愛しいペットがあなたを癒すアニマル・セラピー

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船瀬俊介連載コラム

「病気」とは、読んで字のごとく「気持ち」が「病んでいる」状態です。英語では”disease (ディジーズ)“と書きます。これは”dis(~でない)“+”ease (安らか)“の意味。

つまり”心が安らかでない“状態を指すのです。東西の言語ともに「心が安らかならざる」状態を「病気である」と定義づけている。

逆に考えれば「心安らか」なら「病気」は消えていくことになります。

東洋医学は、古来より「心身一如」を人間の真理としてとらえていました。西洋医学にも、この「心のはたらき」を見直そうーーーという機運が起こっています。

その微笑ましい例を紹介しましょう。それがアニマル・セラピーです。

ガンを治すNK細胞も増殖活性

誰でもペットと戯れている時はハッピーです。命の愛しさが手の平から伝わってきます。動物とのふれあいによって人間の心身を癒す療法。

すでにさまざまな研究で、その具体的効果が確認されています。

例えば心臓病患者を2つのグループに分け、一方はペットと一緒に入院生活を過ごしてもらい、他方はペットなし。

すると両者の心臓発作の発生率に驚くほどの大差が出たのです。言うまでもなく発作が少なかったのはペットとともに暮らした患者さんたちでした。

その理由はシンプルです。つまりペットを愛玩することで癒やされ、ストレスから解放されたからです。

「ストレス」「緊張」「怒り」「不安」などは”怒りのホルモン“ノルアドレナリンを分泌させ、それがさらに「不快感」としてストレスとなります。

それは自律神経を緊張させてNK(ナチュラルキラー)細胞を激減させることも立証されています。

NK細胞は、ガン細胞を攻撃してくれる免疫力の主力部隊。激減するとガン細胞は急増殖していきます。

(ちなみに抗ガン剤、放射線などの”ガン治療“は、NK細胞を激減させる狂気の”増ガン“療法です)

アニマル・セラピー効果は、臨床的にも立証されています。

老人ホームなどの施設訪問での「触れ合い活動」でも、犬や猫たちとの触れ合いを楽しんだ後のお年寄りたちのストレス指標(唾液コルチゾール値)は平均で20%も低下していました(2001年、戸塚・田丸ら)。

また「飼い犬をなでるだけで、被験者たちの血圧は平均で10mmHg下がった」のです(1984年、米、バーンスら)。

このストレスから解放される”安らぎ“から起こる生理効果がアニマル療法の「効能」の原点です。

また「生活に楽しみができる」心理効果、「共通の話題が増える」社会効果なども無視できません。

アニマル・セラピーには3つのタイプがあります。

①触れ合い療法(AAA)…動物と触れ合うことを主な目的とする。

②専門的治療法(AAT) …医療専門家が動物を介在して治療行為を行なう。

③動物による教育(AAE)…動物との触れ合いで命の大切さを教える。

とりわけ②は、治療目的を立て観察記録なども取り、他の臨床治療と何ら変わりはありません。

変わったアニマル・セラピーもあります。

例えばーーー

■イルカセラピー…イルカと自由に泳ぐことで自閉症の子どもなどに大きな改善が見られるそうです。

さらに障害者なども心身機能が向上するとか。想像するだけで誰でもハッピーになれそうですね。

■ホースセラピー…早く言えば乗馬です。無念夢想のストレス解消になりそう。

専門家によれば「馬の背からの上下、前後、回転の運動が脳幹を刺激して肢体不自由者や心身障害者などの機能回復を促進させる」という。

むろん介助員が付き添います。

すでに国内30カ所以上の乗馬施設で、このセラピーは行なわれているそうです。乗馬には、さらにストレッチや平衡感覚の改善効果もあります。

実は日本でもアニマル・セラピーの歴史は古く、すでに日本動物病院福祉協会(JAHA)は20年もの長い活動を誇っています。

同団体は、動物を連れて福祉施設や病院を訪れるボランティア活動を続けています。

1987年、訪問施設は、わずか7施設だったものが、2004年には158施設に、参加ボランティアも5478人に急増しています。

地道な活動には頭が下がります。

これら施設訪問だけでなく、入院患者がペットと一緒に過ごせるようにできないものでしょうか。

海外では、そのような安らぎの病院もあると聞きます。やさしい医療とは、そのようなものだと思うです。(『東京新聞』2006・2・5)を参照。

2006年4月 月刊社会民主 「船瀬俊介の躰にいいコラムVOL . 20」より転載

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/

船瀬俊介公式facebook=  https://www.facebook.com/funaseshun

船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」=  https://www.facebook.com/funase.juku

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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