【風力発電を問う】「銀山風車建設に伴う、森林破壊について」風の祈り 第四章

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札幌の自然食品店「まほろば」主人 宮下周平 連載コラム

一、懐かしいふるさとの唄「風車2022」

雨竜町出身の高石ともやさんと聞けば、1960年代一世を風靡した「受験生ブルース」を思い出すのは、団塊の世代だろうか。

その妹さんの村沢敏子さんも、お兄さんの影響からか、56歳の時ご主人を亡くされた、その年からフォークを始めたというから、遅まきながら血が騒がれたのだろう。

なんとその村沢さんが、この会の瀬川代表の奥様のお母さんだったのだ。

そして、今、銀山にひっそりと余生を送られていた。

ところが、今年に入って突然の風車騒動に心痛められ、期せずして湧き出て来た歌が、この『風車2022』、銀山を愛する唄なのだ。

「仁木の銀山 ゆたかなみどり 田畑を守り ともに生きる……」と始まり、「大きな風車は ここにはいらない」とリフレインで結ぶ飾らない詩情豊かなメロディは、聞く人をして、幼き日々を回想させてくれる。

そう、それは、まさに孫や子に託す未来への讃歌なのだ。

我々にできる唯一の子孫への遺産は、この手付かずの無垢な自然しかない、故郷の原風景しかないのだ。

この静かな生活、慎ましやかな暮らしにこそ、本当の幸せがあるのだ、とメッセージしている。

二、第一回風車反対署名 1680筆

そんなほのぼのとした始まりは、この会の心根を語るに充分だった。

本当は何も要らない。本当は、こんな運動なんかしたくない。

そんな暇(いとま)があれば、土を耕し、種を撒き、作物を育てたいのだ。

ただこの自然があればいい。山は山のままあればいい。

川は川のまま流れればいい。それが、我々の精一杯の雄叫(おたけ)びなのだ。

去る10月22日、第4回「STOP!風車」学習会in仁木が開催された。

一か月前の9月に始まった署名活動。当日発表された風車反対署名は、何と総数1680筆に上った。(内訳、古平・仁木・余市・共和町:354筆、札幌:818筆、道内:451筆、道外:55筆、米国:2筆)

この稲刈りや葡萄やりんごの採り入れ時にも拘(かか)わらず、よくぞ皆さま回って集めて下さいました。

また、風車問題は、地方のみならず、札幌都市部にも多大なる悪影響を市民が恐れて居ることを、この署名結果が物語っています。(10月31日現在、1775筆)

これからはネット署名も始めます。全国からの署名を募集します。

既に、電磁気・超低周波研究の専門家や財団など、各地で立ち上がって協力活動が始まっています。(ネット署名:チェンジオルグ https://chng.it/GjpLNy5swt

12月の仁木町定例議会の審議にかけるべく、あと少しの追い込みです。

この結実が、きっかけとなって国内各地に飛び火して、次々と計画が白紙撤回となりますように祈ります。全国の皆さま、頑張りましょう。

三、要望書の回答結果

当会から出された10月21日までの回答、「関西電力」への住民説明会、及び「北海道環境審議委員会」への計画中止を求める、二件の要望書の内(『今日までの足跡』16p、17p )、関電からは、

「近日中に対話集会を設けさせて頂きたい」との回答がありました。

しかし、瀬川代表が会の冒頭で述べたように、全国の説明会でほぼ同じ回答であるとの指摘があった。

「可能な限り、検討します」

「必要に応じて適切な処理を実施します」

「徹底する予定です」

「‥‥‥?」あとは無言。

これは、自治会、各会での返答も同じ。

逃げ切る一方のマニュアル化した常套語(じょうとうご)は、仁木では禁句です。最後まで、誠実に真摯に答えて頂きたい。

一方、審議会からは、「無回答」。未だにその理由も知らされていません。

町民の3頁(ページ)に亘る切実な要望書に対して、審議会としての社会的責任や誠実さが微塵も感じられませんでした。

四、驚くべき検証!!

