いかにたっぷり含まれるタウリンには優れた強肝作用がある

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森下敬一 『食べもの健康法』 ●いか

日本人の大半はいかが好きだ。

一年中、日本近海で取れるから値段も安く、ご飯のおかずはもちろん、酒の肴にも、おやつにもできる。

日本人は、もともと穀菜食民族である。

けれども周囲を海で囲まれている日本列島では、当然海産物も利用してきた。また海産物は日本人の生理にとって必要不可欠でもあった。

モンスーン地帯で雨量が多く、しかも山岳列島ゆえに、土壌中のミネラルはどんどん洗い流され、川や海に移行していってしまう。

深刻なミネラル不足に陥りやすいのも、そのためである。

だから、陸地から溶け出て行ったミネラルを受け止めている魚介や海藻を食べなければならないわけだ。

幸い、魚介類は、人間の体にスムーズに消化処理される食物である。

人類は進化の過程で、海辺で生活していた一時期があり、魚介類には十分適応しているからだ。

同じく動物性食品であるとはいえ、血液を汚す造病食である動物性蛋白質(肉、牛乳、卵)とは、全く違っている。

ただし魚介類も、健康にプラスさせるためには、大事な約束事がある。

原則として全体食をする、ということだ。

切り身や刺身として食べるのではなく頭から尻っぽまで、また骨も皮も内蔵も丸ごと食べるのである。

こういう食べ方をした時、効果的にミネラル補給ができ、体質陽性化作用が得られる。

シラスボシがその典型であることがわかろう。

とはいえ、それ以外のものは失格というわけではない。「原則として」という点をよく理解したいのだが、人間の生理には受けつけられない部分(貝の殻や目玉、いかの甲など)を除くのはやむを得ない。

それぐらいのマイナスは、内臓食(塩辛など)や下等小動物(ナマコ、クラゲ、ウニなど)で十分に補いがつくからだ。

そういう意味からも、いかはありがたい食べものだ。

全体が均質的になっているので、部分食も、実質的には全体食になるからだ。

いちばん理想的なのは、やはり正真正銘、全体食のできるホタルイカである。

主として富山県でとれる10cm未満の、見るからにかわいらしいいかだ。

これをサッとゆでて、ワサビしょう油で食べると、ワタの芳醇な味わいが口中に広がる。またからしみそで食べるのもオツである。

特にいかに目を細めるのは左党だ。アルコールをとるときにいかを肴やつまみにするのは、実に合理的なのである。

軟体動物であるいかはタウリンがたっぷり含まれている。このタウリンには優れた強肝作用がある。

そして、酒は本質的に体質を陰性化させるものなので、陽性化作用をもつ動物性食品と組み合わせてとるのは望ましいわけだ。

ようかんや大福もちでもつまみになる、などと変にイキがっている人は、脳軟化症や糖尿病の危険大となる。

いかは60℃以上の高温で煮ると、タンパク質ミオシンがゴム状になり、固くなる。

それ以下で温めるような感じで煮ると、いか自身がもっている蛋白質分解酵素が十分に活動するので、驚くほど柔らかく煮える。

背の部分に黒褐色の斑点が密集している艶やかなものが新鮮だ。

その部分を指先で軽く押してみて、この斑点が小さくなったり、大きくなったりするのは、まだ組織の弾力性が健在なわけでイキのいい証拠である。

これをいかのチョウーチンと呼んでいる。

鮮度が落ちてくると次第に身の透明感がなくなり、白くなってくる。皮全体がピンクがかったものは、もはや食べられない。

スルメは、剣先いか、するめいかなどを開き、内臓を取り出して乾かしたもので、生干しからカチカチになるまで約半月くらいかかる。

「肴は焙ったいかでいい」と歌われているのは、むろんスルメのことで、焙る—つまり「軽く」焼くことが、ここでも大事である。

入梅期から夏に出回るものを一番スルメともいう。肉が薄くて柔らかい。

五島列島で作るスルメが、一番スルメの一級品といわれている。

■いかとわかめの炒めもの

材料(4人分)

・いか・・・2杯
・自然塩、自然酒、くず粉・・・各少々
・ごま油・・・1/2カップ
・生わかめ・・・80g
・ながねぎ・・・1本
・にんにく・・・1片
・合わせ調味料(しょう油、自然酒、米酢各大さじ2、だし汁大さじ3、みりんこさじ1、くず粉大さじ1)

<作り方>

①いかの胴は1.5cmぐらいの輪切り、足は3cmに切って、塩、酒、くず粉をまぶして低温のごま油にサッと通します。

②生わかめは水洗いして、熱湯を通して塩抜きし、ざく切りにします。長ねぎは、3cmのぶつ切りにします。

③ニンニクは薄切りにしてごま油大さじ2杯で炒め、②を加えて炒め、合わせ調味料を入れて一混ぜし、とろみがついてきたら、①のいかを加え、さっと炒め合わせてごま油を少々落とし、香りづけをして仕上げます。

■いかのガーリック・サラダ

<作り方>

①いかはサッとゆでて細切りにします。

②白みそに米酢、にんにくのすりおろし、サフラワー油を加えてソースをつくります。

③レタスは大きくちぎって冷水につけ、パリッとさせてから水気を取り、器に敷き、いかをソースで和えて盛り、刻みパセリをふりかけます。

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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士

お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者

東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。

新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。

独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。

著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。

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