「懐かしき未来(さと)」元年

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札幌の自然食品店「まほろば」主人 宮下周平 連載コラム

「懐かしき未来(さと)」元年

代表取締役 会長  
宮下 周平

輝ける明るき年が開けました。
みなさま、おめでとうございます。

令和4年、正月。

この令和と言えば、彼の国文学者・中西進博士が、万葉集から考案されたのでしたね。

当時、中西先生が、こんなお話をされていました。

ある日、都内の小学生たちを連れて、田舎へ田植えツアーに行かれたそうです。

子どもたちにとって、初めての田舎、初めての田圃、初めての農作業。

見るもの聞くもの、何もかも初めて尽くしでした。

恐る恐る入った水田に、足を入れ、苗を泥に挿(さ)す。

夢中で過ごした作業のあと、その一日の印象を聞くと、みな同じように、同じ言葉で、

「懐かしかった…?」

と、声を上げて叫んだという。

経験の無い子どもたちから、何故「懐かしい」と言う言葉が咄嗟(とっさ)に口を継(つ)いで出たのでしょうか。

それも、過去経験したことを思い出すかのように……。

中西先生は、この光景を見て「これは、民族的記憶である」と、おっしゃられました。

懐かしいの語源、「なつく」とは、なれとつくの複合語で、さらに慣れると親しむの意味合いを兼ねていたのです。

つまり、田植えが「懐かしい」とは、すでに慣れ親しんだ仕事、という事なのですね。

この田園の記憶は、「農本主義」だった日本民族としての全体記憶、集合体験の再現だった訳です。

それは、個々における個人の出会いでも言えることです。

親子でも、仲間でも、夫婦でも、どうして睦(むつ)び合って、こうして一緒にいるのか。

一目惚れや恋愛感情、さらに何かしら引き合う、寄り添い集うという仲間意識も前世記憶の感情交流、呼び戻しかもしれません。

ベストセラー『ラダック 懐かしい未来』を書かれた言語人類学者ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ女史は、ヒマラヤ辺境の地ラダック村を探査し、この異郷の地において、この懐かしい記憶が蘇ったのです。

原題『ANCIENT FUTURES』。

正に、古くして新しい記憶の再現。それは、人類の脳裏の奥に潜む共同体験でした。

辺鄙(へんぴ)な村里にも、押し寄せる近代化と開発の波に、警告を発したこの書は、世界40カ国で翻訳され、心ある人々を呼び覚ましたのです。

それが世界的な環境保全運動や自己覚醒ウエーブの引き金ともなりました。

最新拙著、『續々 倭詩』の『0(ゼロ)になるからだ』の中で、

「量子力学も、場の量子論も、さらに最新の脳科学や宇宙科学、歴史・宗教・文化などのあらゆる科目分類が、この虚数を基盤にして発展していった。

オイラーの数式。Eπ1+1=0

虚数なる万物(Eπ1)が、一人と出会うこと(+1)で、一切が無、0に帰す(=0)。そして、その0は、無限でもあった。

0に帰る心を「情緒」といい、そこの宇宙が「懐かしい」。

そして、それは、説明しようのない悠久な抒情、優しさと美しさで充ち満ちていた。」

この世のあらゆるものが、虚数と実数の絡(から)み合い、融合で成り立っています。

目に見える実数は、眼に見えない虚数を追い求めて、互いに引き合うのです。

この無限の虚数世界こそ、我々が帰るべき「懐かしき未来」であり、「地上の浄土」に他なりません。

そして、その虚実世界を繋ぐ道こそ、まほろばの歴史であり、その術(メゾッド)こそ0-1(ゼロワン)テストだったのです。

常に虚数と実数の間を往(ゆ)き来(き)しながら、天意を読み解き、天心を形に顕(あらわ)して来ました。

私が、若い頃より、一途(いちず)に探し求めていたもの、それは「懐かしさ」でした。

数学者・岡潔先生から、「何よりも大切なことは情緒であり、とりわけ昔を懐かしむ心こそ、人生そのものであり、目的である」と諭(さと)されたことが、物事を判断する眼(まなこ)となり、物差(ものさし)となったのです。

今、志を同じくする老いも若きも一緒になって、それを世に降(お)ろそうとしています。

それが、「懐かしき未来(さと)」作りプロジェクト。

既に、あなたの心の中、まほろばの中で、始まっています。

開拓の槌音(つちおと)は、高らかに響き始めました。

苦楽を共に、自立と共生、これからの幾多の難関を楽しみながら立ち向かいましょう。

遥かな未来を、今、
この地、この時、この場に開く
その観えざる彼方(かなた)を、
見える此方(こなた)に連れ戻す
青い鳥も、幸せの彼方も、
観えざるこの「懐かしき未来」の中

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宮下周平

1950年、北海道恵庭市生まれ。札幌南高校卒業後、各地に師を訪ね、求道遍歴を続ける。1983年、札幌に自然食品の店「まほろば」を創業。

自然食品店「まほろば」WEBサイト:http://www.mahoroba-jp.net/

無農薬野菜を栽培する自然農園を持ち、セラミック工房を設け、オーガニックカフェとパンエ房も併設。

世界の権威を驚愕させた浄水器「エリクサー」を開発し、その水から世界初の微生物由来の新凝乳酵素を発見。

産学官共同研究により国際特許を取得する。0-1テストを使って多方面にわたる独自の商品開発を続ける。

現在、余市郡仁木町に居を移し、営農に励む毎日。

著書に『倭詩』『續 倭詩』がある。