体質・体調の陰陽【膠原病と関節リウマチ】

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磯貝昌寛の正食医学【第64回】膠原病と関節リウマチ

自己免疫疾患とは何か

免疫とは、自分にとって合うもの・合わないものを判断する身体の基本的な働きです。

自己免疫疾患は細胞レベルの判断で自身の細胞を異物とみなして攻撃しているという、身体の中で内戦が起こっている状態です。

その戦争状態が、身体の表面に現れたのが膠原病や関節リウマチなどの自己免疫疾患です。

この状態を陰陽で見ると、陽性と陽性が反発しあっていると考えられます( 陰性と陽性であれば親和的に結びつきますが、陽性と陽性は反発し合います)。

動物は植物に対して陽性であり、植物は動物に対して陰性です。動物が主に植物を食している限りは、陰陽が親和的に結び合って健康を維持することができます。

人間も動物である限り、植物を主体とした食で健康を維持しています。自己免疫疾患は陰陽の調和が崩れ、陽性に偏った状態であるということがいえます。

なぜ女性に多いのか

自己免疫疾患の罹患は、圧倒的に女性に多いのが特徴です。食養相談をしていてもほとんどが女性で、男性はごく稀です。

男女の陰陽は、視点によって異なります。女性ホルモンの働きは陰性で、男性ホルモンの働きは陽性です。

桜沢先生は「女性は陽性になり過ぎたら不幸になり、男性が陰性になり過ぎたら不幸になる」と言っています。

女性は陰性で男性は陽性であるのが調和がとれている状態です。自己免疫疾患は陽性過多の病気ですから、本来、陰性で調和のとれている女性が陽性過多で不調和をきたしている訳です。

日本古来の食習慣では、男女の違いがはっきりしていました。

今でも田舎では冠婚葬祭のとき、男女のお膳の内容を分けている地方があります。

女性のお膳には動物性の副菜が一品少なかったり、まったくなかったりします。陰陽の視点からはまったく正しく、命の秩序に則った食習慣だといえます。

食養でも男女の食事は別のもので、実際に子育てを通して実感したことですが、男の子は陽性なたんぱく質を欲し、女の子は陰性なたんぱく質や野菜、果物を欲する傾向があります。

男女は人権としては平等であっても、体質的には別物であるという視点は重要です。

女性が動物食をすると男性のそれよりも悪影響が大きく、反対に男性のスイーツ食は女性のそれよりも悪影響が大きいのです。

症状の陰陽

関節リウマチは、関節の痛みや腫れ、ひどくなると関節の変形が起こることがあります。変形する部位によって陰陽が違い、上半身に出る症状は下半身に出る症状に比べて陰性です。

とはいえ、自己免疫疾患は総じて陽性なので、その中での陰陽となります。

全身性エリテマトーデスという膠原病は、全身に紅斑が出ます。その紅斑が赤ければ赤いほど陽性で、下半身に多ければ多いほど陽性となります。

食事と手当ての内容を考えるとき、症状の陰陽は大きな判断基準となります。

自律神経の陰陽

自己免疫疾患の方を診て感じることは「感覚が非常に過敏」ということです。五感のすべてというわけではないのですが、感覚の多くが過敏な傾向があります。

敏感とは、自律神経の交感神経が優位の状態であって、交感神経が優位になり過ぎると深い睡眠ができず、疲労が蓄積します。

少し鈍いくらいの方が身体は毒素を溜めずにきれいな状態を保てるのです。

交感神経の働きは、緊張したり興奮したり血圧を高めたりするのですが、副交感神経は身心をリラックスさせて血圧を下げます。

一見すると、交感神経が陽性で副交感神経が陰性のように見えるのですが、身体の内実は、交感神経はエネルギーを外へ外へと拡散させて心身を虚脱へと導き、

副交感神経はリラックスした落ち着いた状態のため、エネルギーを内部で充実させて心身を活性化させます。

したがって、交感神経が陰性、副交感神経が陽性となり、自律神経の陰陽は表面と内実で逆となります。

体質と体調

陰陽は複眼思考で見ることが大事です。固定的に考えず、柔軟的に思考する。

陰陽は、陰が陽になり、陽が陰になるわけですから「変化の法則」といえます。

私たちの身体も、体質と体調という2つの視点が大事です。体質は生まれ持った要素と幼少期に形成された要素があり、体調は体質を基本としつつ、現状の食事や心理的な影響下にあります。

食事と手当て、生活

肉食をすると陽性になるのですが、交感神経が優位になって、一見すると陽性に見えます。

その内実は陰性を大きく孕んだ状態で、肉食が過剰になると、猜疑心や不安感、焦燥感が強くなり、心の安定まで欠くことになります。

食生活に活用する実用的な側面からみると、実際の症状(体調)における陰陽に対応して、食事や手当てを考えなくてはなりません。

自己免疫疾患の多くは、症状(体調)的には陽性が多く、陰性食中心の食箋(食事指導箋)となります。

関節リウマチの食箋では、トマトや緑茶、カレー粉が大活躍したこともあります。

全身性エリテマトーデスの食箋では( 陰性食が中心)第一大根湯と椎茸スープをお茶代わりに、時々梅生番茶を飲み、時々陽性食を入れるというバランスで6~7年かけて完治した人もいます。

自律神経や体質、体調を陰陽で見て、食事や手当て、日々の生活に取り組んでいけば、病のほとんどは快癒されていきます。

膠原病を克服した方々を見ていると、治すための食から喜ぶための食に変わっていくことが治癒への指標となっています。

月刊マクロビオティック 2017年04月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。