今大会で、会場のみなさんが一瞬にして凍て付いた発表がありました。

それは、一級土木施工管理技士の鈴木さんの次の講演でした。

「銀山風車建設に伴う、森林破壊について」 (鈴木氏講演より)

風車を建設するときに、山に何が起きるかを検証してみました。

あくまでも私の検証結果ですので、実際の工事とは違う点も多々あると思いますが、参考までにして下さい。

①掘削量は、計画数値の17倍!!

風車のうち一基が銀山駅の上に建設予定と聞きましたので、その位置を〈図‐1〉に現わしてみました。

銀山駅から稲穂嶺の稜線にかけて、民家から1100mの位置に風車が建設されると想定した時の断面図を〈図‐2〉に現わします。

〈図‐2〉で現わした、赤で囲われている部分が、風車を建設する時に森林を掘削する範囲で、その中にある水色の部分が、風車の基礎コンクリートになります。

②トラック台数、27万台/1基!?

仁木町はぜい弱な地盤となっていることから、掘削勾配は1:1.5に設定しています。

掘削断面積は、5,948㎡で、基礎コンクリート部は縦50m×横40m=200㎡です。

風車を建設するために掘削する土量は1,338,300㎥で、10tダンプトラックで運搬する台数は、267,660台となります。〈表‐1〉に現わす。

また、基礎コンクリートの量は、80,000㎥で基礎コンクリート打設後に埋め戻される。

土砂の量は、1,258,330㎥で、10tダンプトラック251,666台分となります。

③ 1基につき5haも伐採!

風車建設の為の掘削に際し、直高5m以上を掘削する場合は、5m毎に1.5m以上の小段を設置することになっています。〈図‐3‐1〉で現わす。

その為、森林を掘削する大きさは、台形の計算式により、(134+316)×224÷2=50,400㎡となります。〈図‐2の赤い図〉で現わす。

なんと5.0ha分のもの森林を伐採し掘削するのです。

④ 重金属露出の可能性

また森林を掘削することから、土中に含まれる重金属(ヒ素・鉛)が露出する可能性が出てきます。

自然界には重金属は存在していますが、森林を掘削すると土砂から管理規定値を超える重金属が露出し、露出した土砂は要対策土として厳重に管理しなければなりません。

掘削した土砂をどこまで土質試験するか解りませんが、要対策が必要な土砂がでてくる可能性は拭いきれません。

出てきた場合はどうするのでしょうか?

⑤ 運搬路の拡大

そして考えなければならないのが、掘削した土砂を運搬するための運搬路です。(図‐4)

銀山駅から風車建設位置までの高低差は330mあり(図‐2参照)33%もの勾配があるのです。

稲穂峠の最大勾配でさえ6%なのですから、土砂を運搬するための運搬路を造成する為に計り知れない森林が、風車建設箇所とは全く関係の無いところで破壊される可能性があるのです。

