森下敬一 『食べもの健康法』●黒豆
いつか雑誌に「黒豆の煎じ汁を飲んでいる」という、ある歌手の談話がのっていた。
なかなか賢い人なのだな、と見直したことを覚えている。黒豆は、美声・美肌づくりに非常に効果的な食品なのである。
黒豆というのは、ほかでもない、正月のおせち料理に加えられる真っ黒い豆である。大豆の一種なのだがほかの種類と違って、不思議な薬効を持っているのだ。
種皮の色素成分、及びその色素の代謝に関係している酵素、その他の有効成分などがカギになっているのかもしれない。
美声作りに役立つのは、どの成分なのかははっきりしない。が、黒豆は呼吸器系に卓効をあらわすことは確かだ。
昔から民間療法では、黒豆は咳の妙薬として盛んに用いられてきた。
黒豆に、それの約4倍量の水(ミネラル水なら、なお結構)を入れ、火にかけ10分くらい煎じた上ずみ液をお茶がわりに飲むのである。
黒砂糖かハチミツで甘味をつけても良い。
これは咳だけではなく、気管支炎やぜんそくにも効く。呼吸器の弱い人は、愛用してみるといいだろう。
それだけでなくこの黒豆の煎じ汁は、脚気、胃潰瘍、腎臓病にも有効。これは、黒豆のすぐれた解毒作用によるものと考えられる。
黒豆には、代謝を促進するアスパラギン酸、血液を浄化するレシチン、さらにウレアーゼをはじめとした各種の酵素が含まれていて、解毒・浄血器官である肝臓・腎臓機能の強化に卓効をあらわす。
この解毒効果は、黒豆を普通に煮て食べていても得られる。
また、薬剤によって中毒を起こした場合には、黒豆と天草(かんぞう)の煎じ汁をどんどん飲むと良い。
黒豆2対天草1の割合(容量比)で、約4倍の水を加えて半量になるまで煎じ、さましてから飲むのである。
肝臓・腎臓機能が強化されると血液がきれいになり、血管も若々しく保たれる。だから、黒豆を常食していると、シミや吹き出ものが治って肌はきれいになる。
加えて、日本人に不足しがちな、リジン、トリプトファンなどのアミノ酸が、豊富な酵素と共存するおかげで有効に活用されるから、体の冷えがとれ、スタミナも増強される。
そのため、精力減退や不感症気味の人、また母乳の出の悪い人には特に有効だ。
黒豆を早く、軟らかく煮るには圧力釜(あるいは圧力鍋)を用いればよい。味付けは白砂糖はやめたい。
白砂糖は血液を汚すから、せっかくの黒豆の薬効も半減する。
アレルギー体質の改善にも、黒豆は大いに役立つ。普通に煮食すればいいが、豆乳をつくって飲むのも良い。
黒豆を洗って、一晩水に浸しておき、指で押して二つに割れるぐらいに軟らかくなったらミキサーに水ごと入れ、すりつぶす。
布でこした汁を火にかけ、5分ぐらい加熱、適度に水を加え、自然塩、はちみつで味を調えると飲みやすくなる。
黒豆ようかん
<材料>
・黒豆・・・1/2カップ
・ミネラル水・・・3カップ
・寒天・・・1本
・米あめ、黒砂糖・・・各大さじ2
・自然塩・・・小さじ1
<作り方>
①黒豆とミネラル水1と1/5カップを圧力釜に納め、強火にかけ、沸騰したら火を弱めて25分間にて火を止め、そのまま自然放置します。
②寒天は水洗いして小さくちぎり、1カップのミネラル水に30分間漬けてから、ゆっくり煮溶かします。
③煮上がった黒豆に、ミネラル水4/5カップを足してミキサーにかけ、なめらかにします。
④煮溶かした寒天に③と米飴、黒砂糖、自然塩を加えてよく混ぜます。
⑤流し箱(タテ14cm、ヨコ12cmくらい)をぬらて④を流し込み、冷やして固めます。好みの大きさに切り分けます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。