マクロビオティック one テーマ33 色彩心理学と陰陽五行~冬編 文)岡部賢二
腎・膀胱系が弱ると肌が黒ずみやすい
11月7日に立冬を迎えると、季節はいよいよ冬になります。
冬場に弱りやすい臓器が陰陽五行の腎・系で、腎が弱ってくると顔のくすみや目の下の黒ずみ、シミやホクロ、そばかす、しわといった黒色が皮膚に出やすくなります。
黒は老化や腐敗、停滞、陰気を表す色で、お腹で腸内腐敗が起こると腹黒くなり、その毒素が血液中に漏れ出すと血液の流れが停滞し、老廃物が蓄積することで体が黒ずむといった現象が引き起こされます。
腎は水を管理している臓器ですが、水は陰気の象徴で、冬場に水分を多く摂りすぎると体が冷えやすくなり、おしっこが近くなります。
腎は冷えに弱い臓器であるため、冬場は水分を控え、利尿作用のある昆布やひじき、干しわかめ、あらめといった黒色の乾物や、黒豆の煮物、ゴマ塩、黒米のごはん、そばなどの黒色食品で腎をあたためて老化を予防しましょう。
黒い礼服の下は白シャツを
日本では、昔から下着に黒色を用いてきませんでした。おそらく体の新陳代謝を低下させることを直感的に知っていたからでしょう。
ところが最近、若い女性に黒色の下着やスパッツが人気のようです。
これは、黒色に意識や体を引き締める働きがあり、痩せて見えることから、黒色の衣類をまとう人が増えているのでしょう。
できれば、インナーには冷えや血液の停滞、冷えをもたらす黒色は避けるようにしましょう。
礼服などで黒いジャケットを着用するときには、インナーに白色のシャツなどを用いると、黒色のマイナス面を緩和することができます。
また、人は自分の心の内面を知られたくないという心理が働くと、黒色の服を着たくなるようです。
古代より黒猫やカラス、熊は魔女や神の使いとされていましたが、おそらく黒色の動物が、あの世とこの世を結ぶ介在役をすると考えられていたのでしょう。
くまモンキャラクターが人気なのは、もしかしたら、自分の内面にもっと目を向けなさいよ!という天からの指示なのかも知れませんね。
光を吸収する黒 邪気を祓う黒色食品
最近、ブラック企業という言葉をよく耳にします。
他にもブラックマネー、ブラックマーケットなどのように、ブラックには非合法的という意味合いがあります。
アメリカの禁酒法時代、暗黒街のボス、アル・カポネは裏社会の黒幕でした。
黒色は恐怖を表す色でもあるため、暗闇やブラックホール、ダークネス、ダースベーダー(暗黒)という言葉を聞くと、何となく怖いイメージがわきます。
映画の上映などで使われる暗幕が光をるように、実は黒は光を吸収する色なのです。したがって、黒色食品は光のエネルギーを多く吸収しているので、体内の闇(邪気)を祓ってくれる力が強いといえます。
また、黒は謙虚さを表す色でもあります。
フォーマルドレスに黒色が使われるのは、自らを控え目にして主役を引き立たせる働きがあるからです。
黒子に徹するという表現は、陰ながらフォローするという内助の功(女性性)を表し、黒板は白色を引き立たせます。
また、漆器や仏像のような黒光りするものには奥ゆかしさがあり、黒塗りの車や黒船、蒸気機関車には威厳や風格を感じます。
他にも黒色には、持続力、継続力、忍耐力が増すというよい面があります。
最近流行りの黒仕込みの焼酎や、黒門市場、黒潮には女性的な水の力を感じますし、書道の世界が昔から継続しているのも、黒の持つ力かもしれませんね。
黒髪に黒い瞳を持つ日本人は忍耐力が強く、戦後の大変な混乱期を乗り越えて今日の日本を発展に導いてきました。
イカ墨パスタに金箔 黒のマイナスを消す金
黒色のマイナス面を打ち消す色が黄色(金色)です。
例えば、黒塗りのピアノのの内側には金色でメーカー名が書かれていますし、黒い学生服のボタンやベルトのバックル、革靴、カバン、、、にもワンポイントで金色が用いられています。
日本独特の伝統工芸のは漆器に金で絵柄が描かれたものです。
金色が黒色に華やかさや高級感を与えてくれるので、黒髪や黒いドレスには金色の髪飾りやネックレスが合いますね。
食事の場合は、もずくにはレモンや金時、ひじきには豆や油揚げ、醤油には生姜を添えると見た目が美しくなります。
以前、イカ墨のパスタに金箔がトッピングされていたのを見たことがあります。
黒色の持つ陰気な面に陽気なパワーをもたらしてくれるのが黄色や金色なので、上手に用いるとよいですね。
黒色のよい面を生かして、冬場を元気に過ごしましょう。
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月刊「むすび」 2018年08月号より
正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。
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Profile おかべ・けんじ
大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。
日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。
2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。
著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、
「家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。
ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com