「老けない体」は骨で決まる  山田 豊文 (著)

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「老けない体」は骨で決まる (青春新書INTELLIGENCE)

イライラの理由、が「髪の毛」でわかる!

毛髪中に含まれるミネラルの量から体内のミネラルバランスを知る「毛髪ミネラル分析」というものがあるのだが、その生みの親であるアメリカの化学者、ウィリアム・ウォルシュ博士は、1977年にこんな発表をしている。

殺人犯を対象に毛髪中のミネラルを分析した結果、ほとんどの対象者でカルシウムの高値が認められたというのである。

毛髪を調べると、一定期間における血液中のさまざまなミネラルの量がわかる。

毛髪中のカルシウムの値が高いということは、血液中にカルシウムがあふれでいたと考えられる。

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つまり、マグネシウムとのバランスが崩れ、カルシウムが細胞内に入ったままになりやすい状況であったことが推測されるのだ。

殺人の動機はさまざまだが、殺人犯の毛髪中のカルシウム値が総じて高かったということは、悪玉と化したカルシウムが脳内で神経系のトラブルを誘発し、思考や感情を混乱させた結果、殺人を犯すような精神状態に陥らせたのではないか・・・。

こんな可能性が強く疑われる。

ウォルシュ博士のこの研究結果を知ったのは初年ほど前だが、それを契機に私も毛髪ミネラル分析やミネラルの研究に着手することとなった。

その中で明らかになったのは、暴力的な傾向のある人の大半が、カルシウム濃度が高いということだったのである。

いい換えれば、「イライラしやすい人は血液中にカルシウムがあふれでいる」ということになる。

カルシウムが足りているのに足りていない!?

「カルシウムが不足するとイライラする」
なかば常識のようにいわれていることだが、これにも誤解されている部分がある。むしろ、カルシウムが居場所を間違えることで神経系のトラブルが起きるのだ。

イライラが嵩じ、感情が爆発して、暴力的な行為に及ぶ、という図式は行動パターンとして理解しやすい。

少なくとも、神経系のトラブルをもたらすのは、カルシウム不足ではなく血液中のカルシウム過多、そして細胞内へのカルシウムの入りっぱなしだと考えるべきなのだ。

ただし先ほども述べたように、カルシウム濃度が高い、カルシウムが多いのは、あくまで血液中や細胞内の話。骨や歯では不足していると考えられるのだ。

本来の居場所でカルシウムが不足し、いるべきでない場所にカルシウムがあふれでいる。この現象は「カルシウム・パラドックス」と呼ばれる。

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先ほどの筋肉のけいれんもしかり、「カルシウム不足でイライラする」の真相は、まさに体内のカルシウムが矛盾を抱え込んでしまっているということなのだ。

沖縄の百寿者は牛乳なしでも骨が丈夫

日本人を対象にした研究報告もある。『THE OKINAWA PROGRAM』(2001年刊)というアメリカの書籍にまとめられたものがそれだ。

著者は、ハワイ大学医学部講師のブラッドリー・ウイルコックス、沖縄県立看護大学講師のクレイグ・ウイルコックス、琉球大学医学部名誉教授の鈴木能川3氏を中心とする研究チーム。

同チームは、世界に誇る健康長寿エリアである沖縄に暮らす人たちを対象に、25年もの歳月をかけてその秘訣を研究・調査したのである。

そして、以下のことが報告された。

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・沖縄の百寿者(100歳以上の人)は、乳製品をほとんどとらないのに、股関節の骨折率が非常に低い

・カルシウムの摂取が骨粗鬆症のリスクを軽減すると裏づけた研究がほとんどない

・乳製品をあまりとっていない地域ほど、骨粗鬆症がむしろ少ない

・乳製品や肉類といった高タンパク食品による脱灰の危険性を指摘

・カルシウムの摂取源としては、大豆製品や海藻類、キャベツやブロッコリーなどの植物
性の食品を推奨

こうした諸外国や日本国内の研究、調査によって、午乳の数々の問題点が指摘されてい
るのである。

第2章のまとめ

・カルシウムが細胞内に入ることで、生命活動をおこ芯う上で重要な酵素反応がスイッチオンになる。

反対に、マグネシウムがカルシウムを細胞外ヘ出すと、スイッチがオフになる。カルシウムとマグネシウムの摂取バランスは、1 : 1がもっとも理想的。

・カルシウムは「量」より「居場所」が問題。カルシウムが本来あるべきでないところに蓄積すると、骨粗鬆症をはじめ、けいれん、アレルギ一、心筋梗塞など、心と体にさまざま不調を引き起こす。

・牛乳や乳製品にはカルシウムが多く含まれているが、マグネシウムが極端に少ない。これらばかりを摂取していると、マグネシウムとのバランスが崩れる。

・動物性タンパク質の過剰摂取により血液が酸性に傾くと、それを中和するために骨からカルシウムが溶け出す。これも骨粗鬆症の一因となる。

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