一日一回おなかを空かせば病気が治る 石原 結實 (著)

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「空腹」療法 一日一回おなかを空かせば病気が治る(ロング新書)

「食べすぎ」は万病の原因

「食べすぎ」は万病の原因となり、血液を汚し、逆に「小食」「空腹」が血液を浄化し、また、免疫細胞である白血球の貪食力を強くする。

我々、現代文明人は、食べすぎておこる種々の病気が、自分自身の体の崩壊のみならず、後には家族崩壊までおこし、将来的には、国家崩壊の危機まで孕んでいることに早く気付く必要がある。

私は幼少期から、どちらかというと虚弱であり、扁桃腺炎や気管支炎を起こしたり、大腸炎を患って、よく発熱し、両親を心配させたものだった。

小学6年頃より、かなりの元気になり、中学卒業くらいまでは、健康で過ごしていた。

しかし、高校に入ってからは、頻繁に下痢をくり返し、とくに試験や運動会、旅行などイベントがある時はそれがひどくなり、行く先々のトイレの場所を確かめておかねばならないという状態であった。

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今から考えてみると、西洋医学的には過敏性大腸炎で、漢方でいうと「体の冷えからくる陰性」の胃腸病にかかっていたといえる。

西洋医や漢方医にもずいぶん診てもらい薬を処方してもらったが、ほとんど効果がなく、大学に入っても、同様の症状をくり返していた。

大学時代に西式健康法との出会い

自然医学への興味

大学1年の時に、西勝造氏が書かれた『西式健康法』という本に偶然出くわし実践してみた。

「朝食は有害だから摂るな」「青汁を飲め」等ということが書いてあり、とくに前者は、当時の医学者や一般の人々からも「敵視」されていた考えだ。

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朝食をやめて、キャベツで作った青汁を飲むようにしたら、下痢の回数も減り、不愉快極まりない「しぶり腹」(トイレで排便しても、まだ残っている感じで、またトイレに行きたくなる)が全く消失した。

そこで、そうした“自然医学”に興味をもち、東大の内科の教授であった二木謙三医学博士や、森下敬一医学博士のご著書を読みあさり、「玄米食がよい」とのご高説に従い、昼、夜を玄米食にしたら、ピタリと下痢が止まり、すこぶる快調になった。

そこで、運動をする気がおこり、バーベルを持ち上げるマッスル・クラブ(muscle=筋肉)に籍を置き、週3~4日のウエイト・トレーニングに励んだ。

はじめは、ベンチプレス30㎏、スクワット30㎏くらいしか挙上できなかったが、大学の5年生頃には、ベンチプレス1 0 2・5㎏、スクワット1 5 5㎏くらい挙上できるまでになり、九州学生パワーリフティング大会の軽量級で優勝した。

因みに、軽中量級、中量級、軽重量級の1位より成績がよかった。

西洋医学への限界を感じ、免疫力の中心、白血球の研究医師になり、白血病、再生不良性貧血、悪性リンパ腫等々の治療を行う血液内科を専攻したが、当時は今ほど効果のある治療法がなく、受けもちの患者が週に四、五人亡くなるというようなこともしばしばで、西洋医学に限界を感じ始めていた。

そこで、一念発起し、母校の大学院の博士課程を受験し、免疫力の中心である白血球の働きが、食生活や運動によって、どう影響されるかについて研究することにした。

4年間の在籍中に、森下敬一博士に付いて、ロサンゼルスやサンフランシスコの“自然食”運動の視察や、当時は共産主義下で入国の厳しかったソ連のコーカサス地方の長寿村にも長寿食の研究に出向いた。

そして、スイスの自然療法病院でも研修を積み、「健康」や「病気の治療」に対して、食生活がいかに大切かを確信するに至った。

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この、チューリッヒにあるベンナー病院では、朝食に人参・リンゴジュースを飲ませていた。

