がん患者よ、近藤誠を疑え 近藤 誠 (著)

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がん患者よ、近藤誠を疑え

近藤誠は「教祖」ではなく、近藤理論も「宗教」ではない

ーー本書の書名に使われている「近藤誠を疑え」ですが、「近藤理論」を信じる患者にとっては実に衝撃的なメッセージですね。

僕は、いま言われた「信じる」が、まさに問題だと思っています。

「はじめに」でも触れましたが、標準治療を行なう「がん医者」は平然とウソをつきます。そのウソを信じた結果、がん患者は過酷で無意味な治療を強いられたり、貴重な命をみすみす奪われたりしています。

残念ながら、こと「がん治療」に関するかぎり、がん医者を信じるとロクなことにはならない、という現実があまねく存在しているのです。

僕はこれまで、がん医者らを含めた「標準治療ワールド」を批判し、がん治療のほとんどを否定してきました。

しかし、科学的態度から言えば、僕の主張といえども絶対的なものではあり得ず、あくまでも相対的なものにすぎません。

したがって、がん患者は標準治療ワールドの住人らに対してと同様、彼らに異を唱えている僕に対しても、科学の目で理性的に疑う必要があるのです。

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僕は、「信じること」の反対語は「疑うこと」だと思っています。そして、「疑うこと」は「考えること」の前提になります。

つまり、患者は近藤誠をも疑うことで、がん医者らが口にするウソを、より明確に見抜くことができるのです。

さらに、自分の頭で考えて出した結論であれば、たとえどのような結果になろうとも、後悔が少なくて済むのではないでしょうか。

ーー「信じること」との関係で言えば、近藤先生を敵視している「標準治療ムラ」からは「近藤誠現象は宗教のようなもの」などと、あげつらう声も聞こえてきます。

「宗教」との批判はいまに始まったことではありません。そのような声は、僕が『患者よ、がんと闘うな』(1996年、文藝春秋刊)を出版した前後からありました。


患者よ、がんと闘うな

「近藤教」だとか、「近藤信者」だとか、実に20年以上も言われ続けています。

しかし、いま述べたように、「近藤誠を信じるな」「近藤誠を疑え」というのが医師としての僕の基本的な考え方、スタンスです。

ほかならぬ僕自身がそう言ってきたわけですから、「宗教」との批判は、ためにする陰口としか思えません。

僕は「教祖」などではありませんし、近藤理論も「宗教」などではありません。というより、「すべてを疑うことで、がん医者らのウソを見抜き、みずからの頭で考える」という点で、近藤誠も近藤理論も教祖や宗教であってはならないのです。

あえて言わせてもらえば、僕の目には標準治療を信じて疑わないがん医者こそ、むしろ巨大宗教の伝道師のように映ります。

実際、多くのがん医者らは、毎日のように患者が死に続けていても、目の前の治療法を改めようとはしません。

彼らにとって、医療は科学ではなく宗教なのでしょう。

がん患者は「二度殺される」

ーーそう言われれば、国立がんセンターを筆頭とするブランド病院の威風堂々たる建物は巨大な宗教施設のようにも見えますね。

第2章で詳しく述べる「手術」にしても、僕に言わせれば「宗教」のようなものです。

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たとえば、胃がん手術。1881年にオーストリアの外科医だったテオドール・ビルロートが最初に行なった手術では、患者はたった4カ月しか生きられませんでした。

患者は明らかな術死であり、何もせずに放置しておけば、もっと生きられたはずです。

ところが、当時の外科医らは「4カ月も生きた」と小躍りし、その後もむごたらしい開腹手術に突っ込んでいきました。結果は死屍累々の大失敗の連続でした。

その後、今日に至っても、胃がんを手術したら寿命が延びるというエビデンス(証拠となるデータ)は存在していません。

近年では、早期胃がんが発見されるようになり、切除手術をされたり、内視鏡で治療されたりするようになりましたが、やはり寿命を延ばすというデータはないままです。

統計上、術死者の数は巧妙に隠蔽されてきましたが、がん手術の危険性は外科医らが誰よりもよく知っています。

にもかかわらず、19世紀のビルロートの時代から「がんは切る」という思想が変わらないのは、まさしくがん医療が宗教の一種になっているからなのです。

抗がん剤治療も同じです。

胃がんや肺がんなど、がんが塊をつくる「固形がん」(白血病、悪性リンパ腫などの「血液がん」を除くすべてのがん。肺がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、大腸がん、膀脱がんなど、がん細胞が塊となって病巣を形成するがんのこと)では、抗がん剤治療が寿命を延ばすというデータは一切存在しません。

がん医者たちが「これが根拠だ」という論文を見ると、必ずインチキや誤りがあります。

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がん検診もしかりで、死亡数が減少することを示すデータはないのに、医療産業の繁栄のために続けられ、臓器を失ったり、治療死したりする犠牲者の山を築いています。

ーーそれでも、がん医者らは「手術をしないと大変なことになります」「併せて抗がん剤治療も始めましょう」などと、患者に勧めています。

がん医者らは患者に「考える時間」を与えません。

実際、不幸にも健診や検診でがんが見つかり、紹介状をもらって大病院に駆け込むと、がん医者らは患者の焦りや不安につけ込む形で、「すぐに手術しましょう。手術枠は空いています」などと急き立てます。

しかし、これは患者を脅して標準治療に引きずり込むためのテクニックであり、多くの場合、手術枠云々などの殺し文句は口から出まかせの嘘八百です。

「はじめに」で紹介した著書のくだりでも、僕はさらに次のように指摘しています。

言葉、言葉、言葉。人は言葉によって動かされる。人が手術や化学療法を受けるのも、それが必要不可欠だという、脅しにも似た医者の言葉があるからではないか。

そして、その脅しに逆らおうとするがん患者に対して、がん医者らは「それならもう診ない。ほかの病院を探せば」などと言い放ちます。

悲しいことに、運の悪い患者は「言葉」と「治療」で「二度殺される」のです。

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