マクロビオティック one テーマ (文)ムスビの会主宰 岡部賢二
マクロoneテーマ⑥今月のテーマ活力の供給源・梅醤番茶
三種の神器、梅醤番茶材料とその効能は?
マクロビオティックの手当て法の三種の神器の一つが梅醤番茶です。
毎朝飲まれている方も多いのではないかと思います。我が家では一カ月分を手作りしてビンに保存し、家族みんなで飲んでいます。
子どもたちは調子の悪い時にしか飲みませんが、おかげ様で家族全員が元気に過ごしています。今回はその効能について見て行きましょう。
梅醤番茶に使われている材料は昔ながらの梅干しと伝統製法の醤油、三年番茶、生姜です。
梅干しの塩気とクエン酸や醤油に含まれる約二十種類のアミノ酸、三年番茶に含まれる渋み成分のタンニン、生姜の酵素には殺菌、防腐(腐敗防止)、抗生(天然の抗生物質的な作用)があります。この四つの力により、どんな菌も寄せ付けにくくなります。
また、梅干しのクエン酸は疲労物質である乳酸を分解し、疲労回復を促します。
醤油や三年番茶には強心剤的な働きがあり、心臓に活力を与えることで血液の循環が良くなります。
そのため、手先・足先といった末梢の血行が良くなって体が温まってきます。
さらに梅干しに含まれる鉄分や塩分には増血作用もあるので、冷え症で貧血、低血圧といった虚弱な体質の方にはぴったりの飲み物なのです。
胃腸強化、血流を良くし病気予防におすすめ
ほかにも胃腸の弱い方におすすめです。
なぜなら胃腸の温度が下がると消化に使われるホルモンや酵素の働きが落ちてしまい、食べても太れない状態や、アレルギーのような消化不良状態を引き起こします。
食後に眠くなる、という人や、食後に甘い物が食べたくなる人は胃腸が弱っています。
塩には雪を溶かす融雪剤にも使われているように蓄熱作用があります。
そのため梅干しや醤油由来の塩分を含む梅醤番茶を外気温が最も下がり、体温が低くなる朝方の時間帯に飲めば胃腸が温まり、消化吸収力が増すのです。
体温は免疫力とも関係していて、体温が一度下がると三〇%~四〇%も低下することがわかっています。
私は免疫力とは血液の循環力だと捉えています。
したがって体温が上がると血液の流れが良くなり、酸素や栄養が全身の細胞に満遍なく行き渡ります。
その結果、肉体が心地良くなることで精神も安定し、笑顔になります。ガンやアレルギー、生活習慣病の方には低体温の方が多いので、そうした病気の予防にも梅醤番茶はおすすめです。
だ液の分泌を促す梅醤 雑菌の繁殖をふせぐ
このほかにも糖尿病の症状の一つに口渇(だ液が出にくくなる症状)がありますが、口の中が乾燥すると雑菌が繁殖するので感染症にかかりやすくなります。
ところが梅干しは見ただけでだ液が出る食べ物なので、梅醤番茶を飲み続けることでだ液の分泌が促されます。
元気な赤ちゃんはだ液が豊富なように、生命力の強さはだ液の量で推し量ることができます。
活力の「活」という字は舌から出る水、すなわちだ液が多ければ健康になれることを示しています。
虫歯や口臭も口の中の雑菌が原因ですから、梅醤番茶が有効です。
梅干し、醤油、番茶という三つのアルカリ成分で血液をサラサラ状態に戻してくれるのが梅醤番茶ですが、これらの成分は陽性(収縮性)なので、一カ所に滞りやすくなります。
ところが生姜を少し入れると、陽性な成分が生姜の陰性(拡散性)によって満遍なく体の中に行き渡ります。
生姜を運び屋として用いるのですね! 生姜がない時には「ショウガない」とあきらめずに唐辛子を少量用いても良いです。
さすがに胡椒やニンニクは合いません。生姜は脂肪分を分解する酵素が豊富なので、肥満予防にもぴったりです!
梅醤作りに挑戦して活き活きした生活を!
梅醤の作り方は、湯呑みに梅干しと醤油を入れて割り箸で潰していくやり方が一般的ですが、すり鉢とすりこぎを用いた方が手早くでき、しかも美味しくなります。
上下運動よりも回転運動で混ぜ合わせたほうがエネルギーレベルは高まるようです。
梅干し(種つき)と醤油を同量用意し、初めに梅干しをすり鉢に入れ、潰しながら摺っていきます。摺っているうちに種が自然に外れてきます。
梅干しがペースト状態になったら、醤油を少しずつ入れてさらに摺っていきます。練っていくうちに、段々と光沢が良くなります。
醤油は二~三種類違ったものをブレンドするとより美味しく仕上がります。
最後に生姜の搾り汁を好みの量で入れれば出来上がりです。肉食が過去に多かった人は生姜を多めに、穀物菜食の方は少なめで良いでしょう。
十五分くらいあれば一カ月分ができ上がるので、ぜひ挑戦してみてください。
自分で作るのが難しい場合には、自然食品店で梅醤エキスが販売されているのでご活用ください。三年番茶は三〇分くらい煮出した方が美味しいです。
ぜひ、梅醤番茶を飲んで、活き活きとした生活を送ってくださいね!
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月刊「むすび」 2016年06月号より
正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。
マクロビオティックの料理レシピや陰陽理論、食生活、子育てや健康、環境問題など幅広いテーマを取り上げています。
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Profile おかべ・けんじ
大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。
日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。
2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。
著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、
「家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。
ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com