カップめんのスープは多摩川の688倍も環境ホルモン汚染 

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船瀬俊介連載コラム

カップめんで、もっとも恐るべきは各種環境ホルモンが容器から溶け出すことだ。

「カップめんスープから1100ppbのフタル酸エステルを検出…!」98年4月、テレビ朝日『ザ・スクープ』の報道は衝撃的だった。

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(ppb:10億分の一)なにしろ多摩川のフタル酸エステル濃度は1.6ppb。

それでも多摩川のコイ(雄)の約三匹に一匹の精巣はヒモ状に縮んでいる。つまりオスとしての生殖能力を喪失しているのだ。

フタル酸エステル類は、プラスチックの可塑剤として不可欠な物質。一方、精子を減らすなど生殖能力を冒す環境ホルモンとして知られている。

コイの精巣収縮にも影響を及ぼしていることは確かだろう。

その多摩川汚染の六八八倍濃度のフタル酸エステルが、カップめんスープから検出されたのだ。ショッキングというしかない。

この年、6月29日には国立環境研究所が、「カップめん容器にめんが人った状態で熱湯を注ぐと環境ホルモンの一種、スチレン・トリマー(ST)が微量に溶け出す」と公表。

世間は一種のカップめん・パニックにおちいった。

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「環境ホルモンは溶出しない」業界の嘘

いっぽうカップめん業界団体、日本即席食品工業協会は、五月中旬に「環境ホルモンなど出しません」と全国紙に一面広告を大々的に打ち、不安の打ち消しに躍起となった。

その広告を見て、わたしは噴き出したものだ。

この大見出しの下に小さく「スチレン・ダイマーやトリマーなどの」と但し書きつきだったからだ。

これら「ダイマー(SD)」「トリマー(ST)」は、スチレンの二および三分子がくっついたもの。

高分子ポリスチレンを製造するときの副産物。

これらは「環境ホルモン作用が疑われる物質」として環境庁が98年5月に公式にリストアップしている。

わたしが同協会に「テレビ朝『ザ・スクープ』の分析では、カップめんスープからフタル酸エステルが検出されているではないか」と詰問すると「それは…」と一瞬絶句「使っていないはずですが」と担当者はうろたえた。

かれらの頭の中にはフタル酸エステルは、まったく念頭になく狼狽してしまったのだ。

これはテレビ局もおなじ。日本テレビ、関口宏『サンデー・モーニング』でも「先週、カップめんから環境ホルモンが検出と放送しましたが、

国内でカップめんから環境ホルモンが検出された例はなく、関係方面にご迷惑をおかけしたことをお詫びします」と女性アナが業界に謝罪したのには、驚いた。

すぐに担当ディレクターに「テレビ朝日の検出例かあるではないか」と抗議すると「そんなことは、我々は承知していない」と開き直り、嘘の謝罪コメント訂正に応じようとはしなかった。

いかにテレビ・マスコミがカップめん業界の圧力を恐れているかが、はっきりわかる。

グラグラ熱湯でフタから高濃度に溶出

さて、問題のフタル酸エステルとは、何か?

これはフタル酸と種々アルコールが化合したエステル類の総称。その代表はフタル酸ジ・2・エチルヘキシル(DEHP)…など。

沸点が高く揮発性が低いのでポリ塩化ビニールなど、ビニール樹脂や可塑剤として大量に使用されている。

つまり、合成樹脂などには不可欠な添加物。

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市民運動「No!塩ビキャンペーン」が市販塩ビオモチャをしらべたら、これらフタル酸エステル類が、重量比で8~31%も含有されていることが判明。

これらはプラスチックと強く結合しているのではない。

混ぜ込んでいるだけなので、どうしてもプラスチックから溶け出し生物や環境を汚染する。

では、なぜこのフタル酸エステルが、カップめんスープから1100 ppbも検出されたのだろう?

即席食品協会は、私の問い合わせに「スチレン容器にはフタル酸エステルは使用していないはずですが…」と困惑、口を濁した。

ところがフタル酸化合物が食品包装材から溶出する危険性は、世界的に指摘されているのだ。

「フタル酸化合物は、主に食品を包んでいる包装材に含まれているため、プラスチック製の包装パックから食品に入り込む」

「アルミホイルや食品の容器に使われるインクなどにもフタル酸化合物が含まれている」(『環境ホルモン汚染』中原英臣他著、かんき出版)

たとえば、印刷された紙と厚紙で包装された顆粒状スープが1kg当たり621mg汚染されていた、という例も。(mg :1000分の一g)

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カップめんはフタを開けて熱湯を注ぎ、フタを閉じて「三分間待つ」。

この三分間のあいだにフタから溶出した可能性が高い。

げんに、これらフタル酸化合物の食品汚染を調査したイギリス農水省は、フタル酸化合物による汚染の主な原因がアルミホイルやラミネート包装である可能性を認めている。

おまけにカップめんは、グラグラの熱湯を注いで、じっと待つから最悪。揮発性の強いフタル酸エステル類が、どんどん気化してスープや麺を汚染するのも当然だ。

さらにフタル酸化合物は脂肪にきわめて親和性が高い。

つまり脂分に溶けやすい。脂ギトギトのカップめんスープは溶出するのに最適なのだ。

かくして、多摩川の六八八倍…という驚異的高濃度のカップめんスープができあがる。

月刊マクロビオティック 2000年9月号より

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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