また、風車のブレード等の部品の運搬路も必要となり、さらに森林が破壊されるかもしれません。どれくらい規模の森林が破壊されるかは、想像もつきません。〈図‐4〉

⑥ 基礎コンは、産業廃棄物

基礎コンクリートの問題も考えなければなりません。

風車の法廷対応年数は、17年となっているので、15から20年後には、基礎コンクリートも壊さなければなりません。

その場合、掘削した時と同じように土砂を掘削しながら、基礎コンクリートを壊すという作業が繰り返され、最終的には土砂をすべて戻す事になります。〈図‐5〉に現わす。

また取り壊した基礎コンクリートは、産業廃棄物として取り扱わなければなりません。

ゴミが大量に出るわけです。

⑦ 水脈を壊す

基礎コンクリートは、水の豊かな銀山の水脈を壊す可能性があります。

掘削し、基礎コンクリートを打設することで湧き水や地下水を遮断する場合があるかと考えられます。

その場合、銀山各所でどのような影響が出るかは誰も解りません。

今まで使っていた湧き水や地下水が枯れる可能性もあるし、今までなかったところから水が湧いてきて、畑を汚したり、盛り土の土石流が発生する可能性があると思います。

⑧ 再生可能エネルギーの嘘

世間では、風力発電が環境に良いとか、再生可能エネルギーがよいされていますが、銀山の場合、風車一基建設するのに5haの森林を破壊し、100万㎥以上もの土砂を何回も運搬し、風車建設の為に打設した、基礎コンクリートをゴミとして処分し、水脈も破壊する可能性がある。

その周辺の森林も運搬路として破壊し、ハゲ山にする。

それが本当に環境にいいものなのでしょうか?

もう一度しっかりと考えていかなければなりません。

(終わり)

三、銀山が消える

この発表を聞いて、会場のみなさんは、ど肝を抜かれたような衝撃を受けました。

「なんということ!!!」

工事の裏に隠された驚くべき実態が、白日の下にさらされた思いです。

「こういうことが、あっていいのか!!!」

と、信じられない工事内容に一同、正直そう感じました。

1基に5haもの森林が消えるとなれば、今回の計画は5ha×64基=320haの森林が、この三町から消える。ほぼ銀山地区が壊滅するのです。

たった64基ではないのです。

仁木町耕作面積1,530haの内320ha、約1/5の町の財産が消えてしまう。

仁木町の全道一位の生食用ぶどう栽培。

道の49.9%を占めるその面積分の丁度320haが忽然として消えるのです。

これがエコでしょうか。これがCO2削減でしょうか。再エネって何だったのですか。

四、さらに、衝撃的情報

「4,200~6,100kW 最大64基」と配慮書で公表されました。

しかし、この4,200kW規模の風車が、いずれ10年内に在庫切れ製造中止で、全て6,100kW規模に移行するというのです。

これはもっと巨大な200m級・洋上風力並の大風車で、人里には建てるべき代物ではないのです。

4,200kWから6,100kWに移行し、総量27万kWから39万kWを目指し、土の掘削量や山林の造成面積が、先の鈴木さんの発表より拡大するということです。

正に、想像を絶します。関電は、住民無視の姿勢で推し進めようとしています。

しかも、銀山に4基、あとはほぼ余市・古平山中に60基と思われたものが、何と銀山に6基、仁木に20基建てるという報告です。

大江、然別、余市に亘る広範囲に、建てられるのです。

仁木本町の住民の方々は、もはや他人ごとではないのです。

銀山での生活者は、相当数の健康被害が予測されます。

稲穂峰の尾根はすべて、運搬道路となって、土砂災害のリスクが高くなるでしょう。

景観破壊は想像以上にすさまじく、今の銀山は銀山でなくなります。山は、禿(はげ)山と化す。この2、3年でも山災害が、既に起こっています。

この温暖化で、無秩序な乱開発は、必ずや、集中豪雨・線状降水帯を多発させ、がけ崩れ、地滑り、土石流の大災害を誘発するでしょう。(「風の祈り第3章」参考)

それに伴い、行き場を失った野生動物の熊や鹿が大量に里に下りて来るでしょう。

その時では、遅いのです。今、それを防がねばならないのです。

五、山林は、脱炭素の永久機関

新しく算出された森林炭素蓄積量・炭素吸収速度は、全国の炭素換算で30.16憶トン・4850万トン毎年となり、これまで発表され正しいと信じられていた値の、それぞれ1.72倍・2.44倍となったといいます。

これまでの推定値(p‐NFI)は実際値(m‐NFI)に対して、森林炭素蓄積量については58~64%、炭素吸収速度に至っては41~48%に過ぎないという強烈な過小評価が生じていたことが分かったのです。

