船瀬俊介連載コラム
干ししいたけは驚異的な健康食品
①抗ガン作用・しいたけはガンを予防する。しいたけの抽出成分レンチナンは医学的な実験で「抗腫瘍効果」が立証されている。
その作用は、ガンを萎縮させる・延命効果・ガン細胞を攻撃するリンパ球活性化、その他、ウィルス性疾患に抵抗力をつける、という。
1986年、中央薬事審議会で「抗悪性腫瘍剤」と医薬品認可を受けている。
エイズヘの免疫強化ガン患者の免疫力を高めるしいたけ成分は、エイズウィルス保菌者にも有効。
エイズウィルスが免疫細胞を破壊したあとに、レンチナン投与すると、その論液細胞が通常人なみに回復する(帝京大医学部、松田璽二郎助教授ら。一九八六年九月第五回、国際血友病治療学シンポジウム)。
②食物繊維効果・「食物繊維が足りないよ……!」これが現代人の合い言葉。それだけ繊維不足は深刻だ。食物繊維とは、海藻やキノコ穀物などに含まれる難消化性の成分。
昔の栄養学は「消化されないから栄養がない」と唾棄。「精白」「精製」と称して、食品業界は、取り除くのに躍起になっていた。
そして、いまは「繊維が足りない」の大合唱。なんと、人間とはオロカな生き物だろう。
おどろくなかれ、干ししいたけは、食物繊維の含有率が43%と驚異的な繊維食品なのだ(表B)。これを、しのぐのは全食品中では寒天、きくらげ、ヒジキくらい。
昔は黙殺された食物繊維には、次の索晴らしい効能が確認されている。
便秘を直す・肥満を防ぐ・腸内有用菌を増やす・高血圧症を治す。コレステロール値を正常にする。大腸ガンを防止する……などなど。
③亜鉛が生殖能力を高める・亜鉛は生殖能力を高めるので別名セックス・ミネラルと呼ばれる。精子の生成を促進するのだ。
また、舌の味蕾細胞の感度を改善するので、「味覚異常」が治る。
④コレステロール値を下げる・しいたけに含まれるエルタデニンという物質は、コレステロールを下げることが動物実験で証明されている。
コレステロールの体内代謝や体外排泄を促進するのだ。ヒトの実験で、しいたけと動物性脂肪を一緒に食べさせても、コレステロールは下がることを確認。
油っこい中華料理にしいたけが不可欠なのも理由があったのです。
コレステロール値が下がるということは動脈硬化が改善すること。脳梗塞や脳卒中、心臓マヒなどは、動脈硬化が引き金となる。これらの予防にも、毎日の干ししいたけは欠かせない。
⑤高血圧の抑制効果・干ししいたけのもどし汁(つまり、しいたけだし)に、血圧降下作用が確認されている。
成長するにつれ血圧が高くなるネズミをAB二群に分け、A群には、しいたけエキスを、B群には水だけを飲ませた。するとA群のみ「血圧上昇が抑えられた」。
つぎにしいたけエキスをやめるとA群ネズミも血圧が上がり始め、三週間後にはB群と同じになった。
驚くほど多彩、しいたけ料理
このように、干ししいたけは、驚くほどの薬効がある。
意外な楽しみ方もあるので、その風味とともに、楽しんでほしい。
◎しいたけご飯
米三カップ、洒大さじ二杯、塩少々、干ししいたけ五枚ほど。
その他、人参、コンニャク、あぶらあげ、三つ葉少し。米は炊く二時間前に洗ってザルに切っておく。酒、しょうゆ、塩に干ししいたけのもどし汁と水を計三カップ。
細切りにした材料を混ぜて炊く。炊き上がったら10分ほど蒸らし、三つ葉を散らし、ひと混ぜしてできあがり。
◎炒めもの
もどした干ししいたけを千切り。キュウリを塩少々で板ずりして洗う。叩いて潰し、乱切り。しょうがの千切りとしいたけを油で炒めキュウリとうす切りザーサイを加える。
手早く混ぜ炒め。合わせ酢を加えて一分ほど煮て出来上がり(合わせ酢・干ししいたけもどし汁、酢、各々大さじ二、砂糖大さじニ・五、塩小さじ四分の一、しょう油小さじ一がめやす)。
◎酢のもの
もどし干ししいたけを千切り。ゴマ油で炒め、しょうゆ、酒で味付け。キャベツをサッとゆでたあとに千切り。
水気を絞って、モヤシを酒、塩少々で空炒り。水分をとって、これらを酢しょうゆで和え、針千本のしょうがを散らしてできあがり。
酢じょうゆ(ドレッシング)には、好みで砂糖、ゴマ油を少々。
◎しいたけ茶
これは、ユニークなしいたけの味わい方。読んで字のごとくお茶としていただく。干ししいたけの戻し汁にエリタデリンという成分が発見された。
これは天然の降圧剤と呼ばれるほどコレステロールを減らし、高血圧を下げる作用がある。血中コレステロールが増えると、糖尿病、狭心症、心筋梗塞や高血圧症などを引き起こす。
しいたけを日常欠かさぬこれら病からも救われる道だ。しいたけ茶なら、食生活こそ、お茶代わりに毎日、栄養補給し予防生活ができる。
作り方は、冬茹の生しいたけを細切り、ザルなどに広げて天日でカラカラに乾かす。密閉容器に入れて冷暗所に保管する。
お茶の入れ方は、この干ししいたけを、前日の夜にポットに入れ、ぬるま湯を注ぐ。翌日、出たエキスを飲む。「もどし汁」をお茶としていただくわけだ。
しいたけの香りが苦手なら、梅干しの梅肉を入れれば美味しくなる。市販のスライス干ししいたけを、天日に干してお茶にしてもよい(町で売っている「しいたけ茶」は化学調味料入りなのでおすすめできない)。
◎しいたけ酒
これは飲んべえにおすすめ。①肉厚の冬茹を天日で半干にする。②ガラス瓶にしいたけ(6~7個)を入れる。
③焼酎(ホワイトリカー等)を1.8リットル加え、冷暗所に保管。
④約一ヶ月後に、しいたけを取り出す。⑤三か月ほど寝かせる。⑥毎日大さじ二杯くらいが適量。寝酒で楽しんではいかがだろう。
干ししいたけを見ると、カラに乾いて、どこか便りなげだ。しかし、その秘めたる栄養、薬効、用途には驚くほかない。
保存はきくので、多めに購入、ストックをして毎日、いろんな料理法で食したい。
続きはこちら: 干ししいたけの選び方、美味しいだしの取り方
月刊マクロビオティック 2002年05月号より
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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家
著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。
『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。
独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。
著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。