森下敬一 『食べもの健康法』●よもぎ
よもぎは、モチグサといわれるように、モチに入れて草モチをつくることは誰もが知っている。
いかにも春らしい色と香りを楽しむことのほか、来るべき飛躍の季節に備えて浄血をはかろうという、われわれの先輩たちの生活の知恵なのである。
寒い季節には、体の代謝活動は鈍るから、老廃物も停滞しがちで、それだけ血液も汚れている。
よもぎはそういった悪い状況を解消してくれる。実際、よもぎの浄血作用はめざましい。
まず、血液pHを健康な弱アルカリ性にする作用がある。加えて葉緑素がたっぷり含まれている。
葉緑素は胃腸や肝臓の機能を高めることによって、造血作用、解毒作用を大いに高める。
その上葉緑素は直接、血液中の毒素と結びついてそれの中和解毒をはかる。だからよもぎは慢性病全般に有効で、特に胃腸病、高血圧に卓効をあらわす。
3月3日の節句の菱モチに、もともとは、緑の色づけにはよもぎが用いられた。これで健胃・整腸をはかる。
そして黄色には解毒作用のあるクチナシが、赤には血の巡りをよくする紅花が用いられて、女の子を健康に賢く美しく育てるための配慮がなされていたのである。
それに比べると現代は、発ガン性すらある人工着色料を用いているのだから、なんという変わりようであろう。
よもぎが主に草もちや草団子にされるのは、実に合理的な利用法だ。よもぎには澱粉質の代謝をスムーズにするビタミンB1、B2がたくさん含まれているからだ。
ビタミンB群を十分に補給することは、肥満を防止する秘訣である。
日本人に不足しがちなカルシウムも多い。そのため気分のいらだちを鎮めるとともに、組織に炎症を起こしにくくして、病気にかかりにくい体を作る。
またビタミンA、Cも豊富で、肌を美しくする作用も著しい。よもぎはまた、不思議に体を温める。
体の冷えやすい人、寒さに弱い人、神経質の人はよもぎ入りの玄米もちや玄米だんごをたびたび食べるとよい。
それと併せてよもぎ風呂に入り、よもぎ茶を愛用すれば、いっそう望ましい。
よもぎ風呂は、あらかじめ乾燥したよもぎ三つかみ程を適量の水で30分ほど煎じておいて、その煎じ汁を風呂に入れ、普通に入浴すればよい。
このよもぎ風呂は、腰痛や痔にも効果的である。よもぎ茶は、乾燥したよもぎ1日分20gを、3カップの水で、約30分煎じたものを、3回ぐらいに分けて飲む。
このよもぎ茶は便通をよくする作用もあるので、血行作用も著しい。そのため、よもぎ茶は高血圧、肝臓病、腎臓病、ぜんそくなどにも効く。
どくだみ、はぶそうを少し加えればいっそう効果的である。
■草もち
①よもぎは、早春のごく若いころの、ビロード状に新芽を出したばかりのものが最適です。爪で丁寧に摘みとりましょう。
ごみを除いてきれいに洗い、自然塩一つまみ入れた熱湯でゆで、水にさらします。
②細かくきざんで、さらにすり鉢でよくする、汁気を軽くしぼって皿にとります。
③玄餅粉を水で練ってからセイロまたは、蒸器で25~30分ふかします。
④ ③に②をよく、つきこんで適当な大きさに丸め、あずき餡や、きな粉をつけてください。
■よもぎの天ぷら
成長した葉でも大丈夫。
天ぷらは、野草料理で一番手軽で、美味しい料理法です。薄めにといた衣にサッとくぐらせ、やや低めの温度でカリッとなるまで上げます。
■よもぎのつくだ煮
ゆでて水にさらし、細かく切ってサッとごま油で炒め、しょう油で汁気がなくなるまで煮ます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。