悪い油の摂り過ぎは、腸内悪玉菌の温床になる。
健康で毎日元気に過ごしたいという思いは誰にでもあるでしょう。そのために、野菜をたくさん食べたり肉を控えたりと食生活に気を遣っている人も多いと思います。
しかし、いくら健康に気を遣ったよい食材や調味料を使ったとしても、使用している油が悪ければ、せっかくよいものを食べても意味がなくなります。
なぜかといいますと、そもそも油というのは酸化しやすいもので、酸化した油が腸内に入ると腸内細菌が死んでしまいます。すると、腸内の悪玉菌が増殖して、腸内細菌のバランスが悪くなり、がんや糖尿病、アレルギー、感染症、うつ病などの病気にかかりやすくなります。
もちろん、油の酸化だけではなく2018年にアメリカで全面禁止になるトランス脂肪酸の摂取も多くの病気の引き金になる可能性が大きいでしょう。
油は毎日摂るものですから、酸化していない油、カラダによい油を摂るようにすれば、健康的な生活をおくる第一歩になります。
家庭用につくられたサラダ油
もっとも多くの家庭で使用されている油といえば、「サラダ油」でしょう。
実はこのサラダ油は日本独自の名称で、大正時代に日清製油(現・日清オイリオ)がサラダに使用できるように透明度が高く、冷やしても白濁しにくい油として販売したことが始まりです。
値段が求めやすく使いやすいことが魅力のため、一般家庭で使われることが多く、軽くてサクッと美味しい揚げ物ができることから揚げ油としても広く利用されています。
サラダ油とはJAS(日本農林規格)が定めた大豆油、コーン油、キャノーラ(菜種)油、ひまわり油、紅花油、綿実油など2種類以上の原材料を調合させてつくる油で、現在は大豆油とキャノーラ油の混合油がサラダ油として主流です。
これらの油にはリノール酸が多く含まれている特徴があり、酸化しやすいリノール酸を長期間多量に摂取すると脳梗塞や心筋梗塞、がんを引き起こす原因になっていることがわかっています。
リノール酸を常食していると病気になる
リノール酸は、多価不飽和脂肪酸で、紅花(ザフラワー)油、大豆油、キャノーラ(菜種)油、コーン油、ごま油、綿実油に多く含まれています。
つまり、大豆油と菜種油からつくられるサラダ油にも含まれています。
食用油のほかにも、フライドポテトやインスタントラーメン、スナック菓子、天ぷら、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン、ショートニングなどさまざまな食品に含まれています。
しかし、リノール酸は、体内でつくることができないため、食事から摂らなければならない必須脂肪酸です。
リノール酸にはコレステロール値、血圧、血糖値を下げるなどの効果はありますが、リノール酸が不足すると、成長が遅れる、
感染症にかかりやすくなる、皮膚炎をおこす、肝臓・腎臓に障害が出るなどの影響があります。
しかし、リノール酸の過剰摂取は、カラダに悪影響を及ぼすとされています。
それなのになぜ現在の日本でこのような油を常食しているのでしょうか。
それは、以前、厚生省(現・厚生労働省)や食品業界が、「動物性油脂はコレステロール値を上げるが、植物性のリノール酸はコレステロール値を下げるので、健康によいと宣伝したからなのです。
したがって、日本ではリノール酸を摂取するように推奨され、なかでもリノール酸を多く
含むキャノーラ(菜種)油、紅花油が主流になりました。
その影響で、使いやすいサラダ油やマーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ドレッシングなどの「高リノール酸食品」が大量生産され、安価なため、家庭や学校給食などにも利用されています。
リノール酸は必須脂肪酸ではありますが、必要な量だけ摂れば十分です。
リノール酸を含まない食品はあまりないため、常の食事をしている限り、リノール酸が不足することはまずありません。
つまり、市場にあふれているでリノール酸を含む食品は、あえて食べる必要はありません。
オメガ3系と6系のバランスが大事
オメガ6系は細胞膜を硬くするのに対し、オメガ3系は細胞膜を柔らかくします。同じ油でもお互いに不足している性質を補いあっています。
オメガ6系の脂肪酸であるリノール酸を気付かぬうちに摂取してしまっていることが多い現代人は、オメガ3系と6系の摂取バランスが1:30などになっている人が多いことがわかっています。
オメガ3系脂肪酸の摂取量が少ない現在、病気にならないためにもこのバランスに注意した
食生活をするようにしましょう。
危ない油と健康になるオイル (英和ムック) |
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