薬剤師は薬を飲まない 宇多川 久美子 (著)

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薬剤師は薬を飲まない (廣済堂新書)

生活習慣病は薬では治せない

身休や心に不調や不具合が生じた状態のことを病気といいます。

私たちは普段、風邪も偏頭痛も高血圧症もアレルギー症もうつ病もがんも、何もかもすべてを十把ひとからげにして「病気」と呼んでいますが、病気はその原因により、次の3つに分けられます。

① ダウン症のように遺伝子異常や脳障害が原因となっている先天性の病気。

② インフルエンザのようにウイルスや細菌などが原因となっている伝染病・感染症。

③ 高血圧や糖尿病などのように生活習慣の乱れや加齢が原因となっている生活習慣病。

慢性の病気は別として、多くの人は、伝染病・感染症も生活習慣病同様の概念でとらえ、「病気になったらお医者さんに行って治してもらおう」「薬を飲んで治そう」と考えているようです。

けれど先天性の病気と伝染病・感染症あるいは生活習慣病が異なるように、伝染病・感染症と生活習慣病もまた全く別ものなのです。

別ものであれば、治療法や予防法が違ってくるのも当然です。

伝染病・感染症は外部から来た、目に見えない細菌やウイルスにより発病するの菌やウイルスを殺すための抗生剤や感染による症状を緩和するための薬が必要になります。

公衆衛生が整備され、抗生剤や止血剤など急性の症状を抑える薬が登場したおかげで、多くの人の命が救われたことは事実であり、それは薬の大きな功績といえるでしょう。

細菌やウイルスを殺したり急性の症状を一時的に抑えたりする場合には、薬はその威力を存分に発揮し、救世主や「神の薬」と成りうるのです。

一方、生活習慣病というのは、自分の生活習慣が生み出した病気です。

原因は、病気になるような習慣を積み重ねてきた自分自身にあります。

自覚症状がないまま進行していくので、発病の瞬間を特定することもできませんし、慢性化してしまうことがほとんどです。

生活習慣が原因となっている病気に対し薬ができることは、身体に表れている症状を抑えることです。

急性の症状であれば、一定の期間薬を飲めばその症状は出ないようになりますが、慢性化している症状は薬を飲んでいる間しか、その症状を抑制・緩和することができません。

つまり、薬をやめたら、症状は以前と同じように出てしまうということです。

薬は、慢性化している症状を消し去ることはできないのです。

慢性化してしまった生活習慣病を治療しようと思ったら、病気の原因となっている生活習慣を改める以外に道はありません。

生活習慣病を患っている人の中には、病気の原因が何であるかを考えずに、生活習慣病もまた急性疾患と同様に「薬で治すもの」と思っている人が少なくありません。

そして、そういった人たちは薬の服用を数ヶ月、数年と続ける中で、口癖のように「薬を飲んでいるのに治らない」と嘆くのです。

私は薬局の窓口でこうした患者さんと話をしたときは必ず「生活習慣病は生活習慣を改善しなければ治りませんよ」と伝えていましたが、同じセリフを何度繰り返しても、その言葉は彼らの耳には届きませんでした。

その一方で、生活を改善しなければ自分の病気が治らないことを自覚している人もいました。

けれど、そういった人たちはその努力をすることが面倒なので「私には運動する時間はない」と言って体を動かそうとせず、「一人暮らしだし、家に帰ったら寝るだけなんで、自分で料理を作るなんて無理」と言って、コンビニ弁当を毎食のように食べるのです。

そして、自分は生活習慣を改善することはできないけれど、症状を放置しておくのはよくないので、病院に行って薬をもらえばいいというわけです。

薬は体内の酵素を奪う

血圧にしても血糖値にしても、数値を基準に近づけることだけを目的にするのであれば、即効性が高い薬は、頼もしい味方のように思えることでしょう。

運動をしなくても、食事を変えなくても、決められた分量の薬を決められた時間に忘れずに飲みさえすれば、基準値に近づいていくのですから、こんな便利なものはありませんよね。

けれど、どんなに便利であっても、薬というものは、飲みつづけるべきではないのです。

その理由として重要なのが「酵素」です。薬を飲むと、同時に体内にある酵素が奪われてしまうのです。

酵素ジュース、酵素ダイエットなど、数年前から「酵素」が脚光を浴びるようになりましたが、そもそも身体の中で起こる化学反応に対して、触媒として機能する分子のことを酵素といいます。

口から入った食べ物を消化するのも酵素、アルコールを分解するのも酵素、血液を作るのも酵素、皮膚を作っているのも酵素。

私たちは、体内に酵素があるから、生物としての活動を営むことができるのです。

酵素には、もともと体内にある「体内酵素」と、外部から取り入れる「食物酵素」があります。

生まれたときから身体の中にある「体内酵素」は、年齢とともに減少していきます。

また、酵素は体内で無尽蔵に作られるわけではなく、1日に作られる量には上限があります。

言い換えれば、人が一生で作り出すことのできる酵素の量は限定されており、酵素を使い果たしたときに、人は天寿を全うするというわけです。

さらに「体内酵素」は、食物の消化・吸収に使われる「消化酵素」と身体を正常に動かすために使われる「代謝酵素」に分かれており、この二つの酵素は互いに影響しあっています。

たとえば全体の体内酵素の量を10とした場合、仮に消化酵素を7使うと代謝酵素は3になり、消化酵素を9使うと代謝酵素は1になります。

ちなみに食べすぎて吹き出物ができたり、太ったりするのは消化のために酵素が使われすぎてしまい、代謝にまわる酵素が不足したためです。

食べ物と同じく、薬も消化酵素によって体内で消化・吸収されます。

そして、何度も申し上げてきたように、薬は私たち人間にとって異物です。

昔から口にし、慣れ親しんできた食べ物なら、分解の仕方を心得ているので、酵素を無駄遣いすることなく、効率的に消化・吸収することができます。

一方、私たちの身体は異物を消化・吸収する方法を知りません。

薬という異物が入ってくると、どう対処していいのかわからず、この酵素でもない、あの酵素でもないと、試行錯誤します。

さらに、異物である薬を解毒(毒性がなくなるように分解すること)するためにたくさんの酵素を必要とします。

その結果、大切な酵素を大量消費してしまうのです。

私たちが口にしているものの中で、何よりも一番、酵素を無駄遣いするのは薬だと私は思います。


薬は体の自然治癒力を奪い免疫力をも下げてしまう―。

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