一生噛める歯 元気な歯 自分の歯を守る最新予防メソッド 大名幸一 (著)

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一生噛める歯 元気な歯 自分の歯を守る最新予防メソッド

はじめに 私がみなさまに最もお伝えしたいこと

あなたは、今まで何度も同じような歯の治療をしていませんか?

やり直すたびに、あなたの大切な歯はどんどん削られていませんか?

そして、その絶望的な流れの中であきらめてしまっていませんか?

なぜあなたの歯は、治しても治してもまた悪くなってしまうのでしょう。それはあなたの
責任ですか?

これまでの歯医者の診断や、治療法の常識に問題はなかったですか? 再発しにくい生活習慣の改善サポートなど、受けられたことはありますか?

私が言うのもおかしな話ですが、我々歯医者の仕事の半分以上は以前の治療のやり直しです。

それが日本の歯科医療の現実なのです。最初は小さな詰め物だったのが、次には神経を抜いてかぶせになり、気がついたらその歯の根が悪くなり抜歯。

そして、隣の歯を削ってそこに義歯を作る、そうしたら丈夫だった周りの歯までが悪くなり、あげくの果てにその歯も抜歯.... こうして次々と部分義歯が大きくなり、いずれは総入れ歯。

よく目にする典型的な悪い流れ、これがいわゆる『負のスパイラル』です。

正しい診断の下、口全体のことを考え、一つひとつの治療ステップを正確に進め、再発防止対策をしておけば、こんなことにならなかったのではないでしょうか?

私のめざす医療は、あなたの歯を生涯にわたって守り、快適な生活を人生の最期までまっとうしていただくことです。

最小の努力で最大の効果を得る。緊急性がない場合は、治療をこちらから急かさない。

こんな考えの下に私は歯科医療を提供してきました。

患者さんが本当に求めている医療ではなく、こちら側が急かしたり、押しつけたりした医療は、満足感を得られなかったとき信頼さえ失いかねません。

ですから私は、患者さんが希望しないときは、生活に支障さえなければ無理にかぶせたりしません。

もちろん、そのまま放置した場合の問題点はきちんと伝えます。

それより大切なことを、まず考えてみましょう。なぜむし歯になったのか、なぜ小さいむし歯を進行させてしまったのか。

本当に大切なのは、その原点に目を向けることなのです。真実の歯科医療とは、できてしまったむし歯や歯周病を治療することより、対策を打つことではないでしょうか。

これが予防歯科の要であり、患者さんにも強く意識してほしいことなのです。

自然治癒することが少ない歯の治療は、時間をかけて正確な診査診断を行い、患者さんにそれを提示し、相談しながら治療を進めることで良い結果につなげるものだと私は考えています。

本書ではこのような問題点について、今まで正しいと思われていた歯科の常識がいかに、非常識であるかをわかりやすく紐解いていきます。

既存の常識に流されず正しい理解を深めていただきたい、本書がその一助となれば幸いです。

大名幸一

第一章 間違いだらけの歯科治療

3.3.3のむし歯予防はもう古い

日進月歩の歯科界では、常に新しい考え方や治療法が発見されています。

こうした流れの中で、これまでの常識が間違っていたと思い知らされることも少なくありません。

その一つとして「むし歯予防」の考え方が挙げられます。

昔、歯科医師なら誰もが言っていた「3.3.3(サンサンサン)運動」。

これは、「1日3度の食後3分以内に3分間、歯をみがけばむし歯は防げる」と考えられていたものですが、今は誰も言いません。

実は、この方法には科学的根拠がまったくなかったのです。

むし歯はもはや治す時代ではなく、予防する時代といえます。

しかし、なぜかすべての歯科医師が正しい予防法を知っているわけではなく、なぜか正しいむし歯予防の知識が国民に伝わっていません。

理由はおそらく、かつて「むし歯洪水」だった時代、治療に追われるあまり、疫学調査がさほど行われていなかったからでしょう。

疫学調査とは、病気の原因と思われる食生活や習慣などを設定し、それらが病気を引き起こす可能性を調べる統計的調査のことで、その後の同じ疾病に対して対策を立てやすくしてくれるものです。

この調査が、歯科界には不十分だったと私は考えています。

その証拠として挙げられるのが40代以上の人なら誰もが1度は聞いたことがあるはずの、「3.3.3運動」なのです。

その後、この運動を実行した場合としなかった場合を調査した結果、有意差のないことがわかり、現在、とくに「予防」に力を入れている歯科医師は誰も言わなくなったという経緯があります。

食後3分の歯みがきではむし歯は防げません。

むし歯は「食事」によって口の中が酸性になるのが要因でもあり、食後すぐの歯みがきがそれを中和してくれる役目をもった唾液を洗い流し、酸性状態で溶けかかっている歯を歯ブラシで削ることになってしまいます。

通常、食事を始めると2ー3分で口の中は酸性に傾きます。

食後3分以内の歯みがきとは口内が酸性化する前にみがけば、むし歯を予防できるという発想から生まれたものですが、考えてみてください、食事を3分で終わらせることができますか?

本来の意味の「3.3.3運動」は、食事しながら歯みがきしなければいけないという、実行不可能なまことに不可解な予防法なのです。

また、「むし歯がなくなると仕事がなくなってしまう」と思っている歯科医師がいることも、むし歯予防の知識が国民に伝わらない理由の一つかもしれません。

確かに、むし歯予防が効果を発揮すると一時的に歯科医師の仕事は減るでしょう。

しかし、歯周病やかみ合わせ、審美治療などなど、歯科医療は幅広く、やるべきことはたくさんあるのです。

非常識な歯医者を自負している私は、私自身が実践している効果的、かつ簡単なむし歯予防法で、今日もこれからも「むし歯0」をめざしていきます。


「むし歯予防には歯みがき」「むし歯は進行するから即治療」など、間違った常識にとらわれることなく、一生自分の歯で噛んで、食べて、笑って、話せる、快適な人生を送るためには何をすればいいのか?

歯から始める、自分でできる健康管理を予防歯科を専門とする現役歯科医がわかりやすく教えます。

歯を守るケアを今日からきちんと実行すれば、けっして遅いということはないのです!

歯を守り、心身の健康を守るための子どもから高齢者まで全国民必読の一冊。

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