これだけのCO2を吸収する木々を伐って、何の脱炭素か。どこに自然があるのか。誰の目にも明らかです。

植林を続け、森林を管理し続ければ、即ち永久のCO2削減装置は世界を救うのです。

それを崩壊して、20年にも満たないで産業廃棄物しか出さず、あとは放置され、廃墟と化す風車の末路。

それと交換するとは、あまりにも愚策過ぎる、馬鹿げている。

もはや、何処にもこの残骸の持って行き場がなく、立ち入り禁止地区とされる。

巨塔自身が墓場、永久墓石となるのだ。

六、薄皮一枚の風車電力

次の図を見てください。

この電力構成の全体電気量の1%そこそこの薄皮のような、皮膜のような再エネのために、これだけの広大の森林を犠牲にするという発想が理解しがたい。

これは狂気です。これは暴挙以外の何ものでもないのです。

これは事業主の利権、補助金目当て以外に理由はないのです。

外資から企業から、国土が、資源が、あなたの財産が、賦課金という隠れ蓑(みの)で、一生毟(むし)り取られていくのです。

しかし、これは仁木や日本のことだけではない。

イギリスでも再エネという名のもので、貴重な原生林が酷(ひど)く伐採され、風車が建てられ自然が破壊されている。

こんな欺瞞が許されるのが世界の脱炭素計画なのです。

今回計画の4町全域が、国有林(保安林)内や、国土の20%しかない自然度9、10の自然林(植生)内、水源かん養保安林、特別・鳥獣保護地区内で進められている。

まずは、保有林解除の申請許可を仁木町長が出さないでほしい。

もし、迂闊にも提出したら、取り返しのつかない事態に陥る。

何としてでも、それだけは思い止まって欲しい。これは全町民の願いでもある。

七、「要る時に無く、要らない時に有る」風車の愚かさ

「無風の時は、無用の長物。
 台風の時は、壊れるからストップ=休業。
 夜中、いくら大風が吹いても、電気は不要。
 昼間、要る時に、休むなよ!
 あなたの出番でしょ!
 何で、さぼるの?
 高い給料、払ってるのよ。」

