顔を見れば隠れた病気がわかる (内臓の不調を自分でチェック!)
★糖尿病、認知症、脳卒中、心臓病の危険を察知!
★肺、肝臓、腎臓、胃腸の不調が顔に現れる
「耳たぶに深いシワが現れたら脳卒中の疑い」
「目が左斜め上に吊り上がってくるのは認知症の兆候」
「上くちびるが膨らんでいる人は性力が低下している」……
肌の膨らみ、へこみ、色など、顔になんらかの変化が現れた際は、それが顔のどの部位なのかによって、体が弱っている部分を推測できます。これを「顔診法」といいます。
逆に、何か病気が気になる人は、その病気の兆候が、顔にどのような形で現れるのかがわかります。
また、27の症状別のセルフケアも公開しています。
今、医師や治療家に注目を集めている、天城流湯治法に基づく「顔診法」の極意を網羅した一冊です。
ちょっとしたしぐさから、他人の気持ちが推測できる「裏望診」も掲載。
第1章: 顔診法とは何か?
顔診法は古来から伝わる診察法の1つ
東洋医学には、望診・問診・聞診・切診という4つの診察法(四診という)があります。
望診は、視覚によって病状を判断する方法。
間診は、診断に必要なことを患者さんから聞き取り、病状を判断する方法。
聞診は、においや音など、鼻や耳を使って得られる情報から、病状を判断する方法。
切診は、息者さんの体に直接ふれて、病状を判断する方法です。
本書で紹介する「顔診法」は、顔を見て病状を判断する方法なので、望診に含まれます。
顔つきや顔色、顔のむくみなどから、その人の体調を探ることはもちろん、肌の膨らみや凹み、部分的な色の変化、吹き出物、シミ、あざなどから、体の状態を推測していきます。
東洋医学に限らず、外見に現れる変化から体の状態を診察する方法は、世界じゅうのさまざまな医学で、昔から用いられてきました。
具体的にいつからあったのか、はっきりとはわかりませんが、紀元前5世紀に生まれ、「医学の祖」と称されているギリシャの医師・ヒポクラテスの時代から、そのような考え方はあったようです。
東洋では古来、僧侶が人々の健康を手助けしていて、人相で性格や体調を把握する「如是法」が、仏教の秘法の一部だったともいわれています。
また、私のクリニックのある大阪は、江戸時代中期の観相学(人相や手相により占いをする学問)の大家・水野南北氏の出身地でもあります。
南北氏は子供のころからたいへんな悪童で、ヤクザに追われているとき、人相見から「顔
に死相が出ている」といわれます。
そこで、寺に逃げ込もうと出家を願い出るも「半年間、徳を積んだら弟子にする」といわれ、それから麦と大豆だけの慎ましい食生活を実践しました。
すると、半年後には同じ人相見から「死相が消えている」といわれ、寺に入ることができたのです。
それがきっかけで、南北氏は観相学に興味を持ち、あるときは床屋の丁稚になって人の頭を観察したり、あるときは風呂屋の手伝いをして人の背中を流しながら体つきを分析したり、またあるときは火葬場の作業員となって亡くなった人の体格と死因との関連を調べたりなど、徹底的に研究を重ねました。
こうして、観相学の極意をまとめた『南北相法』を完成。
最終的には、大名までが南北氏に教えを請うなど多くの弟子ができ、大阪・船場の地に蔵を6つも建てるほど、運勢が好転したそうです。
このように、人の顔つきや体つきには、その後の運勢までを左右するような、さまざまな情報が示されていて、昔の人たちはそれを占いや医学に用いてきたのです。
現在は、自分の目や鼻や耳を使って診察する医師はほとんど見なくなりました。
医学部でも望診法を教えることはないので、東洋医学やアーユルヴェーダ(インドの伝統医学)を学ばないかぎり、見方もわからない医師がほとんどだと思います。
「最近の医師はパソコンの画面ばかり見て、患者の顔すら見ない」と揶揄されるのも、検査データだけが病状の判断基準になっているからです。
血液検査や画像検査は、病気の発見や確定には大いに役立ちます。
しかし、これらの検査で異常が出るのは、病気を発症してからです。それ以前の「未病」の段階で察知するには、顔や体に現れる変化をしつかり観察することが重要です。
私は、「カウンセリングルーム」と呼ばれる部屋で診察をしています。
そこには、ソファーとテーブルがあるだけです。パソコンすらないので、初めて来られた患者さんはたいてい驚きます。
もちろん、必要なときはノートパソコンを持ってきます。
でも、私はまず患者さんの表情・姿勢・歩き方・しゃべり方など、全体の様子を観察し、次に顔・手・爪・舌の状態、脈拍をチェックして、検査データだけではわからないその人の体の状態を診ることを基本にしています。
そうすることで、例えば胃カメラ検査で異常がなかった人でも、くちびるの端が切れていたら「胃が弱っているな」と推測し、胃をいたわる食生活をアドバイスするなど、大きな不調につながる前に注意を促すことができます。
血液検査や画像検査を行うにしても、あらかじめ顔や体つきを見て、どこに不調があるかが推測できれば、何を検査すればよいかが判断できるのです。
私は医師なので、患者さんからあらゆる情報を得て総合的に病状を判断しますが、望診は4つある診察法の1つ、さらに顔診法は望診の一部分です。
ですから、顔診法だけで体の状態がすべてわかるわけではありません。
それでも第2章以降で述べるように、顔には非常に多くの情報がつまっています。
皆さんが顔診法を知っておくことは、未病の段階で体の不調を察知し、健康を維持するために必ず役立つはずです。
なお、古来から世界じゅうで用いられてきた顔診法は、提唱者によってさまざまな見方があります。人種によって顔つき・体質が違うので、国が違えば教えが異なる部分もあるでしょう。
同じ日本でも、前述した水野南北氏の観相学をはじめ、桜沢如一氏が唱えたマクロビオティック、西勝造氏が創始した西式健康法などにもそれぞれ望診法の教えがあり、その内容は共通する部分もあれば、違っている部分もあります。
本書では、天城流湯治法の創始者・杉本錬堂氏が体系化した顔診法を紹介します。
錬堂氏オリジナルの顔診法は、私もふだんの診察に取り入れていて、患者さんの体の状態とかなり一致することを確認しています。
ぜひ、自身の顔をチェックして、日々の体調管理に役立ててください。
目次
第1章: 顔診法とは何か?
第2章: 顔のパーツ別のチェック法
第3章: 症状別の顔診法とセルフケア
第4章: 知っていると役に立つ裏望診
著者:三浦直樹(みうら・なおき)
医療法人花音会みうらクリニック院長。天城流望診法・師範。2013年より始めた望診法講座は、東京・名古屋・大阪・岡山・福岡・鹿児島など全国で開催され、その受講者は600名を超えている。
協力:杉本錬堂(すぎもと・れんどう)
天城流湯治法の創始者。NPO法人「錬堂塾」主宰。天城流湯治法・湯治司。世界じゅうに700名以上の指導者を育成。体と健康についてのカンファレンス「からだ会議」を全世界で開催。
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