人参・リンゴジュースは、キャベツジュースより美味しいので、1 9 8 0年からは毎朝、朝食の代わりに2杯飲んでいる。

一日一食で、休暇・休日ゼロの元気生活

1 9 8 2年から東京で小さい診療所を開き、漢方薬だけを処方する診療を行っているが、1 9 9 5年から約13年間、1ヵ月にだいたい1回、日本テレビの『おもいッきりテレビ』(みのもんたさん司会)に出演するようになり、少し有名になった。

すると昼休み時間の12時から1時には、毎日雑誌や週刊誌の記者がインタビュー(取材)に来られるようになり、それまで昼食にしていた「トロロそば」が食べられなくなった。

それで昼食は、記者の人と一緒に黒砂糖入りの生姜紅茶1〜2杯を摂っている。

週4~5回は伊豆にある自宅で、朝、人参・リンゴジュース2杯と生姜紅茶1杯を飲んで在来線、新幹線、タクシーを乗り継いで東京の診療所まで出かけ、午前中の診療の後、12時から取材を受け、午後の診療をすると、同じコースで自宅に帰る。

帰宅後、4~5㎞ジョギングして、それから入浴し、たこ刺し、いか刺しを肴にしてビールに焼酎のお湯割りを飲み、その後、玄米ご飯、みそ汁、納豆、豆腐、エビの天ぷら、たこの煮物等々を食べる毎日である。

他人様にはとてもすすめられる食事ではないが、幼少期から肉がダメ、卵もベタベタして食べられない。

日本人なのに魚が嫌い、牛乳を飲むと下痢する……という妙な体質に生まれてきたので、動物性食品は、エビ、カニ、イカ、タコ、貝、牡蠣、メンタイコ程度しか食べられない。

こうした、本能が欲する食事しか食べず、しかも1日1食で、毎日のジョギングに、週4~5日はウエイト・トレーニングでベンチプレス約1 0 0㎏、スクワット1 2 0㎏を持ち上げている。

1 6 2㎝の身長であるが、ぜい肉なし、筋肉隆々の63㎏の体重を維持している。

週4~5回の東京での診察、日・月・木は伊豆の保養所での健康講演や保養者の健康相談を行い、年40回程度の全国の講演、年20~30回のT Vやラジオへの出演、年20冊以上の単行本の執筆……

と超ハードなスケジュールをこなし、土日はおろか1年間に休暇・休日「ゼロ」の状態が30年くらい続いている。

そして25歳から66歳の今日までの40年間、1錠のくすりも服用したこともないし、寝込んだこともない。

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6000年も前のエジプトのピラミッドに、次のような墓碑銘が刻まれている、という。(英訳したもの)

Man lives on a quarter of what he eats,
The other three quarters lives on his doctor.

「人は食べる量の4分の1で生きている、他の4分の3は医者が食っている」

「食べすぎで病気が起こる」ことを、これほどの名文句で表現している文章を見たことはない。


京都大学の中西輝政教授は、その著『なぜ国家は衰亡するのか』(P H P新書)の中で、ローマ帝国と20世紀初期の大英帝国の凋落ぶりを比較しながら、国家が衰亡していく時の社会現象を述べられている。

それによると

⑴ 都市生活を享受する若者

⑵ 海外勤務を嫌う人々

⑶ 海外旅行の大ブーム

⑷ 温泉ブーム

⑸ イベントだらけの生活 展覧会、博覧会、スポーツ競技大会、その他諸々の催し物

⑹ 古典から離れて、軽薄な趣味へ

⑺ 文字よりマンガ

⑻ 健康への異常な関心

⑼ 新興宗教が登場して隆盛を見る

⑽ 女性進出の現象などと並んで、

⑾ グルメブーム

というのがある。

現在の日本の状態と酷似している。

「グルメブーム」と「過食」こそが、心身の健康を損なわせ、⑴~⑽の現象を起こし国家衰亡へとばく進する、と私なりに考えるのであるが……。

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