ザッとこんな感じが、風車の実態です。

さらに厄介な代物だった風車。気ままな風力や太陽光では一定の電力が保てないのだ。

「同時同量」(発電量=使用料)という原則をキープしなければ大停電(ブラックアウト)を起こす危険性。

それは、厳密に3%の誤差までしか許されない。

それで、昼夜時間帯に応じて、数分単位で発電量の上げ下げのコントロールをする。

勿体なくても、火力発電が蒸気を捨てながら待機しているのだ。

その微妙調整のために、燃料節約が出来ない。

風車は、このバックアップの為、何のエネルギー削減にもなっていない、むしろ増量している。

さらにこの燃費の悪さに、排気ガスが激増している始末だ。

一体、誰がこの為体(ていたらく)の風車に納得できるのか、賛成できるのか。

発電は、安定供給が第一条件。

四日市では、僅か0.04秒の電圧低下で、30もの工場に影響、何と100億円の損害が出たという。

風力発電は頼りにならない。

中部電力からは「これから、送電するな!」とST風発事業者に厳命が下ったという。

これが現場なのだ。これが実態なのだ。そのために、どれだけの無駄なエネルギーを割いていることか。

ICPP(気候変動に関する政府間パネル〈本部スイス〉)では、「森林面積減少が温暖化の最大の原因である」と公表している。

結論は、風車は、何の「地球温暖化防止にはならない」逆に、「CO2を増やす」と断言できる。

八、出力量の嘘、うそ、ウソ

我が町の「(仮称)古平・仁木・余市ウインドファーム事業」において「4,200~6,100kW 最大64基」と銘打っているが、もともとこれはあり得ない電気総量だ。

原発、火・水力発電の「定格出力」と風力のそれとは違い、風速12~25m/秒の強風時の出力を指すという。

しかも、これは発電機の最大出力なのだ。

これが傘もさせぬ強風で、気象専門家は「そんな風、めったに吹かない」と。

確かに、一年で強い風の日の記憶はそんなにない。

そのめったに吹かない風を基準にして、定格出力とやらを出す。

365日毎日吹くとして、それを算出する数合わせの数字。

こんなことが罷(まか)り通る業界が、信じられない。

風車の提示発電量の10~20%にも満たないというが、もっともっとそれを下回るだろう。

最初から欺瞞の粉飾だったことに、憤るというより、呆(あき)れる。

そして、こんな稚拙な数字のトリックが、大手を振るうことさえオカシイ。

ちなみに、風車で原発1基分(100万kW)を代替えするとしたら、4,300kWで風車が232基必要。

それは、札幌から釧路まで一直線に並ぶ、絵に描いた餅、虚構以外の何ものでもないだろう。

永久にあり得ない「再生エネ100%」使用の実態は、風力・太陽光の挙がりで売電し、火力発電で安定供給するという表向きと内幕の顔なのだ。

この数合わせを「グリーンウオッシュ(相殺)」という。

750kWタイプでさえ撤去費用が約1~3億円がかかるから、単純計算約8倍?

撤去費用だけで、自治体は引き下がり、事業者には撤去義務が無いという。

ましてや、転売また転売で、最後責任は誰も取らない、取れない。

最初の事業主は、逃げてそこには居ない。

この投資ファンド目的のSPC(特別目的会社)の責任逃れを、初めから念頭に入れての偽装計画なのだ。

ひと言、風車には未来がない。

九、電気量は不足していない

「原発はダメ、風車もダメ。それなら、なんで電力を補うんだい?」

と問い詰められて、しばし答えに窮することがあるのでは。

そんな時は、こう答えてください。

「日本は、電気量は不足していません。むしろ余しているんです」と。

現在、原発のほとんどが停止状態で、既に火力発電所の1/3は休んでいる現状を知っているだろうか。

「総括原価方式」により、建設費が電気料金に上乗せできるため、火電建設ラッシュで、過剰に余ってしまったのだ。今もって、全く電気は足り過ぎている。

更に2020年3月「発送電分離」によって、駆け込み建設が拍車をかけた。

今、この余りまくっている火電力に追い打ちをかけるように再エネ利権で、太陽光だ、風力だと騒ぎ立てて、過剰電力をどうしようとするのだ。

EV自動車も中国では廃棄の山、5G でも消費しきれない。4Gの倍も電力消費するというのだろうか。

さらに、電力需要は年々減少の一途を辿っていることを、知ろうか。

●省エネ家電製品の氾濫 

●超過死亡に増幅された急激な人口減少 

●多国籍に奪われた工場群の閉鎖による急速な使用率悪化

などなど、需要が見込める要素は何一つないのだ。

さらにまた、人口85%削減目標の「NWO」New World Order「新世界秩序」計画に、どうしてこれほどの電力量を必要とするのだ。

むしろ、減らして行くのがマネージメントであろう。

電磁波が錯綜しまくっているスマートシティに住む住人が、まともな健康生活を送れるはずがない。

人生破綻させるスマート計画が崩壊するのは、火を見るより明らかだ。

日本総研では2050年までの30年間で、23.4%減少と予測している。

この見積もりも甘く、さらに半減するだろうとも言われている。

それはそうであろう。嘲笑気味に言えば、人口削減の世界戦略で、B・ゲイツは人類5億人宣言したのだから。

十、元をたどればDS(Deep State「闇の政府」)

