも書いてないから」

そういえば、こんなクイズを聞いたことがある。理髪店に毎日、ある業者がやってくる。「コンチワ!」

床に落ちた髪の毛を回収していく。

さてーーこの業者の職業は?カツラ屋さん、人形製造業、佃煮屋さん?

正解は、佃煮の原料!かつて耳にして、マサカと思っていた。しかし、それは真実だったのだ。業務用アミノ酸しょうゆ原料の一部に、人毛が使われている。

使えるものなら、人体の一部でも使うのか?かつてナチスはユダヤ人を処刑後、その脂を使って石鹸を作ったという。毛髪原料のしょうゆ。まさにアウシュヴィッツまで、あと一歩である。

大手新聞がこの〝人毛しょうゆ〟の存在を書けば、センセーショナルな反応を引き起こすだろう。

世論も沸騰、おぞましいニセしょうゆも、地上から消えるはずだ。

期待をこめて、N記者にこの話をした。証拠となる食品工業テキストも示した。

最初、彼は目を輝かせて「ほんとですか!スッゲー」と興奮気味。

ところが、ふとわれに返った。

「あれ。船瀬さん、これヤバイっすよ。ちょっと無理ですよ」

「エッ、どうして?超面白いネタだろ」

「無理っす。だって、まだどこも書いてないから」

私は、ズズッ……と、のけぞりそうになった。

この記者は、スクープという言葉も知らないのか!

他紙が書いてないから、書けない……よく、こんな言葉が口から出てくるものだ。

それ以来、わたしは日本の大手新聞を見放している。

朝日記者「電磁波?ウチは書けないんですよ」

さらりと言った若手記者

若いマスコミ記者は、ジャーナリストとしての誇りも失っている。

わたしは、ある案件で朝日の取材を受けたことがある。担当のI記者は、三〇代半ばくらいだった。

たまたま、私の著作に話題が移ったとき、著作一覧をのぞきこんで、I記者は感心した。

「へえー、船瀬さん、電磁波の本こんなに書いてるんですね」

「そうだなあ。一〇冊以上は書いているかな」

それを聞いた彼の発言には耳を疑った。

「朝日は、電磁波問題、書けないんですよね」

あんまり、さらりと言ったので、あぜんとした。まったく、悪びれたふうもない。

二の句がつげず、彼の顔を見つめた。平然としているので、こちらの力が抜けた。

かつてのわたしの友人記者たちだったら、少なくとも悔しそうに吐露したはずだ。

そんな、気概も衿持も若い記者たちからは、失われてしまっている。タイミングを逸したが、彼らを「このボケッ!」と一喝してやりたい。

頭を丸めて謝罪に来た記者

以下は、携帯中継塔をめぐるマスコミ取材の顛末……。

「電磁波は書けません!」と、朝日の記者が頭を丸めてきて謝罪したという。

ジャーナリスト黒藪哲哉氏が、その実態を告発している(「あぶない!あなたのそばの携帯基地局」共栄書房)。

朝日は、かつて携帯電話・中継塔からの電磁波問題を追っていたこともある。

二〇〇六年夏ごろ、大阪・川西市で記者は住民一人ひとりに取材で回っていた。

中継局からの電磁波被害に苦しんでいた住民は、朝日の追及記事に期待していた。ところが不可解なことに、取材はピタリとやんだ。

そしていっさい、記事になることもなかった。見えない〝圧力〟で企画自体が潰されたのだ。

担当記者は、その後、「スミマセンでした」と住民に謝罪に来たそうだ。

住民は、その姿を見てあぜんとする。なんと、頭を丸めている。彼には良心のカケラはあったのだろう。

企画を潰した〝上からの圧力〟に忸怩たる思いがあったのだろう。住民もその姿にこう語っている。

「あれだけ情熱をもって熱心に取材されたのに、報道できなくなって残念だろうな、と思いました」

左遷、退職に追い込まれる

さらに、ゾッとする話もある。電磁波問題関西連絡会副代表・吉本公蔵氏の証言だ。

「二〇〇七年を境に、(朝日新聞の電磁波)報道が極端に少なくなりました。この問題を取材していた新聞記者が左遷されたり、退職に追い込まれた、という話もいくつか聞いています」(前著より)

この朝日の変節の理由もすぐに判った。二〇〇八年、同社はテレビ朝日とKDDIと共同で、携帯電話ネットワークに参入。以下のように事業内容を発表している。

「……三社は、au携帯電話ネットワーク上において、テレビ放送と連携した新しい情報配信サービスを、来夏、(情報)提供開始を目標に共同開発します」(発表声明)

なんと、朝日新聞は、携帯電話の〝事業主〟になってしまったのだ。しかし、だからといって「電磁波問題は書けない」とは、スジが通らない。

「危ないものは危ない」のだ。事業主なら、それをより安全に提供する義務がある。

「携帯基地局の電磁波には、これだけ健康への害があります。それを、なくす方向で努力いたします」と紙面に書いて、読者に伝えるのがメディアの責務だ。

「当事者だから書けません」では子どもの言い訳でしかない。

メディアは飼い犬、読者はサル……?

しかし、「臭い物にフタ」で、新聞・テレビの電磁波報道は完全タブーになってしまった。基地局周辺住民の健康被害も、黙殺されてしまった。

「……住民は深刻な健康被害を受けている。これは法的人権問題である」

二〇一〇年、日本弁護士連合会(日弁連)は、携帯基地局「電磁波被害」シンポジウムを開催して訴えた。

しかし、報道したのは神奈川新聞と琉球新聞の二紙のみ。大手マスコミは完全黙殺である。

わたしは『ショック!やっぱりあぶない電磁波』(共栄書房)でこう断じた。

「マスコミはスポンサーという名の巨大企業の〝飼い犬〟と化していく。知らずに購読している庶民大衆もまた、〝サル〟なみの知性に堕ちていく……」