薬いらずで愛犬の病気は治る~間違いだらけのワンちゃんの健康常識
あなたの愛情がかえって愛犬を寝たきりにしている。
犬は飼い主にとって家族以外の何者でもありません。
いつでも飼い主だけを見つめて、常に100%の愛情をくれる犬に、
「どれだけの愛情で応えられるのだろうか」「できることは何でもしてあげたい」
……そう考えている飼い主さんも少なくないはず。
肉も野菜もバランスよく入れた手づくりごはん、人間と同じような治療、投薬、延命措置―よかれと思ってしている行為がかえって愛犬の健康を損ねている。
愛犬家の常識をくつがえす、犬に本当に必要な食事と病気治療の真実を優しく教えてくれる本。
今、多くの犬が、栄養不足や慢性疾患に苦しんでいます。
それは、決して飼い主の犬への愛情が不足しているからではありません。
より犬の健康を気づかい、時間と努力を惜しまないオーナーのワンちゃんが、そのような状態におかれているのです。
犬は植物のように、自分で栄養をつくり出すことはできません。飼い主が選ぶフードで、命を維持します。
つまり皆さんが、毎日与えている食事や生活習慣が、犬の健康に直接的に関わっているのです。
ところが、その食事、ドックフードや手作り食事が、「人間の視点」でつくられているために、犬たちはさまざまな問題に悩まされています。
老犬になったからヘルシーフードに、私と同じオーガニックに・・・・・・、という話は事欠きません。
例えば、タマネギが犬に悪いということは、皆さんご存じだと思います。
犬がタマネギを食べると「ハインツ小体性溶血」という貧血を起こします。もちろん、人間にはそのようなことはありません。
もともと肉食の犬と、雑食のヒトの代謝はまるで違います。何が栄養となり、何が毒になるかはまったく違うのです。
もともと肉食の犬には、植物の毒を感知する「味蕾」がほとんどありません。牛の3万個、人の1万個ほどの味蕾に比べ、犬は2000個ほど。
そのため、自分の身体に悪い食べ物であっても、犬は口にしてしまします。
自分の体に悪いとしても、そうとは気付かず、また飼い主の笑顔見たさに、うれしそうに食べるのです。
このことがまた、「うちの子は、私が用意した食事を喜んで食べてくれる」という飼い主の誤解を生んでしまいます。
自分たち人間にとっての健康や栄養の知識をもって犬に接すると、それは残念な結果につながってしまいます。
「犬と人間は違う動物だ」という当たり前のことが、犬を家族として家に迎えるようになったことで、忘れ去られてしまったように感じます。
愛犬を病気にさせない食事のまとめ
・ドックフードなら
ご自身の生活などから、ドックフードをあげることを選択した場合は、選び方に注意しましょう。
- 肉が多く含まれているもの。特に反芻動物(牛や鹿など)が多く含まれるフードを選ぶ
- においを確認して、異臭や酸化臭がなうか確認する。
- 原産国に注意する
・手作り食なら
ドックフードではどうしてもワンちゃんの体質に合わないという方は、手作り食を選ばれるかもしれません。その場合の手作り食(レシピは34ペ-ジ参照)での注意点です。
- 肉と穀物をメイン化にし、野菜は入れないようにする。
- 野菜のかわりに米糠を加熱した煎り糠を少し混ぜると役立つ。
- 長期に与えるときには、必ずビタミンとミネラルを添加する。
現在、日本では犬の栄養バランスを考えた手作り食に添加する複合ビタミン剤や複合ミネラル剤でよいものが販売されていません。
そのため、理想とはいえませんが人用の複合ビタミン剤と複合ミネラル剤を犬の体重で割って添加されるとよいでしょう。
・犬種によってトッピングを
犬の進化の歴史に沿ったトッピングをされることで、愛犬をより健康に保つことができます。
例えば、歴史的に鳥の猟を手伝っていた犬なら鳥の肉を、水辺で漁を手伝っていた犬なら魚が役に立ちます。
つまり基本は動物性タンパク質を増やす、肉や魚を与えることです。
愛犬を守れるのは飼い主であるあなただけです。
そのために「人の視点でない「犬の目」」で必要な賢い知識を取捨する必要があるのです。その犬の目で見た「進化生物学」と最新の「進化医学」のエッセンスを学んでゆきましょう。
本書を読み終わえたとき、犬のプロでも知らない犬についての新しい知識を得ていることをお約束します。
宿南章(しゅくなみ・あきら)
1969年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)獣医学科卒業。
横浜で犬猫の動物病院に勤務後、米国のCAM(Complementary and Alternative Medicine)を日本に導入した研究所に所属。
抗生物質も効かない牛の病気を治癒させるなど、多くの治療実績を持つ。現在は、進化医学に特化したドッグフードの研究・開発を軸とし、食事療法・栄養療法による犬の健康指導を行っている。
動物の治療だけでなく、「強く育てる」プロフェッショナルでもある。
アシナガバチを巣ごと箱に入れて家で飼っていたこともあり、今までに飼育した動物は2000匹以上。
「しゅくちゃん先生」の愛称で親しまれている、自称「動物オタク」の獣医師。
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会会員、 野生動物救護獣医師協会正会員
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