腸内の常在細菌

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森下敬一 健康談話 より

━■健康談話■━

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 月刊誌「森下自然医学」掲載 「温故知新」から引用

腸内の常在細菌

公害物質を排除していく働きと一口にいっても、いろいろな面があるもので、特に大事な問題となるのは、腸内の常在細菌に対してよい影響を与える食べものでなければ、

それは優れた栄養食品とはいえず、と同時に優れた脱公害食品とはなり得ないということである。

したがって、まず、この重要性をもった腸内細菌について、少しふれておこう。

腸の中でわれわれと共存している常在菌というのは、つい最近まで、その正体が良くわからなかった。

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腸の中のバクテリアというのは、ほとんどが嫌氣的な性格を持っており、空氣、とくに酸素を嫌うという性質をもっている。

従来の培養方法がうまくいかなかったのも、この嫌氣的な培養条件を十分に整えることができなかったからだ。

しかし、最近になって空氣の出入りを防いで、大氣中の酸素にもあまり接触させることなく、腸内そのままの状態でバクテリアを培養するという、嫌氣的な培養法が完成されたため腸内微生物の実体をかなり正確につかむことができるようになった。

いままでの好氣的な培養条件だと、細菌の数は10個(1億個)ぐらいの数しか検出できなかったが、嫌氣的な培養法だと10個(1千億個)にも及んでいる。

バクテリアの種類も大変雑多であって、いままでほとんど知られていなかった種類のものが、約90%を占めているということが明らかになった。

たとえば、嫌氣性の連鎖球菌、バクテロイデス、あるいはカテナバクテリウムなどである。

その他、残りの約10%が乳酸菌類、とくにビフィズス菌、あと1%ぐらいが大腸菌、腸球菌、クロストリジウムというようなものである。

我々の健康状態というのは乳酸菌 と大腸菌、腸球菌、クロストリジウムとの2つのグループの相対的な関係によって決まると考えて良い。

この両者のバランスのいかんによって、われわれの健康状態は左右されると考えて良い。それでは、腸内の有用微生物はいったいどんな働きをもっているのかというと、

栄養の吸収を高める働き、生命物質の生合成。

特に大事なことは、体蛋白は、植物性の食物を素材にして腸内の微生物によって生合成されるということである。だから、我々は、肉、牛乳、卵などの動蛋食品は全く必要ないと考えている。

すべてのビタミン群の生合成。

現在の生理学ではビタミンB群、ビタミンKは、体内合成されるといわれている。だが単にこれらのみでなく、実際にはすべてのビタミンが体内で合成されると、私は考えている。

いろいろな病氣の発病予防をする。

このことについては、大変有名な話がある。

コレラ菌

今から120~130年前のことになるが、細菌学者のロバート・コッホが病原菌としてコレラ菌を見つけたときのことである。

コッホは、このコレラ菌が病氣をおこす原因なのだと指摘した。

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このとき反対の立場をとった、同じドイツの衛生学者 ペテンコッファーが、そんなものはコレラ菌の病原体ではないとして争ったことがあった。

その際ペテンコッファーは、自らの主張を実証するためにコップ1杯のコレラ菌を飲んでみたのであるが、彼の体には何の変化もみられなかった。

この時代にはまだ、細菌が病氣をおこさせる原因となるということがわかっていなかったため、ペテンコッファーの証明によって、コッホの培養したものはコレラ菌ではない、とされかけたことがあった。

しかし、コッホが培養したものは間違いなくコレラ菌であった。だが、それにもかかわらず、ペテンコッファーは発病しなかったのである。

発病しなかったのは、彼の腸内細菌の状態が非常によかったためだ。

すなわち、腸内に乳酸菌やビフィズス菌がたくさん繁殖していたということである。現代人がペテンコッファーのようなことをしたら、それこそ大変である。

おそらく耳かき1杯のコレラ菌で100%発病してしまうであろう。

それほど現代人の腸内細菌の状態は悪くなっているのである。

続きはこちらから: 公害物質の処理に、腸内細菌が大いに関係している

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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士

お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者

東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。

新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。

独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。

著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。

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