こっちの世界、あっちの世界 (元東大病院医師と元裁判官が語る「生」と「死」)

シェアする


こっちの世界、あっちの世界 (元東大病院医師と元裁判官が語る「生」と「死」)

「医」の前に大切な衣食住を少し意識するだけでも違う

矢作 先ほどの稲葉先生のお話にも通じますが、「衣食住」の大切さを知ってもらう、知ってもらうというか思い出してもらうことも、いろいろな意味で重要だと思います。

私は、医療は衣食住のあとに来るものだという意味を込めて、よく「衣食住医」というのですが、そもそも衣食住がなぜ大事かを理解していなかったり、その大事さがわからなかったりすると、あとのほうの「医」におんぶに抱っこ状態になるわけですよね。

最初に、自分とは何か、社会とは何かというところから始めて、健全に暮らしていくという発想がない限り、その中にある個としての肉体が支障をきたしたときに、医療でできることには限りがある。

あまりにもあたりまえすぎますが、ここをわかって医療でできることには限りがあるもらえないなと感じることはとても多いです。

稲葉 昔の日本人は、そういうことをわかりすぎるほどわかっていました。教育でしょうかね。

矢作 教育は大きいでしょうね。

稲葉 それから「物質だけが存在だ」というふうに誤解させる、そういう環境?

矢作 もう―つは産業構造の中で、自然とふれ合わない生活が一般化しましたよね。

稲葉先生のおっしやった学校の話とも関係しますが、昔の日本では、ほとんどの人は農業をやっていてお天道様を仰いでいたけれど、いまは人工的なものに囲まれた生活ですからねえ。

稲葉 そうそう、農業をしている人はわかると思いますよ。植物の意志もわかるし、いつ肥料や水をやればいいか、植物たちの要望どおりにやったらいいとわかっている。

でも、大部分の日本人は、そこから離れてしまいましたからね。確かに工業化したことは大きいかもしれません。

winter-260838_640

ーーーー衣食住をちゃんとしておけば病気にならない、なっても治りやすいというお話だと思いますが……。

稲葉 衣食住の基本は、本来、すべて自然からの恩恵ですからね。

ーーーーそうすると、ふだん、パソコンに向かって夜中まで起きていて、コンビニで買って電子レンジで温めたものを食べて、これをやめたら病気にならないとか治るとかいわれても、もうやめられない状態にあります。

そういう人は、健全な体を保つのは無理ですか。

矢作 まあ、程度問題だと思います。そういう生活を100%何の疑問もなく送っているのと、たとえ少しでも心の中でやむを得ずやっていることだと思って、これは不自然な生活だが、一部でもフォローしていこうとするのとでは、大きな違いではないかと思います。

もっといえば、コンピュータだって何だって、感謝の気持ちを持って「今日もありがとう。目が疲れないようにお願いします」と思っているのと、ただ何も考えずに道具として使っているのとでは、ぜんぜん違うと思いますよ。

稲葉 すべてのものに意識があるのですから、それはそうです。

矢作 お話ししたとおり、私は野菜中心の食生活を送っていますが、無農薬の野菜はなかなか入手しにくい。

しょうがないので、どうしているかというと、野菜を洗っているときに「農薬さんご苦労さまでした。もうはずれてください」と念じています。

稲葉 私も似たようなことですが、外食などで農薬が入っていると思われるときにはその食べ物に手かざしをします。すると、パーッと光が入って、それで大丈夫になります。

Oリングテスト(手の指で輪を作り、診断者がそれを横に引いて、はずれるかどうかで健康状態や物質の体への作用を調べる診断法)をやると、Oリングがはずれなくなります。

矢作 浄化ですね。

稲葉 そうですね。スープなら、上に1秒くらい手をかざすだけでいいものに変わります。

矢作先生も同じようなことをされていますね。農薬があるからダメとはいわず、浄化して食べるという。

矢作 それとても天の恵みですからね。よくなるようになっていると思うんですよねえ。

世界には科学で検証できないことのほうが圧倒的に多い

mathematics-757566_640

ーーーーいまのようなお話をされると、非科学的と批判されることもあるのでは? 「科学的とは何か」ということについてお願いします。

矢作 けっきょく、科学者といっても、何に対しても本当に科学的な人というのは少ないように思います。

自分の領域に関しては科学的であろうとしているでしょうけれど、一般の領域で科学的であるのはむずかしい。

稲葉 検証ができない事柄に関しては、全部放棄してしまうのがいまの科学ですよね。

矢作 ある事象をまずとらえて、そこに仮説を立てて、反復検証できたら、初めてそれが仮説から科学になるわけです。

しかし、あらゆる事象について、そういうプロセスを踏めるか踏めないかというと、踏めるのは数学や物理の一部くらいで、踏めない分野のほうが圧倒的に多い。

稲葉 反復検証なんて、できない事象がいくらでもありますからね。だいたい向こうの世界でどうこうなどという話は、検証のしようがないですから。

矢作 そうです。だから科学の中で、当然ですけれど、いまでいう自然科学的手法を当てはめられるところはきわめて限定的です。「私はあなたが好きです」といっても検証できないですからね。

稲葉 科学で語れる事象のほうが圧倒的に少ないことを「非科学的」という人たちは、なぜ悟らないのだろうと思います。

矢作 いちいち検証しながら生きているわけでもないですしね。しかし、世の中には「科学主義信仰」とでもいうべきものが存在します。

稲葉 見えない世界のこと、それが見える人のこと、千里眼などは、当然、検証なんてできません。

でも、現実にそういうことがあるのだからしょうがありません。ないといわれても、あるのだから。

microbiology-163470_640

ーーーー検証できないと、いわゆる霊感商法など、悪いことに利用されるという警戒感があるのではないでしょうか。見分けがつかないので。

稲葉 しかし、悪用されるおそれがあるというのは別の問題ですよ。

悪用のおそれがあるからといって、「あるものをないことにする」というわけにはいきません。そもそもどのようにとらえようが、悪用する人はするんですから。

矢作 しょうがないですよね。

稲葉 少なくとも、いまの科学でわかっていること、検証できることは、世界の中で砂粒ほどもないということ。そのことだけは心にとめておいたほうがいいと思います。

科学万能主義なんて、とんでもないと思いますよ。なぜそんなに傲慢な考え方ができるのか不思議なくらいです。

矢作 本当ですね。


ベストセラー『人は死なない』の著者と伝説の元裁判官による初の対談本が誕生! 生、死、魂、肉体、神、医療、日本について異能の2人が論じ尽くす。

神様がつくった安全装置とは何か?その答えがここにある! 

目次:
第1章  「見えない世界」の力
第2章  信じる・疑う・考える・感じる
第3章  日本における医療の現況と未来
第4章  わが国の形
第5章  生きている限り学びは続く

こっちの世界、あっちの世界 (元東大病院医師と元裁判官が語る「生」と「死」)
矢作 直樹,稲葉 耶季 マキノ出版 2016-04-22
売り上げランキング : 16618

by ヨメレバ