余命3カ月のガンを克服した私が食べたもの――四季の食材と実践レシピ
正しい食事は90日で体を変えます!
おいしくて、体に寄り添う料理の秘訣を大公開 春夏秋冬、この食材で元気になる体をあたためてリセットする食べ方
余命3力月の体でパリヘ。トマトをかじったら、味覚が戻った
私は、28歳の若さで原発卵巣ガン末期の宣告を受けました。
そして、緊急手術を経て、抗ガン剤と放射線を合わせた治療をスタートさせたものの、効果が出たなと思うと、またどこかしらに再発の兆しが見える、というような状態を繰り返していました。
それでもいつのまにか、半年といわれた命のタイムリミットを越えて3年生きましたが、命は長らえても抗ガン剤の副作用があって、体力も筋力も萎え衰え、脊髄に転移したガンの痛みから、ついに立ち上がることができなくなったのです。
そして、肺への転移。進行の速い腺ガンのようなもので、余命は3カ月といわれました。
もうこれ以上、ガンと闘っても勝てる見込みがないのなら、今度はすべての治療を止めて、ガンによる痛みや高熱、咳もかゆみもすべてを受け入れ、一人静かに朽ち果てよう。
でも、ただ腐ってしまうのは嫌だから、自分の人生に最後の輝きをもたらせて、逝こうう・・・・。
そんなふうに考えた31歳の晩秋。
私は車椅子を使い、飛行機でフランスのパリへと旅立ちました。印象派の画家、クロード・モネが愛した「ジヴエルニーの庭園」とモネの絵画をもう一度見ておきたかったからです。
そこは、私が18歳のときに肺ガンで急逝した父との思い出が詰まった場所でした。
吐き気をこらえ、なんとかモネの庭園にたどり着いた私は、これれ今生最後の感動場面とばかりに目を凝らし、大きな満足感を胸にすることができました。
そして、パリのホテルに戻る途中に立ち寄ったモンマルトルのマルシェ(市場) で、奇跡ともいうべき事件が起きたのです。
少しでも空気が乾燥していると、口の中が乾燥し、カラ咳が止まらなくなる私は、持っていた水をきらしてしまい、水を求めて市場へと案内してもらいました。
しかしそこに水は売っておらず、代わりにすすめられた大嫌いなトマトをかじるはめに・・・・。
ところがどうでしょう。数分前まで抗ガン剤の副作用で口腔内が砂漠化状態、味覚障害だったのに、唾液がじわじわと出てきてロの中をうるおし、甘酸っぱさを感じるではありませんか!
味覚など、とうになくなったと思っていたのに。私の体に残っている細胞が総動員されたのでしょう。
細胞が水分を欲しがっていて、大喜びしている感じでした。
人間の体は細胞でできている。
細胞が少しでも残っていて、その細胞が喜ぶことをしてあげれば、体は少しずつでもよみがえるのではないか。
もしかして、人間は食べることで生きているのかもしれない。
いや、絶対に食べることは生さることだ! そう気づいた瞬間でした。
フランスで学んだオーガニック・ライフ
私もあまり知らなかったのですが、フランスは世界でも有数の農業国です。
自給率は100%を超えており、人々の農業に対する意識も高いものがあります。
また、日本の北海道の農業政策は、フランスとオランダの政策をお手本にしたといわれるほど、歴史があります。
土作りから始まって、ていねいに作られた作物や畜産物を、ていねいにきちんといただくというセオリーが確立していると感じました。
フランス人は食材を無駄にすることなく、調味料を有効的に活用し、手作りの保存食もたくさんそろえています。
決してぜいたくではなく、いいものをシンプルに食べるという文化なのです。
生活も、たとえば衣服などは非常にシンプルで、フランス人は服を10着しか持たないなどといわれたりするほどです。
この点は大いに学ぶべきだと思った私は、フランス人のライフスタイルからエッセンスをもらい、今は、鎌倉のミニマムな住まいにマストアイテムを絞り込んだシンプルライフを楽しんでいます。
人間は食べるもので病気にもなるし、逆に癒すこともできる
本書では、より具体的に食材のこと、毎日の食事に取り入れていただける方法、私自身が実践しているレシピ、ハーブの使い方などを中心にお届けします。
私の体は現在も修復、再生、発展の途中ですが、ガンの経験がなければ、食の大切さやその力に気づかなかったでしょう。
四季を意識し、体に耳を傾け、食をていねいに取り入れること。こうやって体をいたわっていくことで、3カ月後の次の季節には、自分の中の変化が生まれていくと、思うのです。
余命3カ月のガンを克服した私が食べたもの――四季の食材と実践レシピ | ||||
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