腸が脳を支配していた
ダイエットが失敗するのも、タバコがやめられないのも、勉強に弱いのも…
腸を鍛えていないから!
腸は第二の脳ではない
「腸は第二の脳」といわれていますが、私はそうは思いません。
腸の思考力は脳より上だと思っているからです。人間の腸には大脳に匹敵するほどの数の神経細胞があります。
脳は食べ物が安全かどうかは判断できませんが、腸にはそれができるのです。
食中毒菌が混入した食物でも、脳は食べなさいとシグナルを出します。
しかし腸は菌が入ると激しい拒絶反応を示します。腸に入った食物が安全かそうでないかは腸の神経細胞が判断しています。
安全なものでないとすぐ吐き出したり下痢を起こしたりして、なるべく早く人間の身体を中毒させないように反応を起こしています。
心を病む多くの人たちが偏った食物ばかり食べるようになるのは、脳がそのような食事を摂るように命令しているからです。
ポテトチップスやファストフードにはまる人もそうです。
これらの食品には脳が喜ぶ物質が多く含まれていて、脳は悪いと知っていながら、無理矢理、命令で食べさせられているのです。
そのイライラ、原因は腸内細菌不足かも!?
脳内の幸せ物質と呼ばれるセロトニンや、やる気を起こすドーパミンは、タンパク質の分解産物であるトリプトファンとフェニルアラニンによって腸内で合成されます。
タンパク質の分解にはビタミンCが必要です。
トリプトファンやフェニルアラニンなどのアミノ酸からセロトニンやドーパミンを合成するためには、葉酸やナイアシン、ビタミンB6といったビタミン類が必要です。
これらのビタミン類は私たちの体内では合成できません。腸内細菌が作っているのです。
腸内細菌がバランスよく、数多く存在しないと、幸せ物質であるセロトニンとやる気物質であるドーパミンが不足し、うつ状態になったりイライラしたりするのです。
ダイエットが続かない理由
今、私はストレスと免疫の研究をしていますが、ストレスにさらされると脳は、すぐ目の前の快楽に飛びつくようです。
私の教え子にもとても太った女医さんがいます。彼女の脳は極めて意志薄弱です。
肥満は身体に悪いということを、医師である彼女は当然知っているはずです。しかし、何度ダイエットしても続いたことがないというのです。
彼女は一生懸命、食事制限ダイエットをしていましたが、ストレスが溜まったある日の夜中、突然飛び起きて炊飯器いっぱいのご飯を食べてしまい、次の日からダイエットをやめてしまいました。
ダイエットにはリバウンドの悩みがつきものですが、ストレス発散のために食欲に走ってしまうのは、脳にとって自然なことのようです。
欲求には、喉の渇き・食欲・体温調節などの生物学的欲求のほかに、ヒトの場合、他者にほめられること・愛されることなど、より高次で社会的・長期的なものまで含まれています。
たとえば、「おいしい」という感覚を得ると、脳内の特定の部位が興奮し、脳内伝達物質のB‐エンドルフィンやドーパミン、セロトニンが増えて快楽中枢が刺激され、脳が幸福を感じるのです。
その脳の幸福感を得るため、またおいしさを求めるーこれが脳が自分の報酬系を活性化させる、ということなのです。
食べ物は脳をだます、腸はだまされない
- 大食いによって癒される脳、壊される腸
- 糖質を食べ過ぎると、食欲をコントロールする脳細胞が傷つく
- 脳は糖を欲しがり、腸は糖の摂りすぎを嫌がる
- なぜ腸は野菜を好み、ガン細胞は糖を好むのか
- 糖は太るし脳にも悪いのに、やっぱりやめられない!
- 脂質の摂取バランスが、身体に悪影響を起こしている
- 身体に最も悪いトランス脂肪酸の規制をしない日本
- ゴキブリも食べないマーガリン、いつまでも腐らないフライドポテト…..
本書を読んで「脳」と「腸」との関係性を正しく理解してくださった方は、腸も心も美しくなって、いつまでも元気でピンピン生きられること間違いなしだと、私は確信しています。
脳はバカ、腸はかしこい | ||||
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