腎機能を高めるために一番大事なことは血液の汚れを取り去ること

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磯貝昌寛の正食医学【第65回】腎臓病

腎機能を低下させるもの

腎臓は血液の浄化器官の最大のものです。血液の安定に最も大事な働きをしているのが腎臓です。

腎臓病は血液の汚れが積み重なった結果として現れます。

現代社会は血液を濁らせる要素があまりに多く、肉食、クスリ、抗がん剤、放射線、ホルモン剤、化学食品添加物、白砂糖、人工甘味料、排気ガス、人工香料など、細かく数えたらキリがありません。

現代医学では、抗がん剤や放射線、ホルモン療法をがんの治療として行っていますが、これらを行うと体の節々、特に手足の関節に黒ずみが現れることが少なくありません。

腎臓病の望診

血液が濁ると、まずは肌が黒ずんできます。

体の節々には特に汚れた血液が溜まりやすく、手足の関節、手首、足首、首、腰回りの細胞に汚れた血液が停滞しやすいのです。

皮膚の黒ずみが定着化すると、常に汚れた血液が全身を回ることとなり、腎機能はますます低下します。

血液を濁らせる食べ物は中毒性の強いものが多く、なかなか簡単に止めることができません。

それらの食べ物を食べ続けると、さらに腎機能が低下します。

日本は世界で最も透析患者の多い国です。医療制度の問題もありますが、腎機能を低下させるモノが溢れた社会であることをも証明しています。

腎機能が低下すると、肌の黒ずみだけでなく、体全体が重くなります。

体が重いということは、動きも悪くなります。腰が痛い、腰が重い、すぐにパッと動けないなどの症状は、腎臓の弱りが遠因の場合もあります。

体が重く、足が充分に上がらないので靴の踵が減りやすく、下手なすり足になり、不快な音を立てて歩くこともあります。

また、舌も重くなるので会話も弾まなくなります。

睡眠は腎臓の働きを促し、血液を浄化します。血液の汚れが蓄積して腎機能が低下すると、睡眠も長くなります。

睡眠不足が続いたときに目の下にクマができるのは、血液が汚れているサインです。

睡眠時の夢も、腎臓に負担がかかると悪夢が多くなります。

寂しい、悲しい、怖いなどの夢を見るのも腎臓からの警告です。これらが高ずるとネガティブ思考になります。

ポジティブに考えられないのは、腎臓への負担が強いからです。

腎不全の青年が道場に来たとき、睡眠が一日20時間と聞いて驚きました。

一日の大半を眠って過ごしていたわけです。彼は、2週間ほどの道場での生活で睡眠時間が12時間になりました。

肉食動物は睡眠が長く、草食動物は睡眠が短い。自然界を見れば、腎臓への負担の少ない食事はどんなものであるかがよくわかります。

腎機能を高める

腎機能を高めるために一番大事なことは、血液の汚れを取り去ることです。

まずは、血液を濁らせるような食べ物を食べないこと。

腸をキレイにして新しい血液をキレイにすること。

血流を良くして腎臓の働きを高めること。この3つが基本です。

「流水腐らず」というように、血液の流れが良ければ腎臓への血流が増し、腎臓の糸球体の汚れも減って血液もキレイになってくる。

血流を良くするには、深い呼吸、身体を温める、よく動くこと、正坐などの和式生活をすることが大事です。

腸を温めると、血液が温まって腎機能を高めます。

腎臓のある背中あたりを温めるのもとても良いです。腎臓は足との繋がりも深いので、足湯をすることにも意味があります。

腸を温めるのに最も効果的なのが生姜シップです。

ヘソを中心にお腹を充分温めます。手足が温まったり、額からジンワリと汗をかくまでお腹を温めるのがコツです。

健康な人は15分ほどで手足が温まってきますが、冷えの強い人の中には1時間やっても2時間やっても温まらない人がいます。

手足が温まるまで充分お腹に生姜シップをした後に残った生姜湯で足湯をすると、腎臓の働きはかなり高まります。

日本独特の正坐は腎臓だけでなく、身体全体に非常に良いです。

ふくらはぎは第二の心臓ともいわれ、ふくらはぎが活性化していると血流の滞りがありません。

和式生活で正坐が板につくと、立ったり坐ったりすることが血管の掃除となって、循環器である腎臓と心臓を活性化させ、血液をキレイにします。

自分の血液の陰陽を知る

血液は、陰性になり過ぎても陽性になり過ぎても汚れます。

血液も中庸で安定しているのが滞りなく良い状態です。中庸でキレイな血液になると、何時間正坐していても足はしびれません。

桜沢先生の健康の七大条件もクリアします。

そこまでいかなくても、日々の生活が楽しく送れるようになるのが中庸な血液の目安です。

陰性過ぎる血液は、出血するとなかなか止まりません。

食欲もなく、覇気もない。大便は緩く、色も薄い。小便の色も薄く、透明であればさらに陰性です。

肌の色は青白く、血色がない。

声に力なく、血液が薄くなると、人間の影まで薄くなります。

陽性過ぎる血液は肌が黒ずみ、手相の線まで黒くなります。また、食欲があり過ぎて過食になることもあります。

関節や筋肉が硬くなり、正坐どころか屈んで座ることができない。女性であれば生理痛がひどく、出てくる血液も濃くなります。

陰陽の食箋

陰性の血液が巡って腎臓が陰性な状態になっていると、ごま塩、味噌、根菜、海藻などが美味しく感じます。

穀物は圧力鍋で炊いた玄米ごはんが美味しく感じるでしょう。

水分は、のどが渇いたら摂ります。意識して過剰に摂る必要はありません。

陽性の血液が巡って腎臓が陽性な状態であれば、塩分は控えて葉野菜、白い野菜( 白菜、大根、かぶ、キャベツ等)、ジャガイモ、トマトなどナス科の野菜などを蒸したり茹でたりして食べます。

生野菜や野菜スープ、野菜ジュースもよいでしょう。

水分も無理のない範囲で意識してたくさん摂ってよいです。時々、無塩食をするのもよいでしょう。

穀物は好むものを少量食べ、食事の主は野菜にするとよいです。

食養指導の経験から最近は陽性な腎臓病が増えていると感じます。日本人に合わない肉食の増加と化学添加物の増加が日本人の腎臓を疲弊させています。

陰陽どちらの腎臓病であっても、血液を温め、血行を良くすることは同じです。

その上で自分の陰陽に合った食事を続けていくことで、疲弊した腎臓が再び活力を取り戻すのです。

月刊マクロビオティック 2017年05月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。