大局的に見て、再エネ事業は、世界金融組織の集金システムの一環に過ぎない。

正に、国も、企業も、国民も、それに踊らされているに過ぎない。

「自然エネルギー、環境にやさしく‥……、SDGs、脱炭素社会‥‥」、これぞ「ポリコレ」洗脳戦略という美辞麗句のプロパガンダに過ぎない。

こんな虚言戯言(ざれごと)に、先祖代々守り続けた郷土を、国土を奪われてなるものか、という気概の志士が現れぬものかと思うのだ。

目の前にぶら下げた「地域振興、貢献、協力」するとの事業者の札(ふだ)に眩(くら)み、あとは鞭(むち)しかないのだ。

お人好しの地元人には、後始末の裁きだけが待っている。

何のメリットも一つの良いこともなし。

まさに海千山千の叩き上げた商人(あきんど)の手練(てれん)手管(てくだ)に騙されぬように。

元より公共事業でなく民間企業。事業者は田舎地方には何の責任義務はないのだ。

造ったら、それでお仕舞。

喰い逃げ、飲み散らかしても、国からも、道からも、町からも何のお咎めがないという構図なのだ、この風車という化(ば)け物は。

十一、絵本「キニたちの未来」

中山奈月さんは、ITエンジニアのご主人と共に、東京からこの仁木に移住して来た人です。

今、農園で農業研修中、入植直前に、この風車騒動に出くわしてしまったのだ。

それが、きっかけでこの本は完成された。彼女の前書きを聞こう。

「この絵本は、北海道余市郡仁木町で今起きている 巨大風力発電計画問題をきっかけに 、仁木の有志住民が自主製作したものです。

物語の内容は、幼少から仁木と共に生きてきた住民の 実話に基づいています。

追伸: 『キニたちの未来(みらい)』登場人物「キニ」は 仁木(ニキ)、「ギン」は銀山、「オー」は大江、「チヨ」は余市、「ヘイタ」は古平と、この風車計画にまつわる地域をひそかに込めました。
 ・・・・・・・・・(中略)

現在、仁木住民有志メンバーで反対署名活動を行っておりますが、認知されるにつれ、増えて来ています。

環境アセスメントが進んでしまう前に、一刻でも早く沢山の地元反対署名を集めたく計画の認知・拡散へのご協力をお願いいたします。

「再生可能エネルギー」「風車はエコ」という耳触りのよい言葉やイメージだけが一人歩きし、風力発電の実態について知らない方があまりに多いのです。

私も、身近で起きるまでは知りませんでした。

この絵本によって少しでも伝わり、感じてほしいと思っています。

現在風車計画問題で苦しんでいる、日本全国の方たちのお役に立てればと思います。

印刷版の冊子もあります。思いを共に繋がり、明るい未来を作っていきましょう。」
 
並々ならぬ画力と構成と文章は、絵本として子供たちに読み聞かせたい逸本である。

これに羽根が生え、全国に飛翔して、各地で降り立ち、風車廃止のそよ風となる奇跡を祈りたい。

キニたちの未来 ~巨大風車と未来を考えるものがたり~YouTube(youtubeで、見られます。

また、絵本は、「仁木町の風力発電を考える会」事務局並びに、まほろば両店にあります)

十二、我満嘉明氏のメッセージ

最後に、各地風車地での数珠繋ぎ発言リレーがあり、札幌の我満嘉明さんが〆られた。

市内の奥座敷・盤渓を、三代にわたって開拓された先駆者で、殊に山林に詳しく、札幌森林組合長を歴任し、「旭日単光章」を叙勲、多大なる社会貢献を重ねて来られた。

次世代への「木育」が、ライフワークである。

「……森の土が1センチできるのに100年かかると言われています。

100年かけてこの葉が落ちて1センチの土がかかるわけですね。

そしてそこに笹が生えて、あるいは木の森の尾根なんかは風に吹きされて、そこでツツジやイチイ・イタヤカエデだとかの植物が育つにはもともとは何百年もかかる。

それを一旦壊しちゃうと、もう戻るには大変な時間がかかります。

ましてや、先ほど鈴木さんがおっしゃったような(風車を建てるのに)土が出ていったら、その上に土ができて森に戻るなんてことは、もう永遠にあり得ないというぐらい怖い話です。

それから水の話もでましたけど、湧き水というのは、私の想像に近い話なんですが、水道(みずみち)があって管のように水が流れる道が土の中にできていて、それが出てきて、その水を一旦止めちゃうとそこで流れが止まってしまう。

ですから、これも永遠に復帰できないということになると思います。

それで、皆さんの話を聞いて私なりに情報を集めて、道庁の森林関係のこの道に携わっている担当の課長職も親しいものですから話をしたら、「我満さんそれは難しいよ。国がその気になって再エネということでやっているから」。

いろんなことも今の環境アセスで戦えるところがあるじゃないかと思っていたんですが、実はこれも、難しいということがだんだんわかってきました。

今の環境アセスや審議会の先生方も、知事が任命するわけで、知事は、知事の政策に沿った方向を理解してくれる人を選んでいるはずで、「これは難しい」と。

私もこの勉強会に参加する度に、初めは思ってなかったんですが、今は「非常に厳しい」と感じています。

行政の担当者も、国からのお金が欲しい訳だから、議員さんなんかもみんな斜(はす)に構えて、みんなどっちに向かっていくのかな、と様子(ようす)見(み)しているんじゃないかと思うんですね。

それで皆さんの話を総合していくと、もう地元の組長、町長や村長に「俺の街には風車はいらない。国の補助金をもらわなくても、ちゃんと生きられ市町村を作ろう」ということを言ってもらう。

請願書の署名をたくさん集めて、自治体にその反対を突きつけて、動いてもらうしかないですね。

幸か不幸か日本はまだ民主主義です、多数決ですから、議員さんとか町長を選ぶのは、地元の住民ですから、その力を結集していく以外ないのかなと思っています。以上です」

法的には、「工事道路建設中止」「風力発電所建設中止」「保安林解除中止命令」「送電線塔建設中止」の4事項の差し止め仮処分請求を札幌地方裁判所に提出する準備をしています。

十三、勇敢な先人に続け!

最後は、町民の声、力、熱です。

宮城県丸森町、山形県蔵王市の風車計画を見事白紙撤回に覆した事例があります。

町長・市長、村井知事・吉井知事の毅然とした態度に、国民は心打たれました。

いみじくも青森県三村知事は、「再エネなら何をやってもよいのか!」と訴えられた。

当地の積丹松井町長は、積丹町が加わるはずだった今回の風車誘致計画に対し決然として、初めから拒絶反対したとの報告を、積丹在住の小澤伸子さんが発表されました。

「窮乏に瀕した街であっても誇りを失わず、町民の健康を損ね、自然の景観を壊し、漁場を荒らす風車の不純な何一つも、この街に持ち込ませない」

という立派な町長、町会議員の高い見識と強固な意志、その矜持(きょうじ)に、会場の一同、感動しました。
 
目覚めましょう。
仁木のみなさん。
余市、古平、共和のみなさん。
町民の意識を高めましょう。
町政刷新を訴えましょう。
 
賢明な町長や町議員の方々の勇気ある決断と行動、そして全町民の夢を束ねて、皆で首長を後押しして行きましょう。

誇り高き後志(しりべし)の美しい山々を、田畑を、可愛い子孫に遺すか、遺せないかの決断は、今しかないのです。

今こそ、立ち上がりましょう。

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宮下周平

1950年、北海道恵庭市生まれ。札幌南高校卒業後、各地に師を訪ね、求道遍歴を続ける。1983年、札幌に自然食品の店「まほろば」を創業。

自然食品店「まほろば」WEBサイト:http://www.mahoroba-jp.net/

無農薬野菜を栽培する自然農園を持ち、セラミック工房を設け、オーガニックカフェとパンエ房も併設。

世界の権威を驚愕させた浄水器「エリクサー」を開発し、その水から世界初の微生物由来の新凝乳酵素を発見。

産学官共同研究により国際特許を取得する。0-1テストを使って多方面にわたる独自の商品開発を続ける。

現在、余市郡仁木町に居を移し、営農に励む毎日。

著書に『倭詩』『續 倭